コロンゾン
ころんぞん
- 20世紀初頭に実在したアレイスター・クロウリーが召喚した悪魔。第10番目のアエティールにして深淵の主。→本項で詳しく解説。
- とある魔術の禁書目録に登場するキャラクター。かつてアレイスター=クロウリーが召喚したとされる悪魔。クロウリーの2人目の娘ローラ(史実でいうローラ・ザザ・クロウリー)に取り憑きローラ=スチュアートと名乗っているらしいが…?→本項で詳しく解説。
- 真・女神転生と真・女神転生Ⅲに登場する悪魔。種族はⅠでは妖魔、Ⅲでは幽鬼。1では小悪魔の様な姿をしてるが3ではレギオンに近いデザインをしている。
史実・魔術史におけるコロンゾン
知識の本質に近づく者を様々な手段を用いて誘惑し、妨害を試みようとする邪悪な意識の集合体。ジョン・ディーの魔術理論である30もの〈エノキアン・アエティール〉の内、10番目の領域〈ザクス〉にわだかまる〈深淵〉の悪魔。本質の名はディスパーション(分散,拡散)。
悪魔コロンゾンは〈黄金の夜明け団〉や〈銀の星団〉における実践的な魔術師の修行過程で、〈セフィロト〉にわだかまる〈ダアト〉(または深淵)を渡る際に、その〈深淵〉から理の結合を妨げる存在とされる。
魔術師アレイスター・クロウリーは〈ケセド〉と〈ビナー〉間にわだかまる〈深淵〉を乗り越えた。〈銀の星〉において〈ビナー〉は8=3位階〈神殿の首領〉に対応し、コロンゾンの妨害を乗り越える事がアデプトに課せられた試練でもあった。
ライトノベル「新約とある魔術の禁書目録」において、後述の深淵を乗り越える作業過程が端的にまとめられているのでここに引用したい。
さて、ここに一人の『人間』がいる。
アフリカ旅行中に三羽の鳩の血を使って魔法陣を描き、セフィラとセフィラの間を越えようとした魔術師。彼は間にわだかまる意識的な深淵を乗り越えるために、その深淵と同化する事で霊的なダメージを負う事なく目的を達成しようとしたらしい。
~新約とある魔術の禁書目録18巻 行間1~
この召喚・喚起作業はジョン・ディーのエノク魔術における魔術的宇宙解釈すなわち「アエティール」(神秘領域)から何らかの高次意識体、「天使」(エア)と表現される存在との交信を試みる方法に限りなく近いものであった。
天使達はクロウリーに「叫び」を、様々な秘儀を伝授した。
元々クロウリーは1900年に30番目(テクス)と29番目(リイ)への没入は済ませていたのだが一時中断しており、1909年にアルジェリアにて没入を再開している。
この時、彼の〈聖守護天使〉である「エイワス」からの啓示があった。
クロウリーはアエティールへの没入作業を次々と成功させたが、11番目のアエティール「イクー」に没入した際、呪われた10番目のアエティール〈ザクス〉(コロンゾン)の危険性、注意を促す声を聞いた。
「理解する者は一番遠くの深淵まで行かなくてはいけない。そしてそこで四重の恐怖の上に立つ悪の王子、すなわち最も遠い深淵の主コロンゾンと語り合わなくてはならない」(叫びの一部を抜粋)
第10番目のアエティールはザクスと呼ばれる
「このアエティールは呪われており、霊視を得るものがそのことを事前に警告されているので、筆記者のために予防措置を取る事にする」(霊視と幻聴より)
1909年12月6日、アルジェリアの砂漠で英国の魔術師アレイスター・クロウリーが〈セレマ〉系の魔術結社〈銀の星(A∴A∴)〉に所属する弟子のヴィクター・ニューバーグを付き従わせ、召喚実験を行った。その方法は三羽の鳩の血で魔法陣を描き、クロウリー自らを媒体に内側の三角の陣の中で降臨させるというもの。
召喚実験が始まり鳩を生贄に捧げて陣を描く。古の呪文「ザザス・ザザス、ナサタナダ・ザザス」と唱えるといつの間にか悪魔コロンゾンが降臨していた。
悪魔は美女、老人、蛇、様々な姿に変化してニューバーグを誘惑したが、彼は数々の誘惑を意志と話術で打ち破った。
ニューバーグは守護天使エイワスに祈りを捧げた。悪魔は「私は天使(エイワス)を知っている。天使と汝らの交渉は全て、不潔な魔女の仮面にすぎないのだ」と言った。
