「我が名はエレボス。原初の幽冥にして、地下世界の神なり!」
「貴様等が『巨正』をもって混沌を退けようというのなら!我等もまた『巨悪』をもって秩序を壊す!」
「告げてやろう。今の貴様等に相応しき言葉を」
脆き者よ、汝の名は『正義』なり。
概要
CV:松岡禎丞
『ダンまち』のアプリ『メモリア・フレーゼ』の「アストレア・レコード」に登場。
原初の幽冥を司る地下世界の邪神にして、『絶対悪』。
オラリオの【暗黒期】に闇派閥の首魁として暗躍し、オラリオの滅亡を目論む。
作中の動向
本編より7年前の【暗黒期】に隻眼の黒竜に敗れた【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の最後の生き残りであるLv.7のザルドとアルフィアを見つけ出し、ある条件で仲間に迎え入れる。
「大抗争」が勃発する以前から『エレン』と偽名を使って潜入、子供に財布をすられたりすぐに泣いたりする情けない醜態を晒しつつ、どこか得体の知れなさを感じる神を演じていた。その時に【アストレア・ファミリア】と出会い、特に潔癖で確固たる正義がまだ定まっていないリュー・リオンに目を付ける。
「大抗争」が勃発すると、ザルドとアルフィアにオッタルら第一級冒険者を戦闘不能にさせ、さらに事前に探って居場所を把握していた神達を殺して強制送還し、主神を失い『神の恩恵(ファルナ)』を封印された眷族の冒険者達を狙い一方的に蹂躙してオラリオ及び冒険者達に甚大な被害をもたらした。その後もオラリオを包囲し、断続的に冒険者や市民達を無差別に襲撃し続けることで、冒険者達を疲弊させ市民達を恐慌状態にしオラリオを絶望のどん底に陥れた。
その間、エレボスはヴィトーを連れてリューを探していたが、ゴジョウノ・輝夜とライラと遭遇し、リューを探さない代わりに彼女達に「『正義』とは?」と問い、満足のいく答えが返ってこなかったため再びリューを探そうとしたことで二人とヴィトーが交戦、そこにアルフィアが駆けつけて優勢になるが、魔道具の『炸裂弾』で逃げられる。だが、爆音を聞いてリューが駆けつけ、廃墟の教会で再会する。リューと正悪の問答を繰り広げた後に「『正義』とは?」と問い、巨悪が猛威を振るい、市民達からの心無い仕打ちを受けて正義を信じられなくなっているリューが答えられないを見て、「脆き者よ、汝の名は『正義』なり」、「愚かなる者の名もまた、『正義』」と告げた。
オリヴァスが勝手に暴れ始めたことでアルフィアが離れた後、リューに『貨車(トロッコ)の問題』を挙げ、オリヴァスに殺されそうになっているアスフィを助ければ他の民衆を殺し、アスフィを見捨てれば民衆を助けると告げ、アスフィと民衆の命を天秤に掛けてどちらを救うかの選択を突き付けた。選べないと答えるリューに、「救える手段がありながら、誰をも見捨てるという選択肢は紛れもない『悪』」と告げ、彼女を絶望に追い詰める。しかし、アスフィがリューを信じていることを知ると、リューが飛び出していき、そこで自身の答えを見つけたリューを見届けると、自分の前にアストレアが現れる。
アストレアにも「『正義』とは?」と問い、さらに「『絶対の正義』とは何だ?」と彼女の『正義』を問い質して彼女から「『絶対の正義』は無い」と聞き、自身が望む物ではなかったが満足し、暴れていたオリヴァス達が劣勢になったことでヴィトーを連れてその場を後にする。
決戦では、迷宮(ダンジョン)のいる切り札『大最悪(モンスター)』を討伐しようとする【アストレア・ファミリア】、リヴェリア、ガレス、アイズを阻止すべくアルフィア、ヴィトーらとともに『人造迷宮クノッソス』を通って先回りし、決戦の地である18階層で対峙し、さらに『神の力(アルカナム)』によって37階層から生まれた『大最悪』である『神獣の触手(デルピュネ)』を繰り出して最後の戦いに挑むが、最終的にヴィトーがやられアルフィアも限界を迎えて自死し、『神獣の触手』も倒されてしまう。地上でもザルドがオッタルに敗れ死亡し、闇派閥が壊滅状態となったことで敗北を悟り、最後に眷族であるヴィトーを見逃すことを要望してアストレア達に降伏した。
余談
中の人が本編の主人公であるベル・クラネルと同じである。作中でヘルメスが「ベルと声が似ていた」と明かしている。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ アストレア・レコード
ネタバレ
以下、『アストレア・レコード』に関する重要なネタバレ
地上に帰還し、『バベル』の頂上にてエレボスの天界への強制送還が執り行われた。
エレボスの要望で頂上にはエレボスの他に執行人のアストレア、その立会人である神友・ヘルメスの三人だけがそこにおり、他の者達は地上で見守っていた。
潔く執行されようとするが、アストレアがエレボスに一つ確認したいことがあると告げる。
「『正義』とは?」
それは、エレボスがリュー達に問いかけていた言葉で、エレボスははぐらかそうとしていたが、あれほど『正義』について訴え続けていたのも関わらず、今は満足していることを指摘されたことで観念して答えた。
「『正義』とは――――『理想』だ」
エレボスは、アストレアが言った「『絶対の正義』はない」を否定し、リューに尋ねた『貨車の問題』でそこに示された選択肢には真の正義は無いと断言しつつ、さらに答えた。
「『正義』とは、選ぶことではなく、掴み取ることだ」
どちらかしか救えない選択肢を選ぶのではなく、どちらも救うことが出来るかもしれない第三の選択肢を自ら生み出し、定められたルールや課せられた前提という天秤をぶち壊して『理想』を掴み取ろうする行為こそが、人々は『正義』と信じ、神々は『英雄』と讃えると口にした。
そして、エレボスはいかなる苦難を乗り越えて『理想』を追い求め続ける眷族達を世界が欲する『英雄』へと育てようと、あえて邪神を名乗って『非道』を選び、今回の「大抗争」を引き起こしたのである。
エレボスが真に掲げていたのは『絶対悪』ではなく、『必要悪』であった。
ザルドもアルフィアも見つけた時にはすでに長く生きられない身体となっており、残り少ない命を隠居して尽きることよりも、オラリオ延いては世界の『未来』のために悪として立ちはだかることを了承したのである。
下界の子供達から恐れられ恨まれることとなったエレボスの真の目的をアストレアとヘルメス(と追い掛けて来た眷族のヴィトー)のみ知ることとなり、アストレアによって天界へと強制送還され、「大抗争」及び【暗黒期】の終焉を迎えたのであった。