概要
Yahoo!JAPAN公式サービスの一つ。ユーザー同士が自由に質問・回答を投稿できる交流サイトである。2004年4月にベータ版が公開され、翌年11月に正式版のサービスが開始された。同類のサービスはYahoo!の各国語版にも存在する。
質問
トップページの「質問する」から質問投稿フォームに移動し、質問の内容を入力(全角2000文字まで・画像の添付も可能)。満足のいくBA(ベストアンサー)が得られた場合にお礼として回答者に渡す知恵コインの数、および回答して欲しい人の属性(性別、年代)を指定する回答リクエストもここで設定する。匿名での投稿も可能だが知恵コインが300枚必要となる。(アプリ版では不要)
質問の掲載期間は7日間で、回答がつかぬまま期限を過ぎても質問は再度掲載される。質問者は回答に対し任意の時期にBAを選択することができる。かつては質問後7日過ぎても質問者がBAを決めなければ閲覧している第三者の「投票」で7日後にBAを決定(投票数0、または「この回答はBAにふさわしくない」という票が最も多かった場合質問自体が消滅)していたが、ユーザーの7日以上過ぎた質問でも自分でBAを決定したいという声を受け、現在はその機能は廃止されている。質問者が何も選択しないまま期限を過ぎた場合は「受付終了」となり、BA決定時のお礼コメント以外で回答への返信はできなくなる。
投稿した質問に回答が付くとトップページの右上にあるユーザーのアイコンに件数が数字で表示されるようになり、質問ページにて回答者に対するコメントの投稿やベストアンサーの決定を行う。ベストアンサーが選ばれた質問は「解決済み」となり、質問投稿フォームで指定した知恵コインがお礼として回答者に支払われ、手持ちのコインから消費。以降、コメントの投稿はできなくなり、ベストアンサーの再選定も不可能となる。
回答
検索フォームからの検索結果や「あなたにおすすめのQ&A」、各種ランキングなどに表示される質問ページを選択し、回答投稿フォームに回答内容を入力(画像も添付可)。投稿した回答内容についての補足や質問者からの返信に対しての回答は可能だが、同じ質問に対して2回以上回答することはできない。また、「投票受付中」「解決済み」になると返信内容の取り消しができなくなる。回答した内容に対して質問者からベストアンサーに選ばれると質問は解決済みとなり、質問者がお礼として設定した知恵コインが手持ちの数にプラスされる。
問題点
知恵袋は15年以上の歴史があり、多くの利用者と膨大な情報量ゆえに重宝され、そして以前では面白い質問や質の高いネタ回答の類が話題になったりした。しかしながら現在は、
・自分が望む回答がつくまで偏執的に同じ趣旨の質問をいくつも立てる
・(本来ならば自分でやるべき学校の)課題や宿題の丸投げ
・お客様窓口等公式の問合せ先に聞けばものの数分で解決するような質問
・知恵コイン稼ぎ目的で荒らしに反応したり、質問内容への回答になっていない回答(「私も知りたいです」「それを知ってどうするつもりですか?」など)をする
・アニメや特撮のエア視聴と思われる投稿
・未成年との性行為の是非(具体的に言えば犯罪になるかどうか。同種質問は多数あるのに検索すらせず質問を立てる)
・明らかな誤答を指摘するのならまだしも、問題の本質に影響しない他人の回答のあら捜しをして自分をアゲる回答者
・犯罪やそれに類する反社会的行為を奨励するような投稿
・懐古厨など、質問の名を借りた意見広告
・説教・逆張り目当ての感情に任せた回答
・質問者への罵倒や辛辣・高圧的な意見や揚げ足取り
・業者による広告的な利用、特定の人々や特定の職業に従事する人々への差別やヘイト投稿
・誤解を招くような印象操作、有名人などに対する誹謗中傷やアンチ活動にあたる質問及び回答
・回答するのにニュータイプか超能力者並みの推察力が必要とされるような5W1Hの記述が全くない、日本語の文章として意味を成していない雑すぎる質問
・↑に関して、状況をゲスパーする(一方的に質問者に非があると決めつける)回答者、そしてそれに逆ギレする質問者(まぁこれはどちら側もスルーを決め込むしかない)
