概要
2000年代に流行したWeb小説の一ジャンル。単に『携帯端末上で閲覧可能』であるだけではケータイ小説とは呼ばれず携帯電話の中でも特にフィーチャーホン(ガラケー)での閲覧を前提としたもののみを指す。十代女子を対象とした作品が多かった。
携帯電話の狭い横書きの画面での閲覧を前提としているため一文一文が短い、読者のレスポンスを受けながら執筆されるため次々と衝撃的な事件が起こり展開が早い、などの特徴がある。
内容は、主に性描写の多い恋愛小説でティーンズラブ(TL)との共通点が多いが、ギャル系の作者の実体験をもとにしているとの触れ込みの作品が多く、現今のTLとはややズレがあった。2000年から公開されたYoshiの『Deep Love』がこのジャンルの元祖と言われる。SNSの普及に押されたこととギャル文化自体の衰退により、2008年ごろにブームは沈静化。スマートフォンの普及後はWeb小説一般に吸収され、スマホ小説/TL小説に移行している。
ケータイ小説の一覧
pixivでの扱い
pixivでもこのタグが用いられた小説作品は存在するが、オリジナル小説であり、二次創作はほとんど事例がない。キーワード検索の場合は二次創作も出てくる。
考察(独自研究含む)
ケータイ小説が流行した2000年代前半の若者には、まだオタク文化が普遍化しておらず、ケータイ小説の読者や執筆者はアニメ、漫画、ゲーム、同人(いわゆるオタク向け)とは無縁な少女が多かった。このため、2010年代の女性向けWeb小説(夢小説、ティーンズラブ、ハーレクインなど)でありがちな「異世界トリップするエピソード」などの二次元から影響を受けた設定はあまり書かれなかった。
- 登場人物があだ名や名字(カタカナ表記、ありふれた名字+さん付けなど)で呼ばれていて、フルネームが公開されない
- フルネームが公開されていても、あまり人名に使われない漢字が当てられていたり(忖度?)、あだ名のおまけだったりする
- 主人公のバックグラウンド(家族構成、両親の職業など)が詳しく描かれていない
- 恋愛の障害がご都合主義的なものに限られている
- 薬物、リストカット、妊娠など、心の闇を扱った内容のものも多い
などが2000年代のケータイ小説にありがちな内容だった。名前変換機能を持つ夢小説に通ずる何かを感じないだろうか?主に中高生が書いていたので、同じ中高生にとって読みやすい形になっていたのは必然なのかもしれない。