概要
I字バランスには明確な定義があるわけではなく「Y字バランスに近いが、Y字よりも上に足が上がっているポーズ」がY字バランスとは異なる、あるいは上回るものとして、便宜上「I字バランス」と呼ばれている。
つまりおおよそ「Y字バランスの足を上げすぎた形」が、主に「I字バランス」とされるポーズである。ただし実際は「"いわゆるY字バランス"の発展形」に限定されていない。
細かい点はY字バランスのページも参照。
「I字」の由来はおそらく「Y字の上部分が狭まった形」あるいは「両脚が一直線になっている」≒「Y(字バランス)というよりI(字バランス)に近い」ためだろう。
実際、極まったI字バランスは身体のラインか両脚が(Yよりも)Iの字に近い形のポーズとなる。
タグ「I字バランス」
区別があいまいな部分も大きくごっちゃになっている場合もあり、「Y字バランス」と「I字バランス」両方のタグをつけている作品もある。
なおpixivではとある流行の影響(後述)により元とも言える「Y字バランス」よりも「I字バランス」のイラストの方がはるかに多い。
ポーズとして
I字バランスのような開脚は新体操やバレエダンサーのように、(特に幼少から)過酷ともいえる柔軟トレーニングの特殊な訓練を受けることで無理やり大開脚を可能にした「特別な身体」による動作であり、訓練を受けていない普通の人にはほぼ無理な動きである。
普通の人が強引にしようとすれば関節を痛めたり、不安定かつ受け身のとりにくい姿勢からの転倒などによって最悪ケガでは済まされない事故を起こしかねないため、安易に試みることは非常に危険である。
絶対に素人はマネしないように。
なおそうした背景から「I字バランスが可能である」ということは、「そういった特別な訓練をしてきた経歴がある」あるいは「ある種超人的な体質を持っていること」を示すこともできる。
(イラストにする上では、その辺りの事情は全く勘案されていない場合も多いが)
シックス・オクロック
世界では100年に1人と言われる伝説的なバレエダンサーであるシルヴィ・ギエムによる「シックス・オクロック(6時のポーズ)」として有名。
脚を限界まで高く上げピタリと止め「6時の時計」のように見える特徴的なそのポーズは、当時のバレエ界のみならず体操・スケート界の常識を塗り替えるほどの大きなインパクトを与え、時計会社ロレックスの広告にもなった。
それがあまりに超人的な動きとして「亜脱臼」と表現されることもあり通称"二重関節"と呼ばれる「関節過可動性」の人にしか成しえないポーズと言われている。
二重関節・関節過可動性
「二重関節」は俗称、学術的には「関節過可動性」と呼ばれる状態。この状態は「関節の可動域(動かせる範囲)が"広すぎる状態"」で、「まるで関節が2つあるようだ」として二重関節と呼ばれている。
関節の硬さには個人差があり、特に「関節過可動性」とされる人は「骨を関節部分へ固定する力」などが緩く"動かしやすいがその分安定しない(外れやすい・脱臼しやすい)"状態。つまり普通の人には不可能な可動域を持つ代わりに関節部分を痛めやすい状態と言える。
(もちろん固すぎる関節によってケガをすることもあるためケガの防止には「適度な柔軟性」を維持することが理想的とされる)
なおこれほどの柔軟性は主に遺伝的や先天的な体質として扱われやすいが、関節の可動域自体は柔軟トレーニングによってある程度広げることが可能。特に筋肉や靱帯なら"伸ばせば伸びる"ためケガ寸前の柔軟トレーニングによってそれなりの可動域を得られる場合もありえる。
とはいえ"骨格"はそう変えられるものではない。体ができあがる前の幼少期であれば多少変えやすいだろうが、大人の場合骨格の可動域はいくらトレーニングを重ねても広げることが難しいため、"幼少期でほぼ決まってしまう"のも間違いではなく"ほぼ先天的"と言うのも的外れではない。
形について
I字バランスには厳密な定義は存在しない。
概要で説明した通りざっくりと「片足立ちでもう片方の脚を大きく上へ伸ばすポーズ」などがひとまとめに「I字バランス」と呼ばれている。
脚を前へ上げるタイプや横へ股割りするタイプ、あるいは脚や体の位置などからいくつかのパターンに分類できなくもないほど。
以下は大きく分類できる範囲の形。
バレエタイプ1・上げた脚が上半身の横~後ろにくる形
特に「脚を上腕や肩の後ろ側で抱える形」が代表的。
(下記タイプ2を兼ねる場合もある)
バレエタイプ2・両脚がほぼ一直線にできるくらいの「横」開脚
腰を横に倒して両脚を左右へ大きく開く(股割りに近い状態)形で、「Iの字」として最も綺麗にできる。
前上げタイプ・片足を前方向へ大きく上げる開脚
足を前方向へ上げるため、上記のバレエタイプ1・2とは区別しやすい形。
現実的には上記バレエタイプに比べると必要となる可動域はやや狭いが、綺麗な形をとるにはバレエと同じような柔軟性が必要。
Y字バランス系と大きく異なるI字開脚ポーズ:ビールマンポジション
足を前や横方向に上げるのではなく、腰を前に倒して脚を背中側へ上げるポーズ。
フィギュアスケートの「ビールマンスピン」「ビールマンスパイラル」のポーズとして有名で、ビールマン〇〇と呼ばれやすくI字バランスとは区別されやすい。
体勢の関係でY字バランス系統とは「お腹~腰がほぼ下向き」「上げた脚の膝が完全に後ろへ向き、(背中側へ足を楽に曲げられる)」といった大きな違いがある。
作品の題材として
男性によるI字バランス
セクシーなポーズであるため作品は女性キャラがほとんどだが、男性キャラで描かれることも稀にある。
ちなみに現実的には骨格や体質の関係上、男性はより過酷な柔軟トレーニングが必要、らしい。
失敗している姿
先述の通りかなり無理のある姿勢であるために、そもそも足を上げきれなかったり、体勢を崩したりして失敗してしまった形。上述の成功パターンと一緒に描かれることも少なくない。
ネタ枠
形にはなっているが、なんか違うもの。
ちなみに
ポーズの関係上スカートではパンチラさせやすく、それ以外でも股のラインを見せつけるような構図にしやすいためセクシーな作品も非常に多いが、
あえてパンツや股のラインを隠してセクシャルさを抑えた作品もあるにはある。
流行「I字バランス部」
2020年9月末、Twitter上で「#I字バランス部」というハッシュタグが登場し、
その流れからSNS上でI字バランスのイラストなどを投稿することが大きく流行した。
この流行により、pixivでも2020年9月末~10月始めのごく短期間だけでも「I字バランス」の作品総数がそれまでの倍以上に、ひと月でおよそ5000件以上増えている。
関連イラスト
あなたはほんのちょっとだけでもいいから頑張る姿勢を見せてください…。
関連タグ
踵落とし、ネリチャギ:脚を上げて、上から踵を当てるアクション
ジェノサイドカッター:足を開き、大きく蹴り上げるアクション
外部リンク
- あなたはできる? I字バランスのイラスト特集 - pixivision(2023年1月10日)