概要
『ウルトラマンギンガS』第12話「君に会うために」に登場。性格は理知的で、ガッツ星人ボルストとは反りが合わない。エクセラーからは『夕焼けのエージェント』との通称で呼ばれている。
同胞たちが(1人を除いて)巧妙な侵略計画をたてていたという実績に目を付けたチブル星人エクセラーの命令で行動を開始。近年のアイドルブームを利用して人間の理性を狂わせる薬品が入った「宇宙ケミカルライト」を発明した。
手始めに礼堂ヒカルの幼馴染でかつて共にダークルギエルと戦った久野千草のライブで実験をするが、いつまでたっても効果が現れなかった。うろたえる彼は千草の歌う姿を見ているうちに虜になってしまい、以降は『快傑ズバット』の主人公・早川健のような恰好をした丹波という男に変身してファン活動にのめり込んでしまう。そして星は違えど志を共にする友達も増え、充実した毎日はいつしか侵略すら忘れさせた。ファンクラブに入会しており、ファンからは「礼儀正しいファンの鑑」と有名で、千草も存在を知っていた。
それから一年後、復興支援として千草がライブを行う雫が丘に訪れたところへインペライザーとボルストが現れ、千草を助けるために正体を明かした(千草は宇宙人を見慣れているため、そんなには驚かなかった)。自身の経緯を話した後、自らUPGに連行されてしまうが、その後千草がボルストに捕まったことを知り、「必ず戻る」と告げた後に脱走。ボルストの目的が自分であることを見抜き、出現したゾアムルチからライブ会場を守るために巨大化する。しかしゾアムルチに終始圧倒されウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーが加勢に入っても劣勢のままだったが、千草の声に答え、何とその場で前述した宇宙ケミカルライトを使った全力のヲタ芸を披露しゾアムルチを誘導、ギンガとビクトリーを勝利へと導いた。
その後、問題無しと判断した陣野隊長が上層部に報告しなかった為に晴れて自由の身になり、今でも千草のファンとして活動している。最終回でもビクトルギエルと戦う仲間の応援で歌う千草の姿を撮影している健太の後ろで声援を送っているが、前の騒動で広く認知されたのか元の姿だった。
ちなみに例の「宇宙ケミカルライト」の本当の効果だが、映像を見ている限りファンを狂暴化させるという効果などではなく、宇宙人(あるいは一部の地球人にも有効?)を千草のファンにしてしまうという効果がある模様(ボルストが「可愛いなぁ~」と呟いていたし…)。そのことから案外「宇宙ケミカルライト」を開発中に、いつの間にやら千草の根っからのファンになっていたのかもしれない?
演じたのはしおつかこうへい氏。
なお彼の潜伏するアパートの一室には当然ちゃぶ台もある。
余談
今回ボルストがゾアムルチにダークライブしたのは『ウルトラマンA』にてメトロン星人Jr.がムルチと共演したからと思われる。また、この回では『帰ってきたウルトラマン』でムルチが登場した「怪獣使いと少年」に似たカメラアングルが使用されていたほか、夕焼けの工場地帯をバックに戦いが繰り広げられるなど、メトロン星人が初登場した「狙われた街」へのオマージュと思われる演出もあった。おまけに頑丈すぎる建物も健在である。
メトロン星人とムルチが初登場した回は11月19日でメトロン星人が初登場した4年後、ムルチが初登場した回が放送されている。
監督の田口清隆は『ウルトラセブン』第8話に思い入れを持っており、実相寺昭雄自身が『ウルトラマンマックス』で決着をつけたメトロン星人には触れたくないと感じていたが、本作品で担当することになり、普通に撮影するよりも徹底的にはっちゃけなければならないという姿勢で制作している。田口は対戦相手であるムルチ(ゾアムルチ)ともども想い入れの強いファンがいるキャラクターであるため、反発を受けるのではないかという強迫観念にもとらわれたが、自身も思い入れがあるため、強い敬意を持って遊んだと述べている。
ヤングチャンピオンで連載されている漫画『ウルトラ怪獣擬人化計画 feat.POP Comic code』に登場するメトロン星人は、セブンに倒されたのと同一の個体という設定だが、オタ芸にハマっているというジェイスを意識した設定が取り入れられている。著者の風上旬氏曰く、「第12話は神回だったので、その設定を受け継いだ」とのこと(これがきっかけで、本作におけるメトロンは地球のサブカルチャーに詳しいオタク系不思議少女という独自のポジションを確立することになった)。
別のエピソードでは、アイドルグループが「君にあうために」という歌を歌い、それに合わせてファンが様々なウルトラ怪獣の名前を連呼しながらオタ芸を披露するというシーンまである。
また、おそ松さんとウルトラシリーズの公式コラボ企画であるウル松さんのコミカライズ版第6話でも、ジェイスをオマージュしたと思われるメトロン星人が登場。
ジェイス同様礼儀正しいアイドルヲタクとして描かれており、橋本にゃーの熱烈なファンになっている。
同じくにゃーのファンである松野チョロ松と意気投合し、嫉妬の余りにゃーの評判を下げようとするカナン星人の野望を打ち砕いた。