オーストラリア大陸とニューギニア島、ソロモン諸島の間に広がる珊瑚海で行われた史上初の空母機動部隊同士の海戦。
概要
1942年、オーストラリアをアメリカと遮断すべく、ポートモレスビー基地(パプアニューギニア)攻略を狙うMO作戦が発動。
日本海軍は、セイロン沖海戦から帰還中だった五航戦を中心とする「機動部隊(高木武雄少将)」をソロモン諸島の東側から、陸軍歩兵を移送する「攻略部隊(五藤存知少将)」をラバウル基地から珊瑚海に侵入させた。
これを阻止しようとするアメリカ海軍は第17任務部隊(空母ヨークタウン、レキシントン基幹)を送り、珊瑚海北部で海戦が行われた。
●5月7日
両軍とも索敵に不手際があり、日本側は米軍のタンカー「ネオショー」を空母と間違えて攻撃、アメリカ側は「攻略部隊」の護衛についた小型空母祥鳳を「翔鶴型航空母艦」と間違えて攻撃し、撃沈した。
マレー沖海戦で戦果を挙げた元山航空隊の陸攻が第17任務部隊を空襲し「カリフォルニア型戦艦1隻、重巡洋艦1隻撃沈、ウォースパイト型戦艦大破」を報告したが、実際は全弾回避された。
日本側は第17任務部隊に薄暮攻撃を行ったが戦果はなく、帰還したのは27機中6機だけだった。
「攻略部隊」は進撃を諦め北へ退避した。
●5月8日
両軍ともほぼ同時に敵空母を発見。出撃した両軍の攻撃部隊は途中ですれ違ったが、互いに無視し、敵空母攻撃に向かった。
瑞鶴がスコールに隠れたため、ヨークタウン隊、45分遅れてレキシントン隊の攻撃が翔鶴に集中し、それぞれ「撃沈」を報告したが、翔鶴は中破したものの北へ離脱した。
翔鶴隊・瑞鶴隊の攻撃でレキシントンとヨークタウンは中破し離脱したが、レキシントンは漏れ出たガソリン蒸気に引火・炎上し、駆逐艦フェルプスにより雷撃処分された。
無傷だった瑞鶴も航空隊の損耗が激しく、敵空母2隻を撃沈したと錯覚した(「サラトガ撃沈、エンタープライズ撃沈確実」の戦果報告)ため、追撃を諦め北へ離脱した。
日本海軍は海戦に勝利したものの、ポートモレスビー基地攻略は断念された。
その後日本側に残存艦艇がシドニー港に入港したという情報が入ったため、5月31日、特殊潜航艇甲標的による奇襲攻撃が行われた。