「鬼邪校でテッペンを取る!」
演:川村壱馬
概要
花岡楓士雄とはHiGH&LOWに登場する鬼邪高校の全日の生徒である。黒髪と黒服が特徴で年齢は18歳。母と2人暮らし。
最初は「富士雄」という名前だったが、演じる川村が大阪にいた頃通っていた空手道場とその師範へのリスペクトから道場の名前を役名に入れたいと高橋ヒロシ氏に提案した結果、現在の名前になった。
性格
基本は単純だが、一本気で真っ直ぐな心の持ち主であり、天真爛漫・好奇心旺盛を絵に描いたような人柄で一言で表すなら快男児そのものである。周囲を惹きつけて誰とでも仲良くなる魅力やリーダーシップも持ち合わせており、思った事はすぐ口や表情に出すほど感情表現豊かである。頭(リーダー)は「やれ」ではなく「やろう」と言う者が相応しいという独自の概念を持っており、周りを惹きつける魅力にも繋がっている。
特筆すべきなのは仲間だけでなく自分より優れた強者を惹きつけ、物事に真正面からぶつかる人間性であり、自分を傷つけ陥れようとした前川新太、坂田基晃、天下井公平をも最終的には改心させている。
一方で強者を見たらたとえ相手がSWORDの頭や他校のリーダーでも関係無く腕試ししたがったり、抗争でも真っ先に突っ込んでいく危うい一面もあり、周り(特に司やジャム男、轟など)を呆れさせることもしばしばである。実際に村山や轟を見た時は感激しており、他のSWORDの頭や琥珀、雨宮兄弟に出会ったらどういう反応をするのだろうか?
背が低いことを気にしており、「チビ」という一言にも反応して笑顔で殴りに行くほどである。
余談だが、同じ背の低さを気にする先人がSWORDの敵対者にいたりする。
戦闘力
背丈は小柄(演じる川村は170㎝)だが、中学時代から高城司と共に周辺の学校を軒並み仕切っていただけあって身体能力は高く、パワーとスピード、格闘スキルも随一であり、WORSTでも序盤から腕っ節の強さを見せていた。
小柄な体格を活かした身軽な動きで敵を翻弄するのも得意で、こちらも序盤から披露している。
人間関係
幼なじみであるオロチ兄弟の2人、優等生の桐原誠司、紅一点の石井マドカ、高校を中退した前川新太とは希望ヶ丘団地で育った仲で、小学校時代からの付き合い。
鬼邪校の高城司・ジャム男、辻・芝マン、泰・清一派も同郷で育った者達で、特に司は長年の相棒でもある。
また、WORSTでは幼なじみの1人がある理由からその悪事に手を染めており、彼を止めるために奔走することになる。
活躍
- EPSODE.O
(MOVIEまたはREDRAINからMOVIE3まで)
当初は「鬼邪高でテッペンをとる」という野望を胸に秘めて入学したが、わずか2週間で家族の都合で田舎に引っ越して気ままに暮らしていた。しかし、尊敬する祖父が亡くなってしまい無気力になるも、高城司とのタイマンを経て再び一念発起し、鬼邪高へ復帰する。
THE WORST
- 帰還から村山達との邂逅
昔世話になった老婆、サダ婆の葬式に、自転車で走りながら男達に追われるという登場。
男達はオロチ兄弟に蹴散らされたが、実は楓士雄が自転車を盗んだために追われていたからであり、マドカからも盛大に叱られる羽目になった。
FINAL MISSION終結後に鬼邪高に帰還。司達の派閥のリーダーを任されるが、その際に「チビ」と生徒の1人に言われたことに激怒。馬鹿にした生徒たちをなぎ倒し、復帰早々に高い実力を披露した。後の村山が集まるように言われた際に中・中一派と再会し、中越からも待っていたとばかりに迎えられた。辻・芝マンや泰・清一派からは喧嘩腰に絡まれたが、同じ団地の出身が揃ったことに喜び、彼らの毒気を抜く形となり、要所でカリスマ性とリーダーシップを発揮していく。
司から轟洋介の話を聞いてから興味を持ち、眼帯を付けた彼と出会うと、「その目治ったら、一番に(タイマンの)予約入れる」と明るい感じに宣戦布告する。轟から「頭になりたいのか?」と問われ、「当たり前だろ」と決意を表明して挨拶代わりとばかりに回し蹴りを放たれるも受け止め、タイマンの約束を(一方的に)取り付けた。その後全日の生徒の間で薬物らしきものが出回っているのを目撃したが、「ドラッグは禁止」と怒り口調で全日制に警告する村山に実力や立場を考えずに感激して戦いたいと申し出ており、本人や周囲の人間を呆れさせた(申し出に関してはスルーされた)。この時に轟とジャム男から鳳仙学園の名を聞いたが、深く考えずにいた。