ニューバーグの巧みな手法で「本質」を引きずり出された悪魔は自分の本質が「ディスパーション」であると打ち明けた。
コロンゾンは隙を見て魔法陣に砂をかけ、ニューバーグに襲いかかった。ニューバーグは魔術的意味を持った剣を使い、なんとかコロンゾンを陣に押し戻す事に成功する。
コロンゾンはこう言っていた。「全ての物事は拡散である。拡散こそが物事の本質足り得る。10番目のアエティールは付随物の世界で本質がないのだ」
幾つか言葉を交わした後、鳩の血の効力が切れたのかコロンゾンの意識は去っていた。
この体験によってクロウリーは8=3位階〈神殿の首領〉に達した。
補足
アエティールにもたらされた情報によると〈深淵〉を意識的に越えることが重要な要素とされる。クロウリーは無意識的に超えてはいたが、意識的に実行したことは無く、正式に8=3へと至る要因となったのがコロンゾンの召喚実験である。
結局のところ「この悪魔はどのような存在なのか」という問いに対し、明確な答えを持っている者はいない。アブラメリンの〈聖守護天使〉のように人に内在する高位の霊的存在なのか、もしくはクロウリー本人の悪魔論───と言ってもゲーティアだが───のように人の未知なる部分の顕在化なのか、いずれにせよ定義は曖昧のままである。
後世の神秘学者は「物質的媒介を介しエクトプラズムが鳩の血に増強されて半物質を構成した」「作業での過度な発奮によりノイバーグの意識が分解された」という説も提唱している。
とある魔術の禁書目録のコロンゾン
コロンゾンとしての初出は新約18巻。
ただし、2006年に刊行された「電撃BUNKOYOMI」収録の卒業式SS『とある三月の二〇一巻』において「サハラの一点で蠢く『アレ』」として今後登場することが示唆されていた。本編でも新約14巻で『魔神』ネフテュスが存在に関して言及している。
史実通り1909年にアレイスター=クロウリーが召喚した大悪魔。
当時、クロウリーは30の〈アエティール〉と接触することで、セフィラとセフィラの間を越えようとした。彼は10番目の〈ザクス〉にわだかまる意識的な〈深淵〉を乗り越える為にその〈深淵〉と同化し、霊的なダメージを負うことなく目的を達成しようとした。
大悪魔コロンゾンとは「三羽の鳩の血」で形成された魔法陣の中で、クロウリー自身の体を霊媒に召喚された30ある天使の内10番目の存在。
数秘術で「333」の数価で表現され、「拡散」を本質とする。
禁書ではクロウリーの2人目の娘「ローラ」…史実における「ローラ=ザザ=クロウリー」の体に憑依してローラ=スチュアートと名乗っている。
クロウリーと並ぶ“とある魔術の禁書目録シリーズ”のラスボス候補の1人である。
本作でもクロウリーの身体に憑依し弟子であるヴィクター=ニューバーグに阻まれたが、実はクロウリーに召喚される前に〈黄金夜明〉の創始者の一人サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースによって“こちら側”に呼び出され、“クロウリーを破滅に導く旨の契約”を交わしていた。クロウリーはこの事には気づいていなかった。
上記の契約の元、密かに北アフリカから英国へと渡り、クロウリーの第二子であるローラの体を乗っ取るとローラ=スチュアートと名乗り、表向きは必要悪の教会のアークビショップとして活動。それと同時にメイザースとの契約を履行し、自身の本来の目的を達成する為に暗躍していた。
なお、コロンゾン本体は正体を隠すためにローラの長い金髪の奥深くに隠れている。
コロンゾンの性質と目的
コロンゾンは悪魔だがクリフォトではなくセフィロトのダアトと同じ〈深淵〉に潜み、人の魂の上昇・世界の理の結合を途中で妨げる存在とされている。
コロンゾンは「世界の自然分解」を標榜する。これは「333,拡散」というコロンゾンの本質に基づいたもの。水の天使が創り出された時から水と結びついているように、コロンゾンも誕生の瞬間から「自然分解」に特化した性質と思考を持っているとされる。
