概要
FGM-148ジャベリン対戦車ミサイルを補完する目的で開発された、簡便な対戦車兵器である。
近距離用と割り切った大胆かつ特異な設計思想により、
ジャベリンより軽く、ロケットランチャーより威力と命中率が高いというニッチを占め、
アメリカ海兵隊で採用されている。
また、対陣地派生型が陸軍でも使用される。
発射手順
プレデターはミサイルの弾体と使い捨ての発射チューブから構成される。
発射チューブには標的をロックオンするためのセンサーが備わっており、これで3秒間標的を追尾し続けることで、標的の進路情報をミサイルに記録する。
ミサイルを発射すると、ミサイルは慣性誘導装置により予想された敵の進路の上空を横切るように飛行する。
標的の上空に到達したことを、弾頭部の近接信管で探知し、弾頭を炸裂させる。
トップアタック弾頭(FGM-172A)では下向きの成型炸薬が設置されており、これで戦車の弱点である上面を攻撃する。
ダイレクトアタック弾頭(FGM-172B)では他の多くの対戦車ミサイル同様に直撃コースを取るように飛行する。
多目的破片化弾頭を用いており、装甲目標以外にも効果的に使用できる。
ジャベリンとの相違点
発射機全体の重量が軽い。
これは、ジャベリンの有効射程が2kmにも及ぶのに対し、
プレデターは200m(一応、対静止目標なら600mまで狙える)であるため、
照準器が小型で済んだり、推進薬が少量で済むことによる。
最短交戦距離が短い
ジャベリンはトップアタックモードでは戦車に対して上から飛び込む機動を取ることで、戦車の弱点である上面を攻撃する。
しかしこれは「山なりに飛ばなくてはならない」という短所でもあり、このためジャベリンの最短交戦距離は67mである。
ダイレクトアタックモードではまっすぐ飛んでいくが、斜め上に打ち出された後に軌道修正するため、最短交戦距離はあまり短くならない。
これに対しプレデターは弾頭部が下を向いているか対戦車ミサイルやロケット弾と変わらないかのどちらかであり、ミサイル自体は山なりに飛ぶ必要がなく、最短交戦距離は17mまで短縮できている。
ロックオンまでが短い
ジャベリンはロックオンするのに30秒もかかるのに対し、プレデターは3秒で済む。
弾頭部にシーカーをもたない
発射手順で述べた通り、プレデターは「敵戦車の予測進路上に飛び込む」ミサイルであり、射程が短い=飛行時間も短いことから、ミサイルが戦車の位置を確認して進路修正する必要がない。
これに伴い、シーカーが捉えた画像を戦車だと認識する高度なコンピュータも不要である。
さらに、ジャベリンには鹵獲されるのを防ぐための高度な自爆装置が必要(特にコンピュータは軍事機密であるため、絶対に自爆処理が必要)だが、
プレデターはミサイル部を鹵獲されても軍機の漏えいの心配がない。
発射筒には敵の進路を予測するためのコンピュータが搭載されているはずだが、こちらは発射筒から外して再利用できる構造であると思われる。
安価である
弾頭部にコンピュータを持たないことから安上がりである。
訓練も実機を用いて行う事が比較的容易である。
陸軍の派生品
弾頭部を成形炸薬から通常の榴弾に変更したものが、対陣地ミサイルとして陸軍で採用されている。
ゲームでは
なぜか誘導方法がセミアクティブレーザー誘導であるように扱われることが多い。