一方で同じ団地の幼なじみの1人である新太が未だに姿を現さず、高校も辞めてガラの悪い連中と一緒にいたという噂に不安を覚えていくようになる。さらに、かつてSWORD地区に蔓延したドラッグ「レッドラム」が鬼邪高だけでなく、オロチ兄弟の職場、さらにマドカの学校でも出回っていることを知る。さらに、新太がドラッグ「レッドラム」に関わっていることをオロチ兄弟から知らされ、噂が本当であることを仲間たちも感じ取っていた。
- 上田佐智雄との出会い
ある日、階段から落ちかけた老婆を救った際に上田佐智雄と出会う。佐智雄は身を呈して老婆を救った楓士雄の姿に興味を持ち、頭とは何なのかを語り合いながら親しくなっていき、楓士雄も彼のことを「サッチー」と呼び、親友同然の間柄となった(愛称に関しては嫌がられたが)。
しかし、鬼邪高の泰・清一派の泰志と鳳仙の四天王の1人・沢村正次が何者かに襲われて負傷する事件が発生(さらに鬼邪高ではそれに加えて中・中一派の数名も負傷していた)。
鬼邪高内では鳳仙学園からの決闘状が置かれていたことから彼らが犯人であると噂になっていた。
楓士雄は激怒し司から説得されても「相手が誰でも関係ねえだろ!」と怒りを燃やす。
その晩、目が完治した轟と出会い、「頭になりたい奴が俺に喧嘩手伝えって頼みに来るのか?」と問われるが、「みんなが動揺してるの見てると、馬鹿な俺でも一筋縄じゃいかないことぐらいわかる」と、迷うことなく答える。轟もそんな彼を見て、「鳳仙はお前が今まで喧嘩してきた奴よりも間違いなく最強だ」「足を引っ張るなよ」と言い、認めるように笑うのだった。
一方鳳仙でも、沢村を襲ったのは鬼邪高であると言う話が出てきて、互いに全面戦争が避けられない事態に発展していく。
- 再会、そして対決
決戦は鬼邪地区の河原。
楓士雄は全日の生徒を率いて戦いに向かうが、鳳仙も四天王・小沢仁志を始めとした最強の布陣を敷いて挑もうとしていた。楓士雄は戦地で佐智雄と再会し、初めて彼が鳳仙の頭であることを知る。
だが、互いに仲間がやられた状況で話し合いが出来る空気ではなく、遂に戦いが始まってしまう。
「いくぞ、テメエらぁー!!」
戦いは拮抗していたが、やはり戦闘力と統率力は鳳仙が上回っており、全日の敗北が決定打になる寸前で村山と鳳仙の幹部・サバカンが現れ、事件の真相を話す。
実は泰志や沢村を襲ったのは両者の共倒れを目論んだDOUBTの下位組織、牙斗螺と呼ばれる集まりであり、それぞれにクスリの売買を邪魔されたことの腹いせまたは報復を目的に行っていたのである。
敵が別にいることを知った鳳仙は戦いをやめて引き上げていった。その際に佐智雄からは「お前じゃないってわかっただけでもよかった」と安堵の言葉と共に謝罪され、双方の敵意は無くなり友情も修復された。
- 事件の真相
鳳仙との戦いは事なきを得たが、その晩に誠司とマドカから新太に関する情報を聞かされる。実は新太がレッドラムの売買に関わっていたのは末期の癌である母の入院・治療費を稼ぐためであり、もう高校を辞めて借金をしなければならないほど金に切迫していたのである。誠司も新太を説得するも決裂し、顔を殴られて終わってしまった。
無理矢理に自分を正当化しようとする彼を止めるため、牙斗螺との決着を着けるため楓士雄は動き出す。そんな彼のもとへ、鬼邪高の全日制、さらに佐智雄たち鳳仙も駆けつけ連合軍を結成。
共通の敵を打倒する戦いに挑む。
- 希望ヶ丘団地の戦い
牙斗螺のアジトはかつて楓士雄たち6人が過ごした希望ヶ丘団地。
手付かずで廃墟となっていたのを新太が提供していたものであり、楓士雄と彼の仲間たちが出会い過ごした全ての始まりの場所でもあった。
楓士雄・佐智雄たちは一丸となって挑むが、クスリの影響で常軌を逸した戦い方をする牙斗螺たちに苦戦し始める。そこへ村山たち定時制とオロチ兄弟が乱入して形勢は二転三転する。