曰く、今の世界は本来あるべき自然な形ではない。本来の耐用年数を超えても朽ちない人・武器・書物、一向に滅びない文明、その中途半端な神秘を創ってしまった魔術、それらが血栓のように蔓延している。
こんな世界など幾つもの不自然な奇跡や偶然に支えられて成り立っているだけで、それが滅亡という流れに身を任せず、不自然に踏み止まらせてしまっている。
彼女たち世界の理の「外」にいる者は(コロンゾンだけかもしれないが)、破滅にしろ何にしろ自然にある者を自然に帰し、次の誕生に繋ぐサイクルを望む。
ちなみにコロンゾンと同じ高次存在であるエイワスは、「世の中の全ては拡散に向かう」というコロンゾンの言葉を一笑に付している。
当然、不自然の対象にはそれを生み出す人間も含まれる。コロンゾンはアレイスター=クロウリーのように下層の「科学の世界」とやらの安寧も考慮せず、下地の科学の層はおろか自らも含めた全てを無に帰す事を主張している。
これは典型的な性質だが悪魔とは「囁く者」で、誘惑・持ち上げて一挙に絶望の淵に叩き落とす存在である。言葉の裏には真逆の真意が隠されているのだが、クロウリー達はこの性質にすっかり騙されていた。
あらゆる永劫(アイオーン)の先にいる存在
コロンゾンはエイワスと同様、どんな神話・宗教にも登場しない高次存在である(※史実では両者ともセレマの体系に分類され、アブラメリンとエノクに起源を見出せる)。
アレイスターは「根本的な軸が異なる彼らに力業で敵うとは思わん」と評しており、窓のないビルでの宇宙への放逐や理想送り、学園都市全てを使った封印さえも時間稼ぎにしかならなかった。
アンナ=シュプレンゲルも「彼我のスペック差は明白であり、最初からコロンゾンが本気なら、アレイスター側は逃げ切れない」と語っている。
イシス、オシリス、ホルス、あらゆる時代(アイオーン)の先にいるコロンゾンが行使する魔術は、アレイスターやエイワスと同じくホルスの領域に突入した絶大なものであり、オシリスの時代以前の魔術では対抗できない。
一方で『神の右席』などと同様に、人間の使う真っ当な魔術は使えない可能性が指摘されているが、インデックス曰く「場合によりけり」であり、人間を誑かしてイグニッションとして利用することでも解決できるらしい。
コロンゾンは〈セフィロト〉を自由自在に上昇・下降する。低層次元に溺れて上昇しか脳がない低俗な人間と異なり、下層に降りる事も厭わない。
全人類は深淵で〈セフィロト〉の上位3セフィラへの到達を妨害されているため、樹の全てを自在に行き来きできるコロンゾンには敵わない。つまり〈セフィロト〉〈クリフォト〉どちらに依存した奇跡を行使しようと、人間ではコロンゾンには勝てないのである。
実体を持つ超常
コロンゾンを特別たらしめているのが、表層世界に下降する際に『肉の器』を獲得したという点である。通常の悪魔が自分の肉体を持たない中、コロンゾンは唯一『血と肉でできた己の実体』を持つ魔性として顕現した。
オティヌス曰く、妖精化した自身と同じで「実体という結果を手に入れた超常」とのこと。
そもそもコロンゾンのような超越存在は、霊媒がなければセフィロトにおける〈物質界〉では万全の力を発揮できない。霊媒の有無の差は大きいらしく、宇宙空間で地球にいた時よりも力が増幅していたエイワスさえも、実体を持つコロンゾンには敗れた。
実存世界に下降する際に自前の霊媒を得た為、『神の右席』ほど拒絶はされないようだが、『モ・アサイアの儀』を起動する際は協力関係にある浜面仕上が精製した純粋な人間の魔力を使用し、自身の負担を減らしている。
【新約禁書】主な使用魔術・能力
その特異性ゆえにコロンゾンには対応する象徴が存在しない。
魔神・聖守護天使・大天使・幻想殺しも力の強弱は別として実体を得たコロンゾンには対応していない。つまり現在のコロンゾンを完全に殺す方法は、この世界には存在しない(だがこれには唯一の例外が存在した)。
自身が司る〈深淵〉に多くの叡智を蓄えている他、学園都市の科学技術のような人間が蓄えた叡智にも興味を示し、下記の様に人間が体系化した魔術も扱っている。
Magick:FLAMING_SWORD(燃える剣/フレイミングソード)