・AIによるデマ、真偽不明の回答(後述)
…という風に規約やマナー、常識を守らない利用者が質問者・回答者共に急増、かつての2chのような場になってしまった。(現在は後述にあるような問題が顕在化しており、それ以下とすらいえる状態)
何より問題なのが知恵袋は検索結果の上位に出やすいのである。例えばある有名人の事を調べたら知恵袋でその人に対する誹謗中傷やデマ情報が出てきたりする。
そのため良心的なネットユーザーが離れていき、新たな投稿数や閲覧数も昔に比べて伸びにくくなっており、過疎化が囁かれている。どのカテゴリも荒れ放題で質の低下が深刻化している。それに拍車をかけたのがID非公開と返信機能、ブラックリスト登録機能の悪用である。
返信機能についてはもともと質問者が回答内容が不十分だった場合、さらに詳細な回答を個別に回答者に求める為に実装されたのだが、返信できる回数に制限がなく、質問が解決j済みになるか受付終了にならない限り無限に返信し続ける事が出来る為、「質問に対する回答、それについての補足質問と回答」ではなく「質問者VS回答者の議論」になってしまうことが多々あり、Q&Aサイトとしてのそもそもの存在意義を無くしてしまっている。双方がきちんと「議論」の体裁を守って、冷静にやり取りしているなら、まだ有益と言えるが、そんな利用者ばかりなら上記のような問題は起きない。
ID非公開機能はその名の通り、IDが非公開になる機能である。(というか、そもそもIDなんだから、匿名性は担保されてるのにさらにそれを非公開にする意味が分からない、という意見は実装当時から一定数ある)
勿論、特定利用者に対する荒らしや粘着を防げるのでそれ自体は有益な機能ではあるのだが……。
そういった声を受け、「ID非公開機能を利用した品質の低い投稿が多い(原文ママ)」、「ID非公開者がID公開者よりも質問を放置する確率が高い」と認識した運営によって、2024年7月からID非公開にした質問、及び回答者が回答後ID非公開に変更する機能が廃止された。
知恵袋ではIDをクリックすると、その利用者の個人ページを閲覧でき、過去にどのような質問をしたのか、どのような回答をしているのかを見る事が出来た(現在は廃止。これもまた荒らしや釣りが跋扈する一因になっている)。それによってその利用者の為人(釣りや煽りや荒らし、ステマが目的なのか)をある程度事前に把握できたのだが、ID非公開が導入されたことにより、その種の利用者は素性(というと語弊があるが)を知られることなく、荒らしやステマ活動が行えるようになり、知恵袋の質の低下の加速に一役買うこととなってしまった。
ブラックリスト登録については、ID非公開とともに本来荒らしや粘着を防ぐ目的で実装され、正しい使い方をする限りは有益な機能なのだが、一方で下記のような致命的な問題点を抱えており、未だに改善はされていない。
気にいらない回答や自分の意にそぐわない回答(それが適切な回答か否かは別として)をした回答者、あるいは自らの質問の不備や違反行為などを指摘してきた回答者を返信で一方的に罵倒、直後にブラックリスト登録して反論できなくするということが普通に起きる。
ブラックリストに登録されるとその質問に対しては同じIDでは以後の返信ができなくなる。つまり登録した側はされた側を罵倒し放題になり、された側は回答を取り消すか、わざわざ新たなIDを取り直して回答なり反論するしかなく、最悪イタチごっこになる。まぁこれは回答者のスルースキルにも委ねられるのだが…
さらには気に入らない回答をした回答者を(これも答えが適切かはともかく)わざとBAに選んで、お礼コメントで罵倒・中傷して逃げる輩も後を絶たない。(お礼コメントについては一度書かれてしまったらどうやっても反論できない)
こんな正気の沙汰とは思えない卑怯極まりない行為や本来、利用者を保護する為であるはずの匿名性の担保を逆手に取った悪質行為が日常茶飯事で横行し、運営がそれをほぼ黙認しているのだから、利用者のモラルの低下や、荒らし行為が起きない方が不思議である。
対策としては、質問者も回答者も気に入らない回答(質問)は無視すること。これに尽きる。
