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概要編集

洒落怖にて書かれた怪談。

この事件は架空のものであり、「IZUMO社」という航空会社も架空であり実在しない。

また、「可美村」という苗字も実在しない(某ジャンプ作品の主人公のような配慮と思われる)。


IZUMO社航空機墜落事故の唯一の生存者である、「可美村貴代」ちゃんとその祖母が何者かに惨殺された事件である。殺される前また貴代ちゃんは長らく植物人間状態であったが意識を回復し会話はできないが奥歯に電極を取り付け、歯を噛み合わせると電子音が鳴る仕組みでコミュニケーションを可能にした。


以下はICレコーダーに記録された会話の内容である。

吹き込まれた声は基本的に「可美村緋那」(ひな)のものだけである。彼女は貴代ちゃんの叔母であり、警視庁の刑事である。


会話(かなり長いため注意)編集

一回(NO) 2回(YES)


「こんにちは」

無音。

「私のことを覚えていますか」

二回。

「ええ、緋那おばさんですよ。少しお話をしてもいい?」

二回。

「今日はお日様が出ていますね。気持ちいいですか?」

二回。

「お外に出ます?」

一回。

「ここでいい?」

二回。

「そう。それじゃあ、ここで」

無音。

「あのね、おばさん、事故の時の話をしたいんだけど、いい?」

無音。

「駄目?」

やや後、二回。

「駄目なの?」

一回。

「いいの?」

二回。

「それじゃ、聞きますね。貴代ちゃんは旅行の帰りだったんですね」

二回。

「空港を出た時は何も異常はありませんでしたか」

二回。

「他の乗客の人たちは普通でしたか?」

二回。

「飛んでいる最中に何かが起こったのですね」

四回、間断なく。

「それはYESということ?」

三回。

「つらい? この話、やめましょうか?」

しばし後、一回。

「続けられる?」

二回。

「じゃあ、もう少し頑張ってくださいね」

二回。

「事故の前、飛行機は揺れましたか?」

二回。

「恐かった?」

やや後、一回。

「その時には、もう落ちると思いましたか?」

一回。

「大したことはないと思ったんですね」

二回。

「揺れはだんだん酷くなりましたか?」

やや後、一回。

「しばらく小さな揺れが続いたんですか?」

一回。

「それは、つまり……揺れが一度止まった?」

二回。

「その後、また揺れましたか?」

二回。

「その後、落ちたのですか?」

二回。

「辛い事ばかり聞いてごめんね。恐かったでしょう?」

二回。

「今日はこれぐらいにしておく? 疲れたでしょう?」

一回。

「まだ話せる?」

二回。

「それじゃあ、もう少し聞いていい?」

二回。

「揺れている以外に、何か異常はありましたか?」

しばし後、二回。

「それじゃあ」

可美村緋那さんの言葉の途中で、三回。

「どうしたの?」

三回。

「顎が疲れちゃった?」

五回。

「震えてるの?」

四回。

「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」

六回。間を挟んですぐに五回。

「少し落ち着くまで待ちますね」

三回。


しばし休憩。その最中にも、数回。


「もう大丈夫?」

二回。

「さっきの話の続きね。何か揺れ以外の異常があったのですか?」

二回。

「エンジン音とかが変だったのですか?」

一回。

「何か爆発音が聞こえたとか?」

一回。

「窓から何かが見えました?」

二回。

「それは何か硬そうなものがぶつかったのが見えたということでしょうか」

一回。

「もしかして、それは墜落の直接の原因じゃないと思いますか?」

一回。

「窓から見えたものが墜落の原因ですか?」

一回。

「それは」

可美村緋那の言葉の最中、何度も続けて。(回数不明)

「貴代ちゃん、だいじょうぶ? 恐いの?」

連続。

「もう大丈夫だから、怖がらなくてもいいんですよ。ここは病院だから、落ちたりしませんよ」

七回。

「さあ、落ち着いて」

五回。


しばし後、回復。


「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」

二回。

「続けられますか?」

二回。

「何が見えたんですか?」

無音。

「ああ、ごめんね。そこから見えたのは、ええと、他の飛行機か何かですか?」

一回。

「少し質問を変えますね。貴代ちゃんの席は窓際でしたか?」

二回。

「窓からは飛行機の羽も良く見えたんですか?」

二回。

「羽に何か異常があったんですか?」

やや後、二回。

「羽が壊れてた?」

やや後、二回。

「だから飛行機は落ちたのかしら?」

しばし待つも、無音。

「羽が壊れて落ちたわけじゃないの?」

一回。

「羽が壊れて落ちたのね」

二回。

「なんで壊れたのか、わかりますか?」

二回。

「何かがぶつかったの?」

一回。

「勝手に壊れた?」

一回。

「誰かが壊した?」

二回。

「誰かが、そこにいたの?」

二回。

「それで」

言葉の最中、小刻みに何度も。

しばし質問の声もなく、音だけが続く。


「いい?」

一回、一回、一回と、間を挟んで。

収まるまで待つ。


「その誰かは、羽だけにいたのですか?」

一回。

「一人じゃなかったんですか」

二回。

「たくさん?」

二回。

「いろんな所を壊していた?」

二回。

「窓は」

二回。

「それは窓を壊して入ってきたということ?」

二回。

「その何かは、乗客に酷いことをしたのですか?」

二回。

「貴代ちゃんの傷も、その何かのせい?」

何度も。

「傷口から唾液が」

何度も。

「牙が生えてた?」

何度も。

「ぬめぬめしてた?」

何度も。

「目が真っ黒で、葡萄みたいに小さくて、びっしりと」

何度も。

「子供みたいに小さい」

何度も。

「手が、ううん、足? たくさん生えてて、這い回るみたいに」

何度も。

「変な声で、何かを擦ったみたいな声で」

何度も。

「すごく小さな穴や隙間から、ずりずりって出てきて」

何度も。

「身体に張り付いてきて」

何度も。

「登ってきて」

何度も。

「噛みついて」

電子音は以降、一切鳴らなくなる。

「食べられ」

「痛い」

「助けて」

記録の中でピタピタと言う音と何かを引きずる音が聞こえたが、詳細は不明である。


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