演:高岩成二
声:半田健人
概要
狼の特質を備えたオルフェノクにして、本作『仮面ライダー555』の主人公・乾巧の正体。
初出は劇場版『パラダイス・ロスト』。
TV本編では第34話にて初登場。
巧は幼少時に火事が原因で1度死亡しており、その際オルフェノクに覚醒している。(猫舌なのも火事が原因で、熱いものに対して火を連想させてしまうため)
そのため、巧は物語開始以前からオルフェノクに変身できる。
これは唐突な超展開や後付け設定・テコ入れという訳ではなく、巧が第1話で現れたオルフェノクに対し特別驚いた様子を見せていない(=オルフェノクについて既に知っていた)、ファイズ自体オルフェノクの「記号」持ちかオルフェノクそのものでないと変身できない、等と物語序盤から伏線が張られており、巧が普通の人間でないことは視聴者に示唆されていた。
劇中でも巧は己の正体を自ら進んで語ろうとはせず、ライダーズギアを奪われて変身が出来ない場合等の苦肉の手段として変身している。また、ファイズギアを手に入れる前はウルフオルフェノクに変身してオルフェノクと戦っていた事も明かされている。
いわゆる、主人公が怪人と同質の存在である仮面ライダーの基本ギミックを非常に強く取り入れた存在であり、事実上の乾巧/仮面ライダーファイズの中間フォームの1つでもある。
容姿
身長209cm、体重128kg。爪のような鋭い突起と体毛で覆われた身体が特徴。
これは巧を演じた半田健人氏のイメージからデザインされたそうである。
頭部には狼の顔のような意匠が施されており、もう一つの顔のようにも見える。
能力
オリジナルだけあって強く、狼さながらの素早い動きと、そこから繰り出すメリケンサック状の拳が強力。小説『異形の花々』では噛みつき攻撃を披露していた。
身体中の鋭い突起を伸ばして相手に突き刺し、使徒転生を行うとされる。但し劇中では使っていない。
TVシリーズでは下半身が着ぐるみで描写されていたが、初出となった劇場版では下半身がバネのように逆関節で狼に似た形状に発達した姿がCGで描写されており、木場勇治/仮面ライダーオーガと戦い変身を解除させている。
この劇場版に登場した姿は疾走態と呼ばれ、TVシリーズに登場した姿と区別されている。
仮面ライダーディケイド
『ファイズの世界』の仮面ライダーファイズに変身する男子高校生・尾上タクミの正体として登場。
ガールフレンドの友田由里がオルフェノクを嫌っているため、正体をひた隠しにしていた。
しかし、ファイズギアを奪われた状態で由里がタイガーオルフェノクに襲われたため、彼女を救うためなりふり構わずウルフオルフェノクに変身した。
その後についてはファイズの世界の項目を参照。
備考
正義(555もしくは巧)と悪(オルフェノク)との間で苦しむという意味では、『人造人間キカイダー』における不完全な良心回路を持つ、ゴールドウルフがモチーフかと思われる。
当時のムック本によればウルフオルフェノクの下半身はCGで描くことを前提としていたが、TVシリーズに登場させるにあたって時間と予算の都合のために難しくなったので、CGで描くことを前提としたデザインを元に着ぐるみを造ったとのこと。そのためTVシリーズに登場した姿のデザイン画は存在しておらず、また、設定的にも形態を区別することがなかったため、東映の監修が入った対戦型トレーディングカードゲーム「レンジャーズストライク クロスギャザー」においても、劇場版の姿が「ウルフオルフェノク」名義で収録されている(他のオルフェノクは「魔人態」や「格闘態」など形態の名称が付けられている)
後年になって劇場版に登場した姿にフィギュアなどで疾走態の呼び名が与えられ、改めて形態の区別がされるようになったが、ウルフオルフェノク自体は劇中で形態変化を行ったことは一度もない。