概要
『スター☆トゥインクルプリキュア』に名前が登場している惑星で、羽衣ララの故郷。
物語開始当初はララの言葉からその存在が示唆されただけで実態は不明だったが、第29話にて漸く実態が明らかとなった。
星空界においても高度な科学技術を有する惑星であり、特に人工知能と宇宙ロケットの開発および運用に長けている。
サマーンの社会はありとあらゆるものが高度なAIによって管理されている。個々人の人生の生き方さえもがAIが教えてくれ、AIの言う通りにしていれば自分にとって最も幸福な生き方が実現されているため、サマーン人は自分の母星を宇宙最高のユートピアと信じて疑わない。
しかし、現代の地球人の感覚からすれば「効率的」を重視するあまりAIへ過剰依存しているように見えないでもない(適職の提示など)。
惑星は居住区域が厳密に決められており、無節操な開発が起こらないようになっている。そのため、この手の機械技術の発展した惑星にしては自然の風景が保たれている。居住区域においても街路樹や公園などの緑が多い。ただしそれらは全て「人の手によって整備された」形であり野性味は感じられない。
居住区域は「効率性」を重視するサマーン人の資質に合わせて、全てが高層マンションとなっていていわゆる戸建住宅というものはない。
宇宙星空連合には積極的に協力する立場をとっており、連合が調査を進めている「伝説の戦士プリキュア」や「プリンセススターカラーペン」を探索するために各地に宇宙調査員たちを派遣している。
なお、プリキュアに覚醒する前のララが地球で難なく行動できていたため、少なくとも大気成分は地球と同様なようだ。
住人
作中のプリキュアの1人である羽衣ララ/キュアミルキーがサマーン人であることから、その生態はかなり細かく判明している。
外見
パッと見は地球人と似たようなヒューマノイド型だが、以下のような相違点がある。
- 頭からセンサー(触覚)と呼ばれる感覚器官が生えている
- 耳がとんがり耳
- 肌は地球人よりも白い
- 瞳の中に星型マークが描かれる
生物的特性
- 地球人には「ルン」としか聞き取れない言語で話し、「オヨ~」という間投詞が多用される(このためか、ララをはじめ惑星サマーンの住民たちが話す言葉を日本語に翻訳すると必ず語尾に「~ルン」が付く)
- 日本語で言うところの敬語の概念もない。そのため日本語に翻訳すると、誰に対してもタメ口を喋っているように聞こえてしまう
- 正確にはAIが使う役割語という認識のようで、サマーン人も意識すれば片言ながら話せる
- 梅干し入りのおにぎりを食べて「しょっぱい」「すっぱい」等と表現したため、味覚の方は地球人と大差ない
- しゃっくりという生理現象は起きないらしく、フワの異常を分析したAIの「横隔膜の痙攣」という説明に対して、まどかが「それって、しゃっくりでは…」と言ったところ、AIとララ共々「しゃっくり」という言葉に首をかしげていた。
- ロケットの修理の際、ひかるがトゥインクルブックに描いた修理及びリフォーム後のロケットのイメージ図を見てえれな、まどかと共に目を輝かせていた所から、美的感覚も地球人と大して変わらない
文化
- 地球の年齢で13歳になると成人扱い
- 成人したサマーン人はロケットの操縦・修理ができて当たり前
- 互いのセンサーを触れ合わせることが挨拶にあたる
- 食料はグミ。それぞれの人物の状態と味覚をAIが分析し、精製したものを食べる。
- 教育はAIが行うため、学校という概念がない。知力・思考力の大半はAIに依存しているため、(少なくともララは)自力では二桁の計算もままならない
- 「二桁」の概念は地球人と同じようなので、数字には地球と同様に十進法を採用しているらしい。地球人と同じく五本指であるからだろう。
作中に登場した惑星サマーンの住人
AIについて
惑星サマーンを語る上で外せないのがAIの存在である。
サマーンには市民一人一人に対して個人用に調整されたパーソナルAIが提供されており、生活のあらゆる面をサポートする。
