概要
簡潔で無駄のないシステムを提供するのがArch Linuxの目的である。
ここで言うシンプリシティ(簡潔さ)とは「不必要な追加・修正、あるいは複雑化を伴わない」ことであり、おおよそエンドユーザーではなく開発者の視点である。
カナダのプログラマー兼ギタリストのJudd Vinet氏が中心となり開発が始まった。氏は2007年後半に時間不足からプロジェクトを離脱、代わってAaron Griffin氏がリーダーとなる。2022年現在、開発はLevente Polyák氏が中心となり続けられる。
明確なバージョンが存在しない(強いて言うならライブ環境の配布日時。例:2022.08.05)ローリングリリースを採用。定期的な更新を行なっていれば、常に最新の環境を利用できる。
インストール
他のディストロより柔軟に環境を構築できるが、インストールに多くの手間がかかるため、Arch系OSには「簡単にインストールできる」のが売り文句のものが数多く存在する。現在ではテキストベースのインストーラーが付属しているため以前に比べて簡単にインストールが可能になった。
Pacman
パッケージマネージャーで、パッケージの導入・更新・削除・ダウングレード・バージョンや依存関係の管理を行なう。公式パッケージの他、利用者は簡単にパッケージを作成できるようになっている。
ナムコの某ゲームとは無関係だが、Manjaroのインストーラーでネタにされている。
Arch Build System
ソースコードのコンパイルやパッケージ作成などを自動化するシステム。BSDの「Ports」に類似する。作成されたパッケージは公式パッケージと同様にPacmanでの管理ができる。
これを応用した補完用リポジトリ「Arch User Repository」(AUR)が存在する。これはユーザーが独自に作成したものや公式のテスト版、権利的にまずいソフトウェアのPKGBUILDが収録されている。
なおバイナリパッケージのリポジトリも簡単に作成できるようになっている。
派生
Manjaro - Archベース。現在は独自リポジトリを運用し(パッケージはArch公式より更新が遅い)、より安定的なOSになっている。Archとの関係はDebianとUbuntuのそれに近い。
EndeavourOS - かつて開発されていた「Antergos」の後継。
Alter Linux - 日本国内初のArch系OSだけあって日本語環境に強い。
Alchg Linux - 最小限のデスクトップ環境を提供する。ライセンスはGPLではなくKL-01。
Univalent GNU/Linux - Windowsのような操作が可能。
関連項目
CRUX GentooLinux - 同じく最小主義のディストロ。前者に着想を得て開発が始まった。
外部リンク
ArchWiki - Arch以外のディストロのユーザーにも役立つ情報が多い。