な【そう、『正義と悪は表裏』...よく言うでしょう?】
【それぞれの『真実』、あるいは『事実』によって硬貨(コイン)は表にも裏にもなる】
概要
CV:濱野大輝
ゲーム『メモリア・フレーゼ』に登場。イベント「舞い散る奇跡と降誕