そして全てのパーソナルAIは惑星全体のインフラを管理するマザーAIに統括されており、パーソナルAIとマザーAIは定期的に同期を行い情報が並列化される。
並列化されるとパーソナルAIの記憶はマザーAIのデータベースに蓄積され、パーソナルAI自体の記憶はリセットされる。無限のメモリーなど発見していないサマーンではAIのメモリは有限である。パーソナルAIが定期的に記憶をリセットすることは効率的なAI運用には必要だとサマーンでは見なされている。
ただし、パーソナルAIはリセットされた記憶もマザーAiのデータベースから「知識」としていつでも引き出せる。サマーンでは「AIに心などない」と考えられているため、「思い出」が「知識」に変わっても何の問題はないとされている。
サマーンでは自分のパーソナルAIをいかに使いこなせるかで社会的地位が変わる。AI適正が高いものはより重要な仕事につくことができ、そうでないものは社会に影響を与えるようなポストにつくことはできない。
しかしサマーンでは、マザーAIが市民一人一人の肉体的・精神的な様々な資質(AI適正を含む)を随時検査しており、市民一人一人にとって最も幸福に生きれる職業と人生プランをアドバイスしてくれる。そのため、ほとんどのサマーン人は自分が社会に影響を与える適正がないと言い切られても、「もっと自分にあった生き方がある」と納得する。
サマーンのこの様相に対して、一部視聴者からは「デスティニー・プランがリアルに実現したディストピア」と揶揄する意見も出ているが、マザーAIが指導する生き方に従うことが強制されているような描写は作中では見られない。
サマーンの社会はAIは「便利な道具」に過ぎないという認識があり、市民たちは自分たちがAIに支配されているなどとは全く考えてはいない。なのでAIの指導した生き方に従わないことに罰則があることはない。しかし、AIの判断に従うことが幸福に繋がると言うことが常識として根付いているので、AIの指導した生き方に不満を持つ人はかなりの偏屈ものとみられてしまう。
AIに従うことは強制はされはしないが、同調圧力として社会に蔓延していることは否定できない。
ただ作中ではAIの指示に従うことを決して悪いこととはされていないということも注意して欲しい。地球人であるひかる達もサマーンの高度なAI管理社会を素直にリスペクトしている。
AIが市民一人一人の幸福を素直に追求していることは間違いなく、何かに強いこだわりがなければAIの指導に従うことは決して間違ってはいない。
ララによると一生を一つの建物から出ない生き方をアドバイスされる人もいるようだが、これも裏を返せば引きこもりとしてしか生きられないタイプの人も社会に受け入れ救済しているとも言える。
サマーンのAIは人類の敵ではなく友なのだ。すくなくともララのパーソナルAIと付き合ってきた主人公のひかるの視点ではそうである。
イメージ的には総統メビウスに支配される直前の管理国家ラビリンスのようであり、頂点に達した文明の幸福は、種の衰退と紙一重の危うい状態なのかもしれない。
そして、恐れていた事態が起きた…。
劇中
第29話
紆余曲折を経て遂に惑星サマーンへとやって来たひかる達だったが、ララは1人だけ浮かない顔をしていた。
着陸と同時にサマーンの大地に降り立つ5人を迎えたのは、ララの上司のクク。兄の来訪と勘違いしたひかるを宥めるララに対し、調査報告の遅れをククは厳しく追及する。おまけにひかる達の素性を聞かれるも、宇宙法の都合上彼女達が宇宙星空連合に非加盟の地球人やレインボー星人であることなど言える筈も無く、ピンチに立たされるが機転を利かせたララのパーソナルAIの弁明によってどうにか事無きを得る。
その後、ククからララの兄のロロが宇宙星空連合のトッパー代表から表彰されると聞かされた為に、式場へと一行は赴く。そして現れた家族とララは再会し、ロロが表彰されるのを見届けた後、ひかる達は改めてララの家族と面会し、彼らの職業について知ると同時にそれがAIによって決められたものであると知る。話の腰を折ってユニがペンの所在を尋ねると、かに座のペンはどうやらマザーAIの元で管理されている模様。
