アイドルマスターXENOGLOSSIA
あいどるますたーぜのぐらしあ
あなたのアイドルになりたい…。
概要
バンダイナムコゲームスの「Project iM@S」及びサンライズ35周年記念の一環としてサンライズにより制作されたロボットアニメ。2007年4月から同年9月まで放送された。全26話。監督は後に「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」等のヒット作を手がける長井龍雪が務めた。
バンダイとナムコの合併に伴うコラボレーション作品であり、制作は「舞-Hime」シリーズを手がけたサンライズ第8スタジオが行っている。サンライズ制作のアイドルアニメという意味合いでは、後に同スタジオが手がける「ラブライブ!」への橋渡し的な一作でもある。また、アイドルマスター10週年の節目となる2015年にはスーパーロボット大戦シリーズを題材としたソーシャルゲーム「スーパーロボット大戦X-Ω」に期間限定参戦している。
タイトルの「XENOGLOSSIA」はギリシア語で「真性異言」(全く知らない筈の言語を操ること)を指す超心理学用語のゼノグロッシア(ゼノグロシー)に由来するが、本作では妖精や精霊もしくは「神や宇宙の存在を聞き取れる巫女的な存在」という意味合いが含まれている。
本作は、アイドル育成ゲーム『THE IDOLM@STER』を原案としたTVアニメであるが、スターシステム的にキャラクター設定を流用しているのみで、世界観や設定は一新されており、その性質上コミカライズやノベライズ、ドラマCDなどのメディアミックスに関しても、原案ゲームとは分割して展開されている。
原案ゲームと異なる声優の起用と、ゲームと全く違うキャラクター・世界観設定の採用、シリアスかつハードな作風によって原案ゲームを知るユーザーからの賛否は分かれる。しかし、心理描写を始めとして世界観に密接しながら登場人物のエゴやトラウマ、愛と友情を鋭く描き出した演出・脚本面についての評価は高く、単品のSFアニメとして観るならば優れた完成度を持つ。
また「アイドルマスターとロボットの組み合わせ」はその後パロディ方面ではあるが展開されており、アニメアイドルマスターの「無尽合体キサラギ」やソーシャルゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」の「鋼鉄公演きらりんロボ」に受け継がれている。
pixivにおいては『アイドルマスター XENOGLOSSIA』関連のタグは原案を取り扱ったイラストとの混同を避けるため、単純に「XENOGLOSSIA/ゼノグラシア」が用いられる事が多い。
内容について
展開されるドラマは「ロボット(金属生命体)と少女の交友(恋愛)」を主柱としており、また本作に登場するロボット「iDOL」が重機という立ち位置にある事からロボット同士の戦闘が物語のメインストリームになるのは主にストーリー後半からとなる。
その為、戦闘に於いても必ずしも主人公機が目的を達成して勝利を掴み取る訳ではないというロボットアニメとしては珍しい構成となっている。
本作は「アイドルマスター」のブランドを様々な方法で売り出すという目的で立ち上げられた複数の企画の内の一つであり、他の企画がお蔵入りになった中で実際に展開された一作となっている。
内容に関しては、本作制作のサンライズが「自由にやっていい」というものだったとされ、それについてアイマスシリーズのディレクターである石原章弘は、「基本的に僕らは設定に極端なこだわりを持っていないんですよ」と前置きした上で、身長や体重などのベースの設定を変えるつもりはないと発言しつつも、CDやラジオといった媒体で新たに出てきた部分も付け足してファンの共有できる楽しさを増やしたいとし、『XENOGLOSSIA』で生み出された良い部分も吸収していきたかったと述べている。これに加え、石原はこの作品の方向性自体について「全然アリ」と述べている。
世界観は監督の長井が作り、そこにシリーズ構成の花田十輝が原作のキャラクターを割り振るという形で物語を構築していった。
ちなみに花田はオファーを受けた直後は、『THE IDOLM@STER』のアニメ化ということで『センチメンタルグラフティ』のような作品を想定していたため、打ち合わせで初めてロボット物と聞かされて面食らったという。
ストーリー
ロストアルテミスと呼ばれる月の崩壊によって地球規模の大災害が発生してから約百年後の地球。
竹取町で開催された芸能オーディションに合格した天海春香は、単身上京することになった。その旅路で、同じく合格したという萩原雪歩と出会う。東京にたどり着いた2人は、災害復興の国際組織モンデンキントと敵対組織トゥリアビータのiDOL(Immortal Defender of Legatee)同士の戦闘に巻き込まれる。