1904年に到来する〈ホルスの時代〉を支配する魔術体系。その内の一つで、下記の召句とレイピアを構えるような仕草から繰り出される、魔神の槍にも匹敵する極限の一撃。
あらゆる数は等価。
我が右の手に蘇生のヌイト、
有限の域を越えて広がる数価(かのうせい)を見よ。
我が左の手に復讐のハディト、
極小点はあらゆる力を収斂・収束して一つの意味を作り出す。
すなわちここにラー=ホール=クイトの円にて
無限の加速から解放されし一撃を現世の表層に顕さん。
史実におけるクロウリーの〈777の書〉に曰く、
剣は空気の短剣ではなく炎剣・電光であり、ケテルより放たれるジグザグの閃光。セフィロトの下降の原理を用い、一気に下に貫き通す(下降する)ことで得る力。
クロウリーは「その本質は標的を確実に断ち切るエネルギーの塊。記号としては何度も左右に折り返しながら標的へ突き進む雷が近い」と記した。
ミナ=メイザースも言っている通り、上位3セフィラを守るために〈聖四文字〉とともに配置され、分断して繋がりを断つのがこの燃える剣である。あらゆる理の結合を妨げてバラバラにするコロンゾンにとって、使い勝手のよい魔術とされている。
世界の基準点である幻想殺しでもこの一撃は受け止めきれず、上条は新約22巻冒頭で原形がなくなるくらいまで粉々にされている。
アエティール・アバター
ジョン=ディーのエノク体系で30に区切った神秘領域をもとにした力。
エノクの文字配列で純粋属性にも手を伸ばしたコロンゾンは、長い時間をかけて膨大な長髪に力を蓄えており、髪に「天使」と呼ばれる化身を投影するに至った。
新約22巻では地脈・龍脈に蓄えられた力を溶かして、広範囲に渡って同時多発攻撃を仕掛けた。実行されてないが経路の性質上、惑星全域に仕掛けられるかもしれない。
本作だとZAX(ザクス)以外は読み方が不明(他は邦訳霊視と幻聴から引用する)。
26番目:DES(デス) 25番目:VTI(ウティ) 21番目:ASP(アスプ)
20番目:KHR(クフル) 15番目:OXO(オクソ) 13番目:ZIM(ズィム)
9番目:ZIP(ズィップ) 8番目:ZID(ズィド) 7番目:DEO(デオ)
2番目:ARN(アルン) 1番目:LIL(リル)
18と秘されし1の召喚文
エノクの純粋属性魔術。
ディーが提唱し〈黄金夜明〉によって洗練されたエノクの魔術体系だが、人間には決して到達不可能な領域の法則であり、あのメイザースですら実存世界では扱えなかったが、コロンゾンは、エノクのシークレットコールで純粋属性を実存世界に取り出して扱っている。
対峙した魔神娘々は「物質世界ではなく創造世界の法則で力を練っている」と評している。
RZIONR:fire of fire 火の中の火。
IDOIGO:air of air 風の中の風。
LILACZA:water of air 風の中の水。
参考:新約22巻、黄金の夜明け魔法体系、黄金の夜明け団入門
【新約禁書】作中での活躍
ローラ=スチュアートとして振る舞うコロンゾンだが、心の中ではメイザースとの契約からの解放を切に願っていた。そしてクロウリーの生存を突き止めた末に、新約18巻の終盤で遂にその正体をクロウリーに曝け出して嘲笑しながら始末し、形を変えたテレマの僧院である「学園都市」の制御を奪うことに成功する。
メイザースとの契約を完了したと見做し、今度は学園都市を利用して自身本来の目的を遂げようと目論み行動に移そうとする。しかし直後、自身が破滅した時の保険として“可能性の分岐”という手段を取ったクロウリーにより、英国・イギリス連邦加盟国を全て奪われる事態に陥り、反撃宣言を受けてしまった。
新約19-20巻
新約19巻では、クロウリーによって「窓のないビル」と共に宇宙に射出された。
宇宙でエイワスと戦いながら、同時に烏丸府蘭を霊媒にして操り、学園都市の統合データベースである今代の書庫(バンク)「プロセッサスーツ」を奪取している。しかしその過程で囮としてプロセッサスーツを浜面仕上に着せたのだが、スーツ間で競合が発生したことで書庫にアクセスできなくなるというイージーミスを犯してしまう。そこで浜面のスーツを破壊しようと動いたのが新約19巻の騒動の始まりである。