楓士雄は仲間達の助けを借りて新太のもとへたどり着いたが、そこには少ない金だけ渡された挙句斬り捨てられ心身共にボロボロになった新太の姿だった。新太のほうも牙斗螺に見切りをつけて金庫の金を奪って去ろうとしたが、楓士雄から「こんな金捨てろ」「こんなやり方で母ちゃん助けて、お前嬉しいのか?」と言われ逆上。治るかもわからない病を抱えている母を救いたい新太にそのような理屈は通じるはずもなく、殴り合いにまで発展してしまう。楓士雄もまた、悪事に加担し薬物の売買に手を染め、果ては仲間まで傷付けて彼らの意思を蔑ろにしてなおも間違いを認めない新太に悲憤の想いを抱き、決死の勢いで挑んでいく。
何度殴られても新太の良心に訴える楓士雄と、駆けつけたオロチ兄弟の姿にようやく新太も自分の間違いに気づき泣き崩れた。
- 騒動後
戦いは牙斗螺の頭たちが敗れたことで終結。
新太も無事に帰還し、彼の母の治療費も仲間のカンパで解決した(楓士雄は千円札数枚だけだったが、オロチ兄弟はこれまでの貯金の300万を躊躇なく出していた)。
そして全日制と鳳仙は友好的になり、楓士雄は再び佐智雄に戦いを挑む。
結果は佐智雄の勝利に終わり、鬼邪高でテッペンを獲る野望もまだまだ先となった。しばらくは轟が頭を預かるという話になったが、佐智雄は強いが勝てない相手ではないとめげることなく決意を新たにしており、佐智雄もまた彼の姿に満足気に笑みを浮かべていた。
後日、司、ジャム男と共に戸亞留市に偵察に向かう。そこは佐智雄ですら勝てなかった男、ラオウがいる鈴蘭男子高校であった。
『6from』
WORSTの後日譚であるストーリーで、引き続き主人公を務める。新たに女性にモテたい願望があることや自分と違い女子に人気がある司に嫉妬する場面もあり、「お前もか」とツッコんだ視聴者は何人いたんだろうか。
WORST X
こちらでも主人公を続投し、「全日の頭」と紹介されている。村山が卒業した影響で近隣の不良高の動きが活発になり、瀬ノ門工業高校の天下井公平・須嵜亮など様々な不良たちと戦うことになる。
頭になっても鈴蘭へ単身赴いてラオウに会いに行き、彼をリスペクトするなど大胆不敵な姿は変わらないが、司を筆頭とした仲間内からは、もっと頭の自覚を持つよう諫められている。特に司からは「今の鬼邪高はお前次第では負ける」などと、自身の采配ミスで集まりが瓦解することを厳しく叱責されており、実際周りへの注意を怠っていたせいで全日制が半壊してしまう(なお、本作はクローズ寄りになっているためわかりにくいが、同じような仲間内からの叱責や敗北または失敗経験はSWORDのリーダーの1人もやっている)。
一時期は自分が頭になるべきじゃなかったと嘆くが、轟の活躍をきっかけに立ち上がり、鳳仙へ1人で協力を要請して共通の敵に挑む。
終盤で兵力を失い孤立した天下井と、そんな天下井を守るため1人立ちはだかる須嵜に辛くも勝利。鬼邪高の駒になるしかないと嘆く2人に対して支配することを拒否した。天下井に対しても、もう気が済んだのか責めることは言わず、須嵜には「またやろうぜ」と笑い、再戦を約束した。
そして、抗争後は恒例(?)となった焼きそば会の中で女子校と合コンの話が出て盛り上がる中、第四の壁を越えて語りかける中で物語は終わる。
「俺たちは馬鹿で野蛮で下品で、絆創膏だらけのろくでなしかもしれねえ。指を指して笑う奴もいるだろう、中指突き立てて唾を吐く奴もいるだろう。それでも構わねえ。俺たちはありのままでいたいんだ。これからも偽らずに自分らしく生きていこうと思うんだ」
「"あなた"はどうする?」
余談
- 役作り
演じた川村はインタビューにおいて「自分は楓士雄のような人間ではない」と述べていたが、鳳仙(の中の人たち)の楽屋に遊びに行き過ぎていたとのことらしい。中の人もまんま楓士雄その人だった。
- あだ名の法則?
村山はむらっち、轟はドロッキー、中越はごっしゃんと親しい者には愛称を付ける楓士雄だが、今回ライバルとなる上田佐智雄には下の名前からサッチーと呼んでいる。この呼び方から、同校の仲間以上に強い想いを佐智雄に抱いているのかもしれない。
- 頭になった経緯
WORST_Xで晴れて頭になっている楓士雄だが、実はどのような経緯でなったのかは未だ明らかになっていない。轟が譲ったのかは不明だが、WORSTとの間を補完するドラマがあればわかるかもしれない。こちらも現在(2023年)まででそのような情報は無いのだが....。