機動部隊とは特定の戦場において目的に適した兵器を組み合わせることで任務を達成しようとする軍隊の編成の事。その戦況に応じて編成され、原則として常設されるものではない。英語では"Task Force"、任務部隊と訳したりそのままカタカナでタスク・フォースと呼ぶこともある。
海軍でいえば、例えば海外の軍事的要地を制圧するという目的のために、敵軍撃破の主力となる空母と戦闘機、敵地制圧の中心となる揚陸艦と海兵隊、偵察用の早期警戒機、電子戦に対応する電子戦機、対空防衛のイージス艦などから編成される。空母を中心に敵戦力の殲滅に重点を置く編成を空母打撃群、揚陸艦を中心に敵地の制圧を重点とする遠征打撃群といった目的に応じた編成と命名の区別もある。どの目的にせよ、達成には敵の弱点を素早く突破する機動力が求められ、艦船の選抜に考慮される。編成にもあるように必要に応じて空軍や陸軍の戦力も加えて、三軍の別にとらわれずに編成する。近代の軍事用語では「艦隊」(fleet)というと全海軍あるいは大洋全てを制する海軍力といった意味合いで用いるので、眼前に展開する目的を同じくする軍艦の集まりを意味する日常語での「艦隊」は、軍事用語的にはこの機動部隊に近い。歴史的には、第二次世界大戦において航空機の有用性が認められることによって日米がそれぞれはじめて機動部隊を編成し激突した。現代の海上自衛隊でも主力護衛艦を中心に編成して機動的に運用する部隊を機動部隊と呼ぶ。先述の空母打撃群と遠征打撃群を使い分けるアメリカを始め、イギリス、フランス、ロシア、インドなどでも空母を中心とした空母機動部隊を運用している。
陸軍でも、足を止めての戦闘を強いられる歩兵中心の部隊と比較して、機動力を生かすことで目的を達成する部隊を機動部隊と呼ぶ。戦車や装甲車、機械化歩兵、ヘリコプターなど、火力だけではなく機動力に優れた機械化戦力を集中させた部隊を指す。