荒らしや釣りの投稿に反応するのは相手に活力を与えかねない。
後、一概には問題、とは言えないのだが、BAを質問者の『任意』で選べるため、それが間違っている回答でもBAになってしまうことがしばしばある。「意見募集系」の質問なら、質問者の納得できた意見がBAになるのは当たり前であるのだが、(むしろそれについては文句を言う方がおかしい。一概に問題とは言えない、としたのはこの為)法律や医療など、実際にBA回答の通りに行動したら、問題にならないわけがないような回答が質問者が一番納得できたから、とBAになってしまうことも少なくなく、「知識を共有する」という知恵袋本来の趣旨からすれば、看過できない欠点も露呈している。これについて運営は「回答の信ぴょう性は保証しない=何が起きても自己責任」としている。
もっとも最盛期に比べれば過疎化してきているといえ、それでも1カテゴリに付き一時間あたり数百~多ければ千件以上寄せられる質問に対する回答の正誤を逐一精査して対応しろ、というのも無理な話ではあるのだが……。
くわえて利用登録に際し、個人情報を入力する必要があるのだが、別に本人確認書類などの提出が義務付けられているわけではないので、名前から年齢から性別、職業までデタラメ書き放題である。それ自体は問題ないが(そもそも匿名性が売りのコミュニティなのだから)、一方で弁護士や医師など「難関系の国家資格保持者」を詐称する輩が跋扈する原因ともなっている。(ちなみに弁護士を詐称するのは軽犯罪法違反、弁護士を名乗って質問に回答する行為が非弁行為に当たるかについては、非弁行為は報酬を得る目的でなければ成立しないので、回答=直ちに弁護士法違反にはあたらないが、医師については医師を詐称すること自体が医師法に違反し、軽犯罪法違反よりも重い刑事罰の対象になる)
こうした状況に対し、知恵袋の運営も、複垢を大量作成できないようにしたり削除基準を大幅に引き上げたり(またこの基準が不明瞭。同じ文言でも削除されたりされなかったりする)等の対応してはいるものの、知恵袋ユーザーのモラルは向上していない。現在ではTwitterやLINEなど多様なSNSが普及したことにより知恵袋の重要性は低下した。正確な統計は不明ながら、若年層はSNSを好む傾向があり、逆に知恵袋に利用し続けているユーザー層は高齢者が多いとも言われている。
因みに上記の事例とは別だが、最近では折角質問を投稿しておきながら回答が来たにもかかわらずベストアンサーを決める事も無くそのまま放置されているケースが非常に多い。これに関しては「思ったような回答が来なかったから」や「ベストアンサーを決めるのが面倒くさいから」という憶測も多いが、理由は質問の投稿者以外分からないのでこの事態にストレスを感じているユーザーも多い。なお、この問題は以前の仕様では1週間経つと他のユーザーが回答に投票する形(現在では廃止)に変わるというもので、それでも投票が一切無いと質問自体が削除されてしまうものだった。
2021/4/21、違反投稿者に対する投稿停止措置の強化の一環として、ようやく違反行為に起因するアカウント利用停止者が新規アカウントを取得しても質問や回答を投稿できない措置を取る、と発表された。また、同一利用者による複数ID取得を防ぐため、新規取得には携帯電話番号の登録が必須となった。(番号を複数持っていれば取得可能だが、番号を使いまわそうとすると、その番号に紐づいているIDが使えなくなる)
ただ、前述されているよう情報交換・共有の場は既に各SNSに移行し、知恵袋自体は過疎化の一途をたどっており、これらの対策が遅きに失した感は正直否めない。
ちなみに、2023年11月17日からYahoo知恵袋にOpenAIが導入された(現在はその種類も増えている)。導入の背景としては、「多くの方がより質問をしやすくなること、それらの質問に対する回答を増やすことを目指して導入した」との事。
しかしデマや真偽不明の回答が多く、そもそも回答になってなかったり、的外れなAI回答で埋め尽くされてる事もあるなど、AI導入がメリットになってるとは言い難い(一応設定でオフは可能)。