全てAIの力で成し遂げたものだと高らかに言うロロは、ひかる達を分析してコンディションに見合ったグミを提供する。それと同時に、サマーン人はそれしか口にしないことまでトトとカカの口から明らかとなった。
最低ランク8の調査員である上、ホバーボートにも乗れずAIも満足に使いこなせず、おまけに宇宙ゴミの収集が適任だとまで言われてララは沈痛な面持ちを見せる。ララはララでひかる達とプリキュアになってノットレイダーと戦い、プリンセスの力を集めて殆どのプリンセスを復活させる等、色々と活躍して来た。それはAIに決められた道などではなく自分で考え、自分で選択、決定して行動して来た結果だった。だがAIに全て決められる管理社会の中ではそうした活躍も想定外の事象として認められず、あまつさえそんなことを言われればララとしては堪ったものではない。
おまけにロロの調査によれば、プリキュアの活躍も宇宙星空連合の知る所となり、連合がプリキュアを傘下に引き入れようとしていると聞かされたことでますますララは表情を曇らせていたが、その内に抱えたジレンマに気付いたのは、まどかだけだった。
家族との面会後、レクリエーションドームに通された一行は、ホログラムによってめくるめく変わる星空界の星々の景色を堪能。惑星ゼッケインの景色の中で戯れるひかる達を他所に、まどかがララに話し掛ける。まどかは見抜いていた。自分がプリキュアである事を家族に話すべきか悩んでいたララの懊悩を。確かに調査員として全てを報告すれば、その大成果によってサマーンの人々は家族も含めて自分を認めてくれるだろう。だが、もし自分も含めてひかる達がプリキュアだと周囲、取り分け宇宙星空連合に知られたら、彼女達の人生が狂ってしまうのは必至である。まどかも同じことで悩んでおり、父の冬貴に全てを打ち明ければ何とかなると思っていたが、フワを守りたいと直感が働いた為に踏みとどまったと言う。そしてその直感は他でも無く、ひかるに端を発したものだった。彼女の言葉を受けてまどかは問う。「ララはどうしたいのですか?」と……。
すると突然サイレンが鳴り響いてホログラムが解除されると、プリンセススターカラーペンを保管する研究所で非常事態が発生したことをマザーAIが告げる。現場に急行すると、テンジョウがククを巨大ノットレイに変えてペンを強奪する光景が目に飛び込んで来た為、5人はプリキュアに変身して交戦。だが、ククノットレイの放つ電撃の猛攻の為に近付くことすら叶わない。そんな中、ミルキーが単身で立ち向かい、ふたご座・ミルキーショックを放ってククノットレイと激しい電撃の撃ち合いを繰り広げる。最初は相手の威力に押されそうになっていたが、ペンの発見を喜んでいた家族を想う気持ちがミルキーに底力を発揮させ、電撃合戦は彼女に軍配が上がり、攻撃の拍子に相手が手放したペンもミルキーが無事に回収する。だが、なおも襲い掛かるククノットレイに対してセレーネがコスモにいて座のペンを貸与。レインボースプラッシュで見事ククノットレイは浄化され、テンジョウは退散した。
これで全てが丸く収まるかと思いきや、ララの手にペンが握られていたことと、破壊された施設の状況から、何とククはララがペンを奪ったと誤解。マザーAIに命じ、彼女とその仲間のひかる達をサマーン中に反逆者として指名手配してしまったのだ。「私の経験上、逃げた方が良いニャン!」と言うユニの言葉を受け、一行はロケットの発着場へと逃走。そんな中、この一部始終を、モニター越しにフードを被ったアイワーンが不気味に笑いながら見つめていた………。
第30話
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スター☆トゥインクルプリキュア 星空界 羽衣ララ ロロ トト カカ クク
デスティニー・プラン - 星の実態を見て連想した視聴者が多数出ている(さらに言うと一部声優繋がり)