HiGH&LOW_END_OF_SKY
はいあんどろーえんどおぶすかい
HiGH&LOWシリーズの続編。MOVIE2と呼ばれているが、実際はRED RAINの続編。前作のMOVIEやRED RAINに並んで派手なアクション映画に仕上がっている。キャラクターたちも多くが服装や髪型を変えてシフトチェンジしているのも特徴であるほか、敵勢力にインパクトが大きすぎる新キャラが多数参戦していることも話題を呼んだ。また、味方チーム内で初めて真剣な分裂が発生するが、この点も議論が分かれている。
コンテナ街の戦い(MOVIE)から半年後。
カジノ計画進行に伴い他の地区から流入する余所者に、SWORDの各チームは手を焼いている。事態を憂慮したコブラ(岩田剛典)はSWORDの各リーダーを招集し、九龍グループが近々崩壊することやその後も張城をはじめとする海外マフィアが台頭し今後も地上げは続くことなどを説明し、"SWORD協定"を結びお互いの利害のために協力し合うことを提案する。だが、それぞれの抱える事情や思惑により、鬼邪高校の村山良樹(山田裕貴)以外から同意は得られず物別れに終わる。山王連合会内部でも、カジノ計画に伴う再開発で街が復興できると考えていたダン(山下健二郎)やテッツ(佐藤寛太)たちが、九龍グループとの対立姿勢を強めるコブラやヤマト(鈴木伸之)たちとの考え方の違いに葛藤するようになっていく。
コブラは話し合いの場でのROCKY(黒木啓司)の様子から不穏なものを感じ取り、何度もクラブHeavenを訪れROCKYと話し合いの場を持とうと試みるうち、羅千刑務所からDOUBTのリーダー・林蘭丸(中村蒼)が出所したことを知る。女を金を生む道具としてしか見ていない蘭丸は昔、White Rascalsと敵対し羅千地区・黒白堂駅で激しい戦いを繰り広げた因縁がある。ROCKYは常軌を逸した蘭丸の牙が万が一SWORD協定を締結することになった場合他のチームに向かう可能性を危惧し今度こそ自分たちの手で決着をつけなければならないと考え、コブラから再三にわたりSWORD協定への参加を要請されても首を縦に振らずにいたのだった。そんな折、SWORD地区の掌握を目論むDOUBTは手始めとして、プリズンギャングと呼ばれるジェシーとその一派を使いWhite Rascalsを襲撃する。
その頃、雨宮雅貴(TAKAHIRO)からUSBを託されていた琥珀(AKIRA)は長兄・尊龍(斎藤工)が命掛けで守りぬいたUSBは兄弟達の手で公表すべきであると考え、USBを返すため2人の元へ相棒・九十九(青柳翔)と向かっていた。だがUSBを奪還もしくは破壊するために九龍側も遂に行動を開始。黒崎会が放った若頭にして暗殺者・九鬼源治(小林直己)と"源会"会長・源龍海(高嶋政宏)ら暗殺部隊に襲撃され、激しい追跡劇を繰り広げることとなる。間一髪のところで雅貴の手でUSBのデータはネット上に公開され、カジノ建設担当大臣は失脚・カジノ計画自体も白紙撤回となる。九龍グループ総裁も贈賄容疑で逮捕され、そのニュースを聞き喜ぶコブラたちであった。だが、事は良い結果だけでは終わらなかった。皮肉にもこれが山王連合会の仲間割れの決定打となり、その後山王街では再開発が立ち消えとなった影響で閉店する店が相次ぐ事態となる。先行きに不安を感じたダンやテッツは、あくまでも「自分たちの街は自分たちがなんとかするしかない」というコブラに反感を抱き始め、チームの内部分裂が始まってしまう。ダン達の気持ちを察しつつも心を鬼にして、目先の利益に囚われてはいけないことと、ROKCYが協定を断った理由を打ち明けながら「俺を信じろ」と必死に諭すコブラだったが、衰退していく街の現状に向き合わず何を聞かれてもその場しのぎの答えしか返さないままSWORD協定と九龍との戦いにばかり注力して自分達の意見に耳を貸さない態度や現状をどうにかしたい気持ちを否定するような物言いに不安と我慢が限界に達しているだけでなく、今の生活に気持ちをすり減らしている彼らにそのような理屈は通じなかった。結果、ダンたちを筆頭に多くの仲間が離れていってしまう。
ジェシーらによって大ダメージを負ったWhite Rascalsは抗争を長引かせることを厭い、決着を付けるため因縁の地・黒白堂駅でDOUBTと対峙する。だが、金で雇われた一党を引き連れたDOUBTとの圧倒的な人数差により、苦戦を強いられる。敗北を覚悟した時、White Rascalsの窮状を聞きつけた山王連合会が加勢し、コブラもジェシーに戦いを挑む。