エイワスとの戦闘で勝利したが府蘭はクロウリーによって完璧に救出された。コロンゾンは構わず、太陽圏外を高速で移動していた「窓のないビル」の軌道を変更し、学園都市に墜落させた。だがそこは、学園都市であって学園都市ではない場所だった。
「新天地」
上里翔流の理想送りで生じた世界の余剰スペースであり、正史とズレた時系列。
太陽圏外まで高速で移動した故に戻ってくる際に「奇跡的に」ウラシマ効果が生じ、本来の時系列から少しずれた新天地に墜落していたのだった。これはクロウリーとエイワスの策略で全て計算通りだったらしい。
「あっれー?ねえネフテュス、なんか面白そうなオモチャが落ちてきたよ???」
「そうね娘々。この閉鎖時系列に許可なく誰かが迷い込むなんて珍しい事象だわ」
クロウリーの罠にハマり新天地に追放された挙句、その場に居た「魔神」の暇つぶしという名の戦闘に付き合わされることになる。
そのまま新天地に隔離されるかと思われたが、疲弊しながらすぐに力業で帰還。しかも真正の魔神たちを相手にしながらである(ちなみに娘々とネフテュスも意図せず現世に戻ってきてしまった)。上里を新天地から連れ戻した上条たちの苦労は何だったのか…。
ただし、クロウリーもコロンゾンの力量を見誤ってはおらず、時間稼ぎにしかならないことは理解していた。
疲弊したコロンゾンに追い打ちをかけるようにクロウリーによって学園都市にウイルスがばら撒かれ、学園都市の先進的技術・機能が凍結される。これには流石のコロンゾンも焦燥して子鹿のように地面にへたり込んでしまう。
そして遂にはクロウリーに見下され、
「必ず『娘』は返して貰う。だから孤独の城で首を洗って待っていろ、ゴミ虫」
という宣戦布告の言葉を聞くと同時に、頭を踏みつけられてしまった。
(この行為にはコロンゾンを学園都市に封じ込める魔術的意味も込められている)
新約20巻では、クロウリーのイギリス襲撃に備えてあらかじめ用意していた人工悪魔「クリファパズル545」や霊装「神威混淆(ディバインミクスチャ)」が活躍する。
新約21巻
※ローラ=スチュアート、アレイスター=クロウリーの記事も参照
師にして宿敵であるメイザースとの頂上決戦を終えたクロウリーは、悪魔から2人目の娘を無事取り戻し、20世紀初頭より続く〈黄金夜明〉の因縁に終止符が打たれる……その筈だった。
しかし1人目の娘リリスが何を知るのか遠くの地で「まだ事態が収束していない」旨を呟いた直後、クロウリーは2人目の娘ローラに刺されていた。
かの大悪魔コロンゾンが召喚されたのは1909年。そしてローラ=スチュアートが今と変わらぬ姿で表の歴史に初めて出たのも1909年。完全に史実通りであれば1907年に生まれたローラが大きく成長している筈はない。
上条当麻「それにもう良い、コロンゾン。腹芸は終わりにしろ、ローラ=スチュアートなんて最初からいなかった。二人目の娘は他にいて、何も知らずに普通の人生を歩んでいるだけだった。中に入っていたのも、外の器になっていたのも、どっちも作り物の大悪魔だったんだ!!本当に本物のローラなら絶対にそんな事はやらなかった!!!!!!」
(※新約22巻リバースのアンナ=シュプレンゲル曰く、この悪魔は「畏怖または愛着を持つ誰かに化けたがる」悪癖があるとの事だが、何を意味するかは不明)
上条に指摘されると悪魔は演技をやめて狂喜の声を上げ、致命傷を負ってその場に崩れ落ちたクロウリーを踏みにじった。
新約22巻(暫定・簡易解説)
そして怒りに任せて挑んだ上条をクロウリー本式魔術Magickで肉塊に変えた。
世界(万象)の自然分解の儀『モ・アサイアの儀』の為に、まずオナーズオブスコットランドを使った人類の狂騒を目処にして動き始めた。その最中に浜面仕上と出会い、「ダイアン=フォーチュンの復活」「浜面自身を捨て駒として扱う」ことと「儀式に必要な国家の剣」等を交換条件に浜面を従え、行動を共にすることになる。