モンデンキントに保護された春香は、あの芸能オーディションがiDOLの操縦者であるアイドルマスターを探すためのものであったことを知らされ、次第にトゥリアビータとの戦いに巻き込まれていく。
登場人物
作中用語
- ロストアルテミス
地球の衛星である月が崩壊し、人類の総人口の1/4を喪うに至った史上最大の災害。月の破片は「コンペイトウ」と呼ばれ、地球の周回軌道に4つのオービタルリングを形成している。
コンペイトウから地球への落下コースに入った物は「ドロップ」と呼ばれ、大きさによりミルク、ミント、メロン、レモン、ピーチ、オレンジ、チェリー、ストロベリーと分類され、地球へ落下するコースを取ったレモン以上のドロップはモンデンキントによって迎撃される。
ドロップ落下時には電波障害が発生する事から、ロストアルテミス以降の世界に於いては携帯電話を有線接続する為のスタンドが普及している。
- モンデンキント
スイスのジュネーヴに本部を置く、ドロップ対策を一手に担う多国籍企業。ロストアルテミス対策の為の国際組織を母体としており、各国支部がローテーションでドロップを監視・迎撃する。
日本を除く各国支部は核ミサイルによってドロップを迎撃するが、日本支部は憲法上の問題から大量破壊兵器を保有できない為、代替措置としてiDOLと呼ばれる人型重機を打ち上げ、これによってドロップに対処する。
iDOLを運用する部署は「アイドルマスター課」として本課とは独立しており、またiDOLの秘匿性を守る目的で表向きは「玉兎高等学校」に偽装し、課の施設も同校の地下を中心に設けられている。
- アイドルマスター
iDOLのマスター、即ちパイロットの意。iDOLを動かす事が出来るのが少女に限られ、配備されているのも日本のみということもあり、基本的にアイドルマスターは日本人女性に限られる。マスターの選定はアイドルオーディションに偽装して行われる。
アイドルマスター課に所属するマスター達は対外的には玉兎高校に在籍する生徒という扱いになっており、彼女達は候補生を含めて十六夜寮にて共同生活を行う事になっている。
- トゥリアビータ
モンデンキントに敵対する組織。
元はモンデンキントのアイドル研究開発部であったがその後「夜明けの紫月」事件を切っ掛けに独立した経緯を持つ。
モンデンキント以外で唯一iDOLを保有し、独自にiDOLの研究・開発を行っており、アイドルマスター課のiDOLの強奪を画策し、暗躍する。
主題歌
オープニングテーマ
「微熱S.O.S!!」(第2話-第15話)
歌 - 橋本みゆき / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲 - 黒須克彦 / 編曲 - 大久保薫
「残酷よ希望となれ」(第16話-第25話)
歌 - 結城アイラ / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲・編曲 - 虹音
エンディングテーマ
「悠久の旅人~Dear Boy」(第1話-第25話)
歌 - Snow* / 作詞 - こだまさおり / 作曲・編曲 - 前澤寛之
挿入歌
「恋だもん~初級編~」(第2.5.7.8.9.13.15.16.20.22話)
歌 - 高槻やよい(小清水亜美) / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲 - 田代智一 / 編曲 - 菊谷知樹
「LIVE for LOVE」(第5.17話)
歌 - 天海春香(井口裕香) / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲・編曲 - 黒須克彦
「ムーンライト・ラビリンス」(第13話)
歌 - 橋本みゆき / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲 - 黒須克彦 / 編曲 - 虹音
「夏空のブローチ」(第16話)
歌 - 天海春香(井口裕香) / 作詞・作曲 - rino / 編曲 - 虹音
「微熱S.O.S!!」(第26話)
歌 - 橋本みゆき / 作詞 - 畑亜貴 / 作曲 - 黒須克彦 / 編曲 - 大久保薫
アニメのCD・DVDの売上について。
2007年に放送が開始したが、ニコニコ動画による原作アイドルマスターのセクハラ発言による復活の影響下(原作ファンからそっぽを向かれた影響もある)で、今作のCD・DVDの売上は著しく悪化した。特にDVDは殆ど売れず、ワゴンセールに投げ込まれる事態が続いたのである。