解説
3機のMSが一列に並んで波状攻撃を仕掛けるMSによる戦術。
波状攻撃による高い攻撃力に加え、前の機体が後ろの機体の盾と目隠しになることで防御性と奇襲性も併せ持つ。もともとは宇宙での対艦用の攻撃で、一年戦争開戦当初のルゥム戦役で多数の連邦軍戦艦などを沈め、総大将レビルを捕虜にしている。この時は専用カラーもしくは専用カスタムのザクⅡないし高機動型ザクⅡに黒い三連星は搭乗していたとされる。
基本的に破壊力の大きなバズーカを装備しているとされるが、メディアによっては最前衛一機目はマシンガンを装備している場合もある。また黒い三連星専用の旧ザクも存在するが、これは教導用の機体であり、ルウム戦役以降に新兵を訓練する際に搭乗したものである。
TV放映時にドムによって行われたそれの印象が強いが、これは陸戦用そして対MS(ガンダム)用にアレンジされたもので本来のものとは異なり、最前衛は白兵戦を仕掛け、後衛二機が射程武器による追撃を仕掛けるようになっている。
非公式ではあるものの、PS2のゲームソフトめぐりあい宇宙のエースパイロットシナリオでは、ルゥム戦役においては黒いザクを駆り、戦艦にジェットストリームアタックを掛ける三連星のアニメーションを見る事ができる。
やはり戦艦とガンダムでは勝手が違ったか、一機目をやり過ごされたことで二機目が撃墜され、三機目がこの隙に乗じて仕掛けようとするも、割り込むように特攻してきたミデアによって失敗、最終的に三機とも撃破されてしまった。
この時まず一機目のドムが踏み台にされ、パイロットのガイアは思わず「俺を踏み台にした!?」と叫んでしまう。
機動戦士ガンダムTHEORIGINでは強化版の「ダブルジェットストリームアタック」も登場。原作と異なり初戦の後8機のドム中隊にパワーアップした上で使用したものだが、ニュータイプ能力に目覚めたアムロの敵ではなく、ガンダム1機に全滅させられている。
その他のガンダム作品において
印象的な戦術だったからか、以降の作品でもジェットストリームアタックに似た3機での連携戦術がよく見られる。Ζガンダム劇中では主に宇宙空間での戦闘で、「僚機を目隠しとして敵の死角に位置取る事で不意を突く」というよく似た戦法をジェリド・メサ等が多用していた。
ジェットストリームアタックそのものも少なからず再登場しており、以下はその一例。
機動戦士ガンダムΖΖ劇中には、ガザD三機での「ガザの嵐」隊やジャムル・フィン三機での「ジャムルの3D」等が登場している。
近藤和久の漫画短編THE DOG of WAR U.C.0092(「新MS戦記」収録)ではフレデリック・F・ブラウン大尉率いるギラ・ドーガ隊が連邦軍の大MS「Gコマンダー」相手にジェットストリームアタックを掛けるシーンがある。
しかし十数年のギャップもあってか、Gコマンダーのパイロットであるミュウラー大尉には「こんな古い手で」と一蹴されてしまった。
小説「ADVANCE OF Z 刻に抗いし者」では主人公の一人アーネスト・マクガイアがマラサイに乗り、ダミーバルーンを先頭に立たせる事によって本来は三機で行うジェットストリームアタックを二機で行うという応用技を見せている他、物語終盤ではバーザム部隊が用いている。作中では古い手と言われている一方で、空間戦闘では十分通用すると解説されている。
機動戦士ガンダムSEEDDESTINYにもオマージュとしてジェットストリームアタックは登場するが、内容は異なる(ドムトルーパーの項を参照)。
ガンダムビルドファイターズトライでもチーム「北宋の壺」の3人が披露、ビルドバーニングガンダムを一時的に戦線離脱する所まで追い詰めた。その際にコウサカ・ユウマは「古典的な戦法」と言及している。
機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTでは連邦軍のある部隊に雇われた傭兵たちのうち三名がミキシンビルドMS(ヴェテノーラ、マガツキ改、ビアッゴ)で使用。時代的な背景から色々勘違いしてランバ・ラルの技と思い込んでいたのかヴェテノーラにランバ・ラルを模したマスク、ラルマスクをかぶらせて「古の英雄 ランバ・ラル大尉よっ・・・我に力ををっ」と叫びながら使用。貫通性の高い「ヒートセラミック弾」の一撃でまとめて蹴散らされた。
∀ガンダムでは月の民ムーンレィスが使用する民間の作業用モビルスーツであるモビル・リブの形式番号は、黒歴史において宇宙の民のために戦った3人の英雄にちなんだものなのかは不明だが「ジェットストリーム(MR-SPI05Ω"JET STREAM")」である。
ガンダム以外において
元ネタとなったガンダム以外でも、他アニメなどでパロディ、オマージュとして使用する例は多い。
半公式と言えるのが、元ネタと同様に富野由悠季氏の監督作品である『聖戦士ダンバイン』劇中で「赤い三騎士」が使ったトリプラーだろう。
機動警察パトレイバーやGEAR戦士電童でも3体のエイブラム、3体の機獣でやっている。
ニ次創作系イラストでもpixiv開設以前から多く描かれており、3機(3人、3匹等)が似たような攻撃を仕掛けるネタを「ジェットストリームアタック」と名付けることが多い。
タグとしては「三人」から連想しやすいため、やや拡大解釈して使われる。
ぶっちゃけてしまえば「対艦用」などとする設定は後付であり、TVでドムによって行ったジェットストリームアタックこそ「本来のモノ」である。
このため、「俺を踏み台にしたぁ!?」がセットで使われたりもする。
またこの技をする際のセリフを改変し「ガイア、オルテガ、マッシュ、ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」「誰だお前」というネタも存在する。
ジェットストリームアタック自体にも元ネタがあるといわれ、それは1972年に公開された映画『子連れ狼 三途の川の乳母車』の冒頭の、刺客である虚無僧との殺陣であると言われている。
リアルでの出来事
2018年開催の平昌オリンピックでの男子ノルディック複合個人にて、黒いウェアのドイツ選手三人が連携を取りながら強豪である日本の渡部選手に対抗し、最終的に抜き去る姿から連想したのかワイドショーで「ガンダムでこんな感じのを見たことがある」との趣旨の発言をしたコメンテーターが居た。