概要
株式会社セルシス(CELSYS)より発売されたイラスト特化のペイントツール。略称はイラスタ。
豊富な機能や優れたブラシ性能を有する。
ComicStudioよりもカラーイラストに特化したツールで、数か月以上のクローズドβテストを経て発売された。
Pixivプレミアム会員であれば、IllustStudioのフル機能を月々1000ppで利用可能である。
現在、パッケージ版、12か月ライセンス版、月額利用版、illustStudio-Tab-Mateモデル、illustStudiomini(ペンタブバンドル版)が出ている。
なお、2012年5月31日発売の後継ソフト「CLIPSTUDIOPAINT PRO」登場に伴いバージョンアップは終了する。アップデータもCLIPで配布されている現行バージョンで最終になる。
2013年10月31日まで、IllustStudio製品版ユーザーは申請をすることでダウンロード版のCLIP STUDIO PAINT PROのシリアルコードを貰えた。
なお一度シリアルコードを取得すれば2013年10月31日以降も利用が可能であり、CLIPアカウントからシリアルコードを確認できる。
2013年11月以降はCLIP STUDIO PAINT PROが3000円で購入できる優待価格となっている。
IllustStudioの販売は2015年6月30日で終了する。販売終了後のサポートは2018年末までは続く予定(ただし新OSへは動作確認のみ。不具合発生時のアップデート更新はされない。)
なお、pixivプレミアム会員向けのillustStudio for pixivも2015年6月30日を以て申し込みを終了する。利用は2015年年末まで
illustStudio for pixiv新規お申込み・ご提供終了予定のお知らせ
特徴
ComicStudioの姉妹品らしくSAIのペンレイヤーのようなベクターレイヤーを搭載しベクター交点消去やペイント缶ツールではみ出さない塗り等ComicStudio譲りの機能を搭載している。
ただその反面、オンラインマニュアルや公式の講座と食い違いが見られる部分があるため、閲覧の際は注意が必要である。
CMYKの表示・出力にも対応し、より印刷所への入稿がしやすいのが大きな特徴。CMYKで色の調整も可能である。
Pixivのお絵かきツールランキングでは、ソフトウェアに於いてはPhotoshop,SAIにつぐ第3位の勢力を誇っている。
ベクタ編集機能
SAIで言うところの「ペン入れレイヤー」の線編集機能のこと。
ラスタからベクタ、ベクタからラスタへの変換が可能。
線を太らせたり痩せさせたりすることも出来る。
線を書いてあとから滑らかにしたり、雑に描いた幾本もの線を一本にまとめるといったことも可能。
はみ出し線も、交点消去を利用することで簡単に消すことが出来るため、効率が良い。
このように、非常に柔軟な機能を搭載しているため、ペン入れのデジタル化が苦手でも、綺麗な線画を仕上げることが可能である。
色彩時にも、ベクタを自動的に解釈することで、はみ出さず且つ塗り残しの無いように塗りつぶすことなどが可能である。
また、SAIにあるようなベクタ編集機能や、線補正機能も搭載している(当然だが感覚は若干SAIと異なる)。
パターンブラシ
ペイントツールに慣れない人間にとって、IllustStudio(以下IS)の一番の使いどころはパターンブラシのカスタマイズのしやすさにあると思われる。他社ペイントツール(PhotoShopCSやIllustratorCSなど)では実現の難しい形状のブラシ(特に両端がきっちり繋がらないとならないもの等)でも難なく両端が繋がるため、コツさえつかめば使い勝手のとてもいいブラシが自分で簡単に量産できる。
これらの利便性から、セルシス社の提供しているCLIP WEBでは、ブラシ素材が特に人気を博している様子である。
定規
パース定規、背景を描く時に便利なパース定規、一点透視方法・二点透視方法・三点透視方法などを補助してくれる定規がついていて使いこなせばかなり楽に背景が描ける。
対象定規を使えば、左右対称・3点対象等に描いてパターンも簡単に作れる。
フィルタ
illuststudioにはPhotoshopにも勝るとも劣らないフィルタがある。と言ってもPhotoshopにあるすべてのフィルタが搭載されているわけではないが。
illuststudio搭載フィルタ
効果 | グラデ彩色、ゴミ取り、モザイク、水彩境界、消失点、雲模様 |
変形 | 極座標、波、波型、渦巻き、ジグザグ |
線補正 | 線編集、線幅修正 |
シャープ | シャープ、シャープ(強)、アンシャープマスク |
ぼかし | ぼかし、ぼかし(強)、ガウスぼかし、放射ぼかし、移動ぼかし、スムージング |
2値化や階調化、階調の反転もある。
Mac版について
当初Windows版のみだったが、セルシスがすでにComicStudioにおいてWindows版とMac版の両方を開発している実績があることから、Macユーザーの間ではilluststudioでもMac版がリリースされることが期待されていた。その後、2010年1月に、遂にセルシス社からilluststudioのMac版をリリースする予定であることが発表された。だが、最終的にはCLIPSTUDIOPAINTに統合される形になった。
これらの経緯から、実質的に「CLIP STUDIO PAINT Pro Mac版 イコール illuststudio Mac版」と見なして差し支えない(「Mac でイラスタを使いたいのに Mac 版がなくて困っている」という人を今でもたまに見かけるが、そういう人は「CLIP STUDIO PAINT Pro Mac版」を購入すればよい)。