その後、各方面に干渉しつつモ・アサイアの儀を進行させていた。浜面はフォーチュンを見事復活させたが、コロンゾン側の状況は一向に好転せず、徐々に劣勢に陥り始める。
クイーンブリタニア号におけるアレイスター=クロウリー達の決戦では、クロウリーを相手にあと一歩というところまで追い詰めたが、アクセラレータとクリファパズル545が世界に第三の樹である〈人造の樹(クロノオト)〉の法則を埋め込んだ時の衝撃で、肉の器と本体が強制的に乖離し、幻想殺しで打ち消せる状態になる。
血と肉で構成される実体を持つと強力な攻撃を放つ際に反動で隙を生じる、傷を負うこともある、といった様々な物理的制約を課せられるが、『天使の力とは似て非なる力』で構成されたコロンゾンの魂を安定させることが出来る。
これにより、オカルトにしか力を発揮できない幻想殺しや、魔神オティヌスに使われた『妖精化』と同系統の『矮小化』の術式を無効化することが可能だった。コロンゾンにとってもこれは完全に予想外の出来事である。
それでもまだコロンゾンは諦めなかった。浜面は今ならまだ殺されずに済む、まだ収められる、と叫ぶ。しかしその声はコロンゾンに届かず、コロンゾンはオナーズオブスコットランドを使用してイギリスを完全支配しそれをトリガーに全世界の狂騒状態を呼び覚まそうとした。
直前、浜面はフォーチュンにアネリを介してこう頼んでいた。
『頼む。大悪魔コロンゾンの生まれたこの世界を、壊さないでやってくれ!!』…と。
『……は』
『私の作ったモノが最後の最後に牙を剥くか』
結局それはフォーチュンの術式「the Hermetic Order of the Golden Dawn」で阻止された。
上条はコロンゾンに対して最大限に優しい三つの要求を呑んで貰う、と降伏を勧めたが、コロンゾンはそれでも自身の名と数価を名乗り、Magick〈燃える剣〉を繰り出す。
そしてA.A.A.に干渉・使用し、上条の右手を切り落としたところで(この巻2度目の)「赤黒い三角形の連結体」が噴き出し全てを破壊してしまう。
新約22巻518ページ以降(あとがき後のストーリー)
クロウリーはアンナ=シュプレンゲルやエイワスとの接触後、アクセラレータに看取られ死亡。上条は自身の力を恐れて逃避していた。一方コロンゾンは肉の器を取り戻し、再起を図る……はずだった。
「はァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
「はははせいぜい苦しめ大悪魔。
まさか綺麗に死んで勝ち逃げできるとでも思ったのかね?」
肉の器の中に何かいたのである。
死亡後、イギリスに『帰還』して盛大に国葬され、くたばるべき時にくたばったと思ったのに今更のこのこと出戻りなど出来ない。
そんな事をぼやく20世紀最大の変態魔術師アレイスター=クロウリーその人であった……。ちなみにこの変態親父、TS転生は2度目だったりする。
火花やヴィクター=ニューバーグとの共同実験の影響で、意図せずコロンゾンの肉の器に乗り移って生きてたらしい。器の主導権はあちらにあるが、さてこれからどうなるのか。
補足
ローラの肉体を乗っ取っている際に名乗っているスチュアート性は、契約者のメイザースがスチュアート王朝の復活を望んでいた為、一種のサービス精神から名乗っている為である。
実際には上記の通りらしいが……。しかしこれにより、インデックスが本物のローラ説(成長したインデックスを想定してデザインされたのがローラ、そしてクロウリーと同じ髪/眼の色)、コロンゾンの偽アンナ=シュプレンゲル説やそれと関連する新約21行間のホロス夫人説が新たに提唱され、むしろ考察のネタは尽きない(※ホロス説は本物の登場で否定)。
なお、NT19でリリスが「悪魔に支配されている私の妹」と発言したが、実は彼女は「妹」がローラ(コロンゾン)とは一言も言っておらず、近くにいたコロンゾンに支配されたインデックスと烏丸府蘭を指しているのでは、というミスリード説もある。
NTR22ではシュプレンゲル嬢の「(コロンゾンが)畏怖または愛着を持つ誰かに化けたがるのはいつもの悪癖として」というセリフが強調されている。