演者一覧
CV:千葉翔也
実写ドラマ:宮世琉弥
概説
本名:河辺太人
言葉の魔術師、韻の精密機械、ラップ界の発明王。
圧倒的な実力を誇るフリースタイルラッパーで、MCバトル選手権DRB3連覇を誇る。
街ですれ違う誰かの雑談から、即興でライムを紡ぎ出す抜群の作詞センスと脊髄反射級の語彙の回転速度を備えた、文字通りの天才。
孔明が予てから月見英子の強力な助っ人と見込んで探していた人材でもある。
しかし元々気弱でネガティブな小心者であり、プレッシャーに弱い。MCバトル中の急性胃潰瘍という過去のトラウマからメンタルを病み、バトルも引退して現実逃避の日々を過ごしていた。
経歴
過去
学生時代から筋金の入った陰キャラだったが、同じ陰キャラのクラスメイト・佐々木が不良に絡まれて町の高架下へ連れ出されるのを見て後を付けていく。
そこでいじめが発生する――かと思いきや、彼らはサイファー(即興ラップ)を和気藹々と楽しみ出した。
その様子を見て一大決心で自身もその輪に加わり、やがて仲間内でも突き抜けた才能を覚醒させ、ある時クラブで赤兎馬カンフーのMCバトルを観覧して憧れを抱くようになった。
そして自身もMCバトルへ参加を始め、並み居る強豪を押しのけ、さらには憧れの赤兎馬カンフーにさえ土を付け、あっという間にフリースタイルラッパーの頂点へと駆け上がっていった。
しかしMCバトルで名声を得た代償として、本来の小心者の性質が足を引っ張りはじめ、やがて観衆の視線が一種の脅迫のように感じるようになり、三連覇を達成したそのバトルの直後に胃の激痛と過剰なストレスによる精神的な疲労から失神し、救急車で運ばれてしまう。
それ以来MCバトルからは離れ、一部の界隈には顔が知られたために目立たぬようにひっそりと隠遁してきた。
それでもラップへの情熱の火は燻ぶり続け、気が付けばライムを口ずさみ、暇を持て余すと作詞のために筆を走らせては胃痛に苦しんできた。
本編
赤兎馬カンフーをはじめ、多くの関係者からMCバトル復帰の圧力に晒されて弱っているところ、コインランドリーにて先客の今日一厄介そうな奴に絡まれる。
最初はすげなく無視を決め込むつもりだったが、孔明から独特のライム(お経のような平坦なラップ)で煽られ、BBラウンジで開催されるMCバトルへの挑戦を突き付けられる。
「自分が勝てばMCバトルに復帰、そちらが勝てば望むものを叶える」という条件を提示され、興味が拭い捨てきれず、BBラウンジへ足を運んでしまう。
周囲の様子を見てドリンクを一杯飲み、英子の歌った懐かしい青春時代の曲を聞き終わって帰ろうとしたとき、オーナー小林司会でMCバトルが開幕すると、まんまと孔明の術中にハマってステージの上へと引きずり出されてしまう。
その後、孔明と一進一退の白熱したMCバトルを演じ(オーナーからは趙雲と姜維の一騎打ちを幻視された)、まさかの孔明の実力にドローに持ち込まれ、焦りながらもかつて培った実力を遺憾なく発揮し始める。
直後、孔明の放った漢詩「去者日以疎」に触発され、自分が過去の幻影に囚われて自縄自縛に陥っていたことを覚る。そこから反撃のライムを繰り出して過去を払拭、孔明に勝利した。
気付けば胃痛もなく、平然とステージで戦う自分がそこにいた。
ステージ終了後、楽屋で改めて欲しいものを尋ねられたKABEだったが、「一億円欲しい」と冗談を交えつつ、「欲しいものは手に入った」と返して孔明に感謝の意を示す。
同時に孔明から「天下太平のために共に歌って欲しい」と請われ、その要請に二つ返事で応じるのだった。
ネタばらし
なお、KABEがバーカウンターに座った時点で孔明の計略は発動していた。
まず店のバーテンダーに指示して胃の調子を整える煎薬をKABEのドリンクに混ぜてKABEの体調を改善させておき、次にいつも孔明の密偵として働いてくれている英子のファン1号にリサーチを依頼してKABEの好きな曲を探り出して英子にリクエストし、あとは成り行きに任せてKABEをステージへと上がらせる。
あとはKABEが初心を取り戻してMCを楽しむ境地を思い出させれば、これにて終了。
孫子の兵法【能使敵人 自至者 利之也(訓:よく敵人をしてみずから至らしむるにはこれを利するなり)】――相手に欲しいものを与えれば、敵と言えども寄ってくる、の計で見事KABEを陣営に引き込むことに成功したのだった。
人物
根っからの豆腐メンタルで、急性胃潰瘍もこの神経のか細さが原因である。
人並みに人情はあるものの、この気弱さゆえに普段の生活でもなかなかガツンと言えず、尻すぼみな返答で場を濁してしまうこともある。
しかしひとたびステージに上がってMCを開始すると、強烈なスラングも容赦なくぶち込んでいく図太さを発揮し、持ち前の語彙力と作詞速度であっという間に聴衆を引きずり込む。
また追い詰められればきっちりと本音は言える方で、ただのコミュ障とというよりは自信の無さが態度に出てしまう性格といえる。
孔明とのMCバトル後は、孔明の計略が上手く精神にも作用したようで、胃痛に悩まされることもなく、MCバトルともなれば鋼の心臓に切り替わって鋭いライムで、以前以上に切り込めるようになった。
上京後から地元に帰っていなかったせいもあってか、己が地元の英雄(スーパースター)になっていた自覚は皆無であり、孔明から赤兎馬カンフーとの再戦を課題に出され、気晴らしに地元に帰ったときには周囲からのチヤホヤ振りに面食らっていた。……同時に自身のモブ容姿ぶりに言及されて、ちょっと凹んでいる。
なお赤兎馬カンフーのファンだったからか、『三国志演義』には一通り目を通しているらしく、「去者日以疎」もその内容を理解するなど、中国史や漢詩にもそれなりの教養がある様子。
備考
「MCバトルでのプレッシャーから胃潰瘍になったことがあるというエピソード」「バトル大会3連覇」「ペレストロイカをネタにしたリリック」などから、ラッパーとしてのモデルはR-指定ではないかというファンからの考察も多い。