概要
二十四節気の第22。『日短きこと至(きわま)る』という意味で、その名の通り北半球では一年のうちで昼が最も短く、夜が最も長くなる日。だいたい12月の20~22日ごろ。
冬至の風習
1年で最も日が短いということは、翌日から日が長くなっていくということ。そこで、冬至を「太陽が生まれ変わる日」ととらえ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われていた。太陰太陽暦(いわゆる旧暦)では冬至が暦を計算する上での起点となっている。
日本
中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、「陰が極まり再び陽にかえる日」という意の『一陽来復(いちようらいふく)』といって、冬至を境に運が向いてくるとしている。つまり、「この日を境にみんなが上昇運に転じる日」とされているのである。
冬至の行事食
『ん』がつく食べ物
冬至には「ん」のつくものを食べると「運」が呼びこめるといわれている。にんじん、大根、蓮根、うどん、銀杏、金柑……など「ん」のつくものを食べ、『運盛り』 といって縁起をかつぐ。運盛りは縁起かつぎだけでなく、栄養をつけて寒い冬を乗りきるための知恵でもあった。また、「いろはにほへと」が「ん」で終わることから、「ん」には一陽来復の願いが込められている。
かぼちゃを漢字で書くと南瓜(なんきん)。つまり、運盛りのひとつであり、陰(北)から陽(南)へ向かうことを意味している。
冬至粥
冬至粥とは小豆(あずき)を使ったお粥のこと。小豆粥ともいう。昔から小豆の赤は邪気を祓うと言われているため、冬至粥で邪気を祓い、翌日からの運気を呼び込もうという意図がある。
かぼちゃのいとこ煮
小豆とかぼちゃを煮た『いとこ煮』を食べるという地方もある。本来、『いとこ煮』とは硬いものをおいおい(甥)入れて、めいめい(姪)炊き込んでいくことから『いとこ煮』と名付けられた料理なので、いとこ煮自体は小豆とかぼちゃ以外のものも存在する。
ゆず湯
柚子を浮かべた湯舟に入浴する。これは、運を呼びこむ前に体を清めて厄払いするための禊としての意味がある。また、柚子(ゆず)=「融通」がきく、冬至=「湯治」の語呂合わせでもある。
柚子は実るまでに長い年月がかかるので、「長年の苦労が実りますように」との願いも込められている。
海外
古代ヨーロッパの、非キリスト教圏では元々冬至を祝う習慣があった。後にキリスト教徒は、その祝祭をキリストの生誕と結び付け、冬至とともにキリストの生誕を祝うよう布教した(実際のキリストの誕生日は諸説あり、はっきりした時期はわかっていない)。これがヨーロッパにおけるクリスマスの起源とする説がある。