手紙(おそ松さん)
てがみ
ストーリー(ネタバレ注意)
その日、チョロ松は手紙を書いていた。
チョロ松は就職を決めた。
家族はそれぞれ祝いの品を持ち寄った。
十四松からは自身の名前を描いたバット、トド松からはスキンケア用品セット、一松からはボロボロの猫のぬいぐるみ、父からはAV、母からはローション…。はたから見ればガラクタ同然だがチョロ松には思い出の詰まった品々だ。
カラ松からは橋本にゃーのアイドルグッズ(と自分の顔がプリントされたパンツ)を貰った。でも、彼女のファンを辞めたことは言い出せなかった。
就職祝いで盛り上がる松野家の面々。
ただ1人、機嫌が悪いおそ松は場の空気に一切乗らず、自分の発言をスルーしたトド松に声を荒げたりぶつかってきた十四松を怒鳴りつけ暴力を振るい、家族を凍り付かせる。見かねたカラ松はおそ松を殴り、外へ連れ出した。残りの兄弟はその光景を見守るだけで精一杯だった。
チョロ松は家を出た。
チョロ松は、見送りに来た家族1人1人に声をかけた。
最後に2階を名残惜しそうに見やり、チョロ松は車に乗り家を後にした。
ただ1人、部屋に籠って見送りに来なかったおそ松の元に向かい、トド松は手に持った雑誌を振りかざした。
トド松は家を出た。
働き口は決まっていないが、ボロアパートで一人暮らしを始めることにした。
「僕たちはたぶん、一緒にいないほうがいいんだよ」
その顔には大きなあざがついていた。
カラ松は家を出た。
就職先を見つける当分の間、チビ太に頼み込んで彼の部屋に居候することになった。
「このままじゃ俺たち六つ子は、いや、俺は駄目になる!変わりたいんだ!抜け出したいんだ!」
十四松は家を出た。
工場でのアルバイトが決まり、一人暮らしの部屋も、デカパンが貸してくれるという。
4個を6人でどうやって分けるか争っていた今川焼も、今は2個で余る。
一松は、いつも半分に分けて食べていた今川焼を半分だけ食べて半分残した。
「俺ももう家を出るから。これでいいんだよ、たぶん」
一松は家を出た。
おそ松は屋根の上で1人、空を眺めていた。
前の話であれだけ将来を焦っていたトト子が結局何もかもうまくいかず戻ってきて、今まで相手にもしなかったおそ松に、デートを申し込む。
しかしおそ松の耳には何も届かない。
その日の夜は満月だった。それぞれの場所で月を望む6人。
見ている月は同じでもみんなみんな変わっていく。ただ1人残して。
チョロ松はずっと出せずにいた手紙をポストに入れた。
おそ松の元に手紙が届いた。
(右下に「つづく」と表示されてこの話は終了)
余談
- この話(24話)は、シェーウェーブ(公式ラジオ)にて「最終回への布石」といわれていた。
- 神松でおそ松が言っていた「みんないい大人でしょ?一人暮らしとかしないの?」という台詞の伏線が回収された回でもある。
- この回でのおそ松はカラ松に殴られた場面と最後の手紙が届いた場面以外終始表情が映されておらず、冒頭のチョロ松の就職祝いのシーン以降は一言も喋っていない。
- トド松がおそ松に向けて振りかざした雑誌は、第10話「イヤミチビ太のレンタル彼女」でおそ松がチョロ松を旅行に誘った時に見せた熱海の旅行情報誌。
- 行き倒れそうになった一松を助けた男女二人組は、第11話「クリスマスおそ松さん」の「ブラックサンタ」で一松が執拗に絡んだカップル。そのカップルと一松が別れた場所は、第2話「就職しよう」最後でチョロ松を除いた5人がアルバイトしていた中華料理店。