概要
節足動物のグループの1つ、蛛形綱(ちゅけいこう)、クモ型綱、クモガタ綱とも呼ばれる。
「クモ」と名付けられたが、クモだけではなく、サソリ・ダニ・ザトウムシなど、他にも幾つの変わった姿を持つマイナーな群(目)を含んだ大きなグループである。(「クモ」はこのグループの「クモ目」のみに当たる)
共通点は、頭胸部・腹部という2パーツだけに構成される体と、頭胸部にそれぞれ1対の鋏角と触肢、更に4対の脚を持つ。また、他の節足動物にある触角は持たない。目も1対ないし数対の単眼からなり、複眼を持たない。
昆虫より古くから存在した原始的な節足動物であり、現生のものも進化史から遺存したような多様性の低いものが多い。
しかしながら、クモとダニは例外的に多種多様で様々な環境へ駆け出し、総合的にいうと現在のクモガタ類は昆虫類に次ぐ地上で大繁栄した節足動物である。
通常は肉食性。液体状のものしか呑むことができないため、食事は体外消化を通じて行うものが多い。例外としてダニの食性は非常に多様で、ザトウムシは固体の餌を咀嚼しながら呑むことができる。また、1種しかないものの、植物成分を主食とするクモも存在する。
誤解されがち
いわゆる「虫」と呼ばれるグループで、同じく陸生節足動物である昆虫としばしば混同されたが、そちらは全く別の分類群(昆虫綱)であり、上記の体制から区別できる。(昆虫の体は頭・胸・腹という3パーツからなり、往々にして触角と3対の脚をもつ)
毒クモや毒サソリ・病気を媒介する一部のダニ・もしくは単に見慣れない姿から、様々な原因と誤解により恐怖の対象とされやすい一群である。様々な神話・伝承・フィクション作品の中でも、本群の動物は禍々しい悪役とされがちである。
しかし実際、我々と関わらずに自由生活するダニの方が多数派であり、人の健康に影響を与えるほどの猛毒をもつクモとサソリも僅かしかなく、人間に無害のものがほとんどであろ。
分類
クモ目
本群のうち最も普遍に見られる代表格。鋏角は毒牙に特化し、腹部は出糸能力をもつ。風評被害されがち。
サソリ目
クモに次ぐ有名なグループ。触肢は一対のハサミ、腹部の後半部は毒針を持つ尾になっている。
ダニ類
丸っこい体をもつ小型種のグループ。地球上のあらゆる場所に生息し、生態は非常に多様。
ザトウムシ目
豆のような体は細長い脚に支えられる。他のクモ綱と違って食物を固体のままで呑むことができる。
カニムシ目
土壌や樹皮裏に住む微小動物、尾のないサソリのような姿を持つ。
ウデムシ目
触肢は腕のような棘だらけの鎌。第1脚は触角のように長く伸ばしている。
サソリモドキ目
腹部に鞭状の尾をもつ。触肢はむっちりしたハサミと鎌を併せたような形になる。
ヒヨケムシ目
くちばしに連想する巨大な鋏角をもつ、主に乾燥地域に生息。風評被害されがち。
ヤイトムシ目
サソリモドキを小型にした姿を持つ微小な土壌生物。パワフルな後脚でジャンプできる。
クツコムシ目
謎の多い分類群。全身は硬い外骨格に覆われ、口の前方には蓋のような構造をもつ。
コヨリムシ目
謎の多い分類群。鞭状の尾をもつ微小動物、他のクモ綱と違って触肢は歩行に用いられる。