さらに鬼邪高校やRUDE BOYSも駆けつけ、形勢は逆転する。最後に、蘭丸からSWORD壊滅への協力を打診されていた日向紀久(林遣都)も「仲間を切り捨てるような奴は信用できない」として達磨一家を率いてDOUBTに宣戦布告する。これでSWORDの勝利は目前になったが、それまで事態を静観していたICE(ELLY)率いるMIGHTY WARRIORSが盟友・ジェシーのピンチに際し「これが俺たちのやることだ」と言い、参戦する。SWORD側も応戦しようとするも時すでに遅く、無慈悲なまでの戦力差で追い詰められていく。
抗争はROCKYが蘭丸を破ったことで一時収束したが、やはりMIGHTYが優勢なのは覆らない。そこへ、劉(早乙女太一)からの連絡を受けたICEと共に突如MIGHTY WARRIORSとプリズンギャングは撤退し、それと入れ替わるように九龍グループの一角・善信会が乗り込んでくる。会長の善信吉龍(岸谷五朗)は「お前たちが騒ぐせいでまとまるものもまとまらない」と、戦いを引き起こした元凶である蘭丸に激しい暴行を加える。さらに龍也暗殺への関与をほのめかす。「お前たちと俺たちの戦いの違いはな、隠蔽できるんだよ」「お前らが何人死のうが何も変わらない」と脅し、SWORD・DOUBTに対してこの場から逃げるか九龍に服従するかの選択を迫る。DOUBTが1人残らず逃げ出す中でコブラは善信を蹴りつけた。
「これが俺たちの答えだ」
コブラは善信の要求を拒絶し、戦い続ける決意を見せつけたのだった。
時を同じくして、九龍の総裁、九世龍心が釈放されたというニュースが報じられる。
「まったく、無駄な時間だった・・・」
さらに、このニュースを見て合流した琥珀・九十九・雨宮兄弟にもライフル銃が狙っていた・・・。
今作で仲間割れが発生する山王連合会だが、何れも山王街を考えた末のものである。コブラたちは九龍の支配を受け入れることは断固として拒否するのは前作を見ればわかる話である。しかし、彼らは九龍がいなくなった後の将来を見出しておらず思い出に浸っているだけの姿が目立っており、ダンたちのように先が不安な者たちからすれば疑問に思うのは至極当然である。ダンが「USBから手を引くべき」「再開発も悪い話ではない」と意見を述べたりテッツの実家の銭湯を筆頭に救える見込みがあるにもかかわらずコブラは目先の利益に捉われるな」と言うだけで打開策も見出せない状態であり、次第に中立の立場にいる者からも疑問視されてしまう(ただ、この時既にUSBは琥珀や雨宮兄弟の手に渡っており、山王は手出しができなかったのだが)。情報公開が行われた後も九龍が潰せたことだけを喜んでる場面だけで都市開発賛成派の扱いの悪さは次第に露骨さを増していくようになる。コブラとしてはダンやテッツが自分たちに同意してこの後の戦いに加わるのは当たり前のように振る舞っているが、自他双方に厳しいという域も通り越して傲慢・狭量と言ってもいい抗戦派の姿勢は信頼など得られるはずもなく、大きな反感を植え付ける結果となってしまった。
分裂時も「自分で何とかするしかない」の答えだけで悩みに応える様子も無いコブラに、ダンも「山王連合会はノボルのために作られたチームだから、俺たちは関係無いからわからない」と吐き捨てている。たが、コブラはテッツに「お前は必死にもがいたか?やれることを全部やったのか?」と重い言葉しか返さない挙句、「俺を信じろ」と言うだけであり、もはや断絶を望んでいるような言葉ばかり言い張っている。
コブラたちも半分間違えていることは自覚していたかもしれないが、居場所を犠牲にしてでも九龍を倒したかったため、という解釈も出来なくはない。もっともそれでは本末転倒であり、危機管理能力に関しても杜撰だったことは否定できない話である(そして結果は後のFINAL MISSIONで明らかになるのだが、ご自分で確かめることをおすすめします)。
それでも他のSWORDの頭や山王の仲間たちも彼の危機に駆けつけていたり、全員で「コブラ!」と叫んで探しているあたり、周りにも愛されているのがわかる。
評価は人それぞれだが、もちろん誹謗中傷ネタは控えるべし。