「愉しみにさせてもらうわよ? リィン・シュバルツァー君」
CV:前田綾香(『空 the3rd evo』版) 田村ゆかり(『閃』以後)
ミュージカル版:RiRiKA
概要
軌跡開始以前
出自は明らかではないがヴィータは早くに両親を亡くしており、その後魔女の眷属の長・ローゼリアに引き取られて、魔女の里・エリンにて一番弟子として薫陶を受ける。魔女見習い当時、ローゼリアのほかに薫陶を受けたのがイソラ・ミルスティン(エマの実母)で、イソラの影響でエレボニア帝国の呪いを知るようになる。薫陶と元々の才もあり、ヴィータは16歳にして一通りの魔女の秘術を体得、眷属として魔鳥グリアノスを従えるようになる。
この前後にもうひとりの師であるイソラが巡回魔女としてエリンを出てゼムリア大陸各地で移動しながら任務を行うが、D∴G教団の幹部との戦い(実際はその幹部に呪いの僕が憑依していた)で落命した訃報を受け、七曜暦1197年(閃の軌跡の物語の7年前)にヴィータはイソラの後継として巡回魔女を申し出てエリンを出立。しかしその半年後に消息を絶つが、このときに結社『身食らう蛇』に加入したとされる。
結社加入後はその魔力の高さより『蒼の深淵』『深淵の魔女』の異名をもち、たちまちに幹部・蛇の使徒に上り詰めた。そして結社の大計画・《幻焔計画》遂行のため行動を開始する。七曜暦1201年にはクロワール・ド・カイエン公爵の支援の下、公爵の治める海都・オルディスに封印されていた《蒼の騎神》オルディーネの起動者としてクロウを導いているが、これは魔女の禁忌とされていたことだった。他にも表の顔として帝国歌劇場の一員となり、歌唱力の高さもあったためにトップスターに上り詰め、『蒼の歌姫(ディーヴァ)』としても活動する。
閃の軌跡
七曜暦1204年、トールズ士官学院Ⅶ組が活動する最中、クロウも士官学院に入学していたことからお忍びで近寄るべく、素性を隠して士官学院のあるトリスタのラジオ放送局にて「ミスティ」のDJネームで『アーベントタイム』というラジオ番組を開始する。
そしてⅦ組の重心である主人公リィン・シュバルツァーと初めて出会うのは帝都ヘイムダルでの実習においてで、数日後にはミスティとして夜のトリスタにて会っている。
終盤、オズボーン宰相狙撃事件、そして帝国内戦勃発の直前、士官学院の学生たちに幻影を学園内で見せ、ここで自身が初めて『深淵の魔女』の正体を現したのだった。
閃の軌跡Ⅱ
オズボーン宰相狙撃後、エレボニア帝国は貴族連合(貴族派)と宰相に属する者と帝国軍(改革派)とに分かれた内戦が勃発し、ヴィータはクロウとの関わりからカイエン公爵側につき、貴族連合の協力者として圧倒していく。
その後、リィンがカイエン公に強制的に招かれ、軍門に下るよう強要をなす折には、自身に一考があったためか、あっさりとリィンを解放し、「お叱りは私が受ける」と言うほどだったが、これにはリィンの操る《灰の騎神》の武器不足とリィン自身の力不足によるものがあった。
実のところは《幻焔計画》遂行のため、自らの目的は隠しながらの貴族連合への協力スタンスだった。自身の強大な魔力で終盤まではリィンらⅦ組を終始圧倒し。終盤、禁呪である《魔王の凱歌(エルフェンリート)》を用いて帝都ヘイムダルに《煌魔城》を顕現させ、カイエン公爵の野望の達成(カイエン公爵はそう考えていた)まであと一歩のところまで進めた。
ヴィータの目的は後述の《相克》の条件を疑似的に達成することであり、その目論見通り、リィンの《灰の騎神》とクロウの《蒼の騎神》を激突させることに成功し、リィンの勝利に終わるが、この結果に激高したカイエン公爵は人質にとっていたセドリック皇太子を《緋の騎神》に取り込ませてⅦ組やクロウ・ヴィータを襲わせる
。
激戦の末に《緋の騎神》を停止・セドリックの救出に成功するが、クロウが致命傷を負いⅦ組やヴィータに看取られながら事切れるが、それでも「蒼の騎士も、深淵の魔女も、見掛け倒しではないか」とセドリックの喉元に刃を突き付けるカイエン公爵に対しヴィータは
「カイエン公、その手を放しなさい。これ以上場を弁えないのなら・・・」
「私にも考えがあるわよ」
と刮目、カイエン公に対し一撃をかけようとするその時、
「君の出番は終わりだよ、魔女殿。」
と述べたのは貴族連合参謀総長ルーファス・アルバレアで、邪魔されまいと放った眷属・グリアノスが一刀両断され、ヴィータも剣戟の一撃を受けてしまう。
《鉄血の子供たち》の「筆頭」としての正体を明かしたルーファスはカイエン公ともどもヴィータを拘束する旨を伝えるが、復活したオズボーン宰相が現れ、ヴィータにこう告げる。
「結社の幻焔計画とやら、このまま私が乗っ取らせてもらう。」
「今は見逃してやろう・・・魔女よ。帰って他の蛇どもと飼い主に伝えるがいい。立ち向かうならば、遠慮なく叩き潰してくれると」
この一言ののち、Ⅶ組の一員になっていたエマに向けて、迷惑をかけたことを詫びたあと、ヴィータは敗走した。
閃の軌跡Ⅲ
敗走ののち、年が明けた1205年初頭、ヴィータに接触した人物がいた。カイエン公爵の姪にあたる公女ミルディーヌである。この時に公女の計画・作戦を聞いたのちは公女に身を寄せることになる。この頃いったん魔女の里・エリンに戻り、ローゼリアと再会、自身の得物だった魔杖・ケリュケイオンを返却し、ここで得物をグリアノスの羽で作り上げた扇に変更している。
その後、エレボニア帝国各地の《精霊窟》を調べて回るが、同年末頃、オズボーンの計画に参画する方向に傾いた他の使徒6柱と方針が折り合わず、結社と袂を分かって独自に行動し始める(ヴィータと同じ理由で執行者No.Ⅹ 怪盗紳士も結社から一時離れた)。結社の活動の妨害や、ミルディーヌ公女への助力、そして教官となったリィン達に助力をするなど自分なりに状況を良くしようと様々な活動をしている。
終盤、ミルディーヌの離脱のための魔法具を授けたのはヴィータである。
閃の軌跡Ⅳ
ミルディーヌ…新Ⅶ組でのミュゼ・イーグレットの協力者として終始動くが、結果としてリィンたちを助けることになる。さらにはオリヴァルト皇子の『光まとう翼』に協力、最終決戦にも参戦した。
人物
蛇の使徒の同僚にあたる第三柱・白面のワイスマンがリベール王国天空都市リベル・アークにて非業の最期を遂げたとき「間近で見てみたかった」「ゾクゾクしちゃう」と発言しているが、ワイスマンはヴィータのみならず第七柱・鋼の聖女以下他の蛇の使徒・そして執行者からも嫌われており、とくにヴィータは蛇蝎のように嫌っていた。
もっとも、鋼の聖女と並んで使徒の中では割と面倒見が良いことや常識的なところがあり、良識的な人物であることもうかがえる。剣帝レオンハルトの戦死は悲しんでいたため好意的な感情を抱いていたとされる。