泊地水鬼
はくちすいき
『モウ…トベナイノ……トベナイノヨ……ワカル?…ネェ』
デザイン
泊地という名の通り、2013年の春イベントで登場した泊地棲鬼や泊地棲姫と似通った容姿を持つ。
長髪の側頭部から伸びた冠状の二本角やドレスを纏った姿、背中の長い砲塔、下半身と一体化した艤装という特徴は前身の泊地棲鬼・姫と共通する。
しかし、泊地水鬼はカラーリングが反転しており、前二者が白髪に黒い冠・黒いドレスだったのに対し泊地水鬼は黒髪に白い冠・白いドレスとなっている。
過去に登場したボス達と同様戦闘の経過に応じて姿を変えるタイプでもある。丈の長いドレスを纏い、下半身に艤装を嵌め込んだ第一形態は泊地棲鬼、丸い小型機を従えた露出度高めの第二形態は泊地棲姫をオマージュしたものとなっている。
今回のイベントでは港湾棲姫のリボーンとなる港湾水鬼が登場しているが、港湾棲姫と泊地棲姫は以前の春イベントで登場したボスという共通点がある。
今回の起用は三年目を迎えた『艦これ』の記念碑としての意味合いも含まれていると思われる。
『ダカラ…ナンドキテモ……オナジナノヨ…!』
性能
甲作戦最終形態時
耐久430 火力素で150、装備込みで219 雷装0 対空110 装甲240
異常に装甲値が高い上に、かなり高い火力を持つ強敵。
泊地棲姫の後継のような存在ながら水上艦ではなく、陸姫姉妹と同じ陸上基地型であり、三式弾が有効となり雷撃を無効化する。
基地タイプの深海棲艦にしては珍しく主砲二門と徹甲弾に艦爆という砲撃に特化した構成をしており、昼戦ではその高い火力を活かして一撃で戦艦や空母を大破させて来る。
それに加えて艦載機による対潜攻撃能力まで有しており、全てにおいて隙が無いようにも見えるが、対潜攻撃自体はそれほど脅威ではなく、こちらの艦隊に潜水艦がいると貧弱な対潜攻撃を繰り返すだけとなる弱点がある。(同年冬イベE3ボスの軽巡棲鬼といいイベボスなのに・・・)
そのため、ダメコン(応急修理要員)を装備した潜水艦をデコイとする事で比較的安全な戦闘が可能(但し、E-5の最終編成やE-6では対潜能力の非常に高い駆逐艦が随伴しているので要注意)。
また艦載機は艦爆しか装備していないため制空値はまさかの0である。そのため制空権を掌握するには護衛の護衛要塞や軽母ヌ級の制空値だけを考慮すればいい。E-6でヌ級が出ないパターンを引くと自動的に制空権確保になる。
前述の通り、E-6でも「再建中 アンズ環礁泊地」という艦隊名で特定のマスに再登場する(というよりも、E-5の攻略によって海域を制圧して、さらに西へ進むステージがE-6だと考えると同じ位置の同じボスとも考えられる。 E-6はマップの東側に敵が一切出ないので)。
そこでは再建中というだけあって、2隻~3隻の輸送ワ級も従えて駆逐艦(と、時折軽空母も)と共に立ちはだかるが、この時はこちらは連合艦隊なので、再建の途中で6隻よりさらに増えた数でタコ殴りにされる光景が見られる(とはいえ、ここでは三式弾を持って攻略する提督は少ないかもしれない。 専ら、その次のマスに用事のある提督が多いために破壊前の状態でスルーされること多数)。
性格
開幕早々に何の脈絡もなく「トベナイ」と絡んでくるなどやたらネガティブな雰囲気が強いのが特徴で、「この人、アブない人なんじゃないか」ともっぱらの評判。
過去に登場したボスは好戦的だったり挑発的だったりする者が殆どであり、戦闘自体に乗り気でない姫も少数ながら登場していたが、泊地水鬼のような陰惨な狂気に染まったボスは初となる。
また、「イタイイタイ」と痛がりながらも楽しげに笑うという何やら危うい台詞もある。ひょっとしてアレの気もあるのだろうか。どこぞの怖い人に因みフフ痛、あるいはその特徴的な語尾からノヨーちゃんなどと呼ばれたりもする。
そんな可哀想な泊地水鬼ちゃんを不憫に思ったのか、pixivでは本当に飛ばせてあげようとするイラストもある。
『フッ……、イタイ…イタイワ……ウッフフフフフフ……!』
史実の泊地水鬼
モルディブの最南端に位置するアッドゥ環礁に存在したイギリス海軍の秘密基地「ポートT」がモデルとされる。
日本軍は1942年4月のセイロン沖海戦の際も、この基地の存在に気がつかず、戦争後期になって潜水艦の偵察によって初めて存在が確認されたと云われている。尚、日本軍からの攻撃こそなかったものの、ドイツ海軍のUボートU-183の攻撃により停泊中のタンカー「ブリティッシュ・ロイヤルティー」が大破している。戦後はイギリス空軍に移管され、冷戦時は前哨基地として1971年まで使用されていた。
現在は民間航空機用の飛行場ガン国際空港となっており、軍事宿舎はコテージとして転用されている。飛行場姫と同様、泊地水鬼は現代を生きる深海棲艦の一人と言えなくもない。
ゲーム中では飛べない飛べないと嘆いている泊地水鬼だが、現代ではモルディブを訪れる人々を受け入れる空の玄関として活躍しているのである。
翼や空に固執するその言動から、上記のポートTの他のモデルとして旧日本陸軍が開発していたキ77長距離研究機(航空機)と何らかの関連があるのではないかとする推測もある。
キ77は、1943年に日本―ドイツ間の長距離飛行を試みるも、7月にシンガポールを離陸後、インド洋上で消息を絶つ。連合軍に撃墜されたわけでもなく、現在に至るまで発見されていない。実際の航路及び墜落地点が不明なので何とも言えないが、アッドゥ環礁も一応インド洋上である。
開幕で話す「モウ飛ベナイ」も「墜落してもう飛べない」という意味なのではないかとする説である。また撃破時にも「大きな翼」と発言するが、キ77の全長15.30mに対して翼面積が79.56平方mというのは大きな翼と言えるのではないだろうか?
もっともモデルがキ77なら名前に「泊地」と付くのはおかしいのではないかという意見もあり、一概に言い切ることはできない。
中にはこの二説を折衷して「飛べなくなった無念を抱えて漂着したキ77の亡霊が、アッドゥ環礁そのものに憑依して深海棲艦の姿を取ったものではないか」との説を唱える提督もいるが、いずれにしてもはっきりと明言されたわけではない。
「マタ…アノソラニ……アア…キレイ……大きな、翼…!」