概要
ドイツの伝承に伝わる地中で暮しているといわれる緑色の苔で作られた衣服を身に纏った小人一族。彼女らはドイツ、特に南東部の荒野や雑木林の陰、地中の穴に住み、緑の苔の上で寝起きしている。
森の化身であり、森のありとあらゆる植物の薬効に通じ、疫病が流行った際には人々にそれに効く薬草を指し示すといわれるが、薬草を渡す手の反対の手は疫病を蔓延させる力を持つともいわれる。
ドイツ語ではモースフロイライン(MoosFräulein)と表記され、同族全般は苔人を意味するモースロウテ(Moosleute)と呼ばれている。
17世紀のザールフェルト在住のとある農民が雑木林で木を刈っていると、突然何処からともなくやって来て農民にこのように願い出た。
「最後の木を倒したら、十字を3つ、刻むといいわ。きっと良いことがあるから」
しかし農民はそんな言葉に全く耳を貸さずに無視してその日の仕事を終えた。
すると次の日も苔女はやって来て「狩魔王(ヴィルデイェーガーあるいはナハトイェーガーと呼ばれる、ワイルドハント的な何かで、苔女の人の敵)から逃れたければ、十字を3つ彫った木の幹に腰を下ろすしか手がないわよ。どうして刻まなかったの?」と告げた。
それでも農民は十字を彫ろうとしないばかりか、逆にせせら笑った為、流石に彼女も怒り、農民に飛びかかり、物凄い力でぐいぐいと押さえつけた。
息も絶え絶えになった農民は彼女に詫び、それ以来、苔女の言いつけを守って必ず十字を彫るようになった為、2度と痛い目に遭うことはなくなったという。
別名
- ヴァルドロウテ(Waldleute:森の人)
- ヴァルドシュラート(Waldschrat:森の小鬼)
- ヴァルドウィボ(森の妻)
- ヴァルドフロイライン(森の乙女)
- ブッシュグロスムッター(小さな木の祖母)
- ブッシュヴァイヒェン/ホルツヴァイヒェン(小さな木の女)
- ホルツヴァイバー(小さな木の貴婦人)
- ホルツロウテ(Holzleute:木の民)
- リュッテルヴァイバー/リュッテルヴァイヒェン(震える女)
- モースヴァイブヒェン(Mooseweibchen:小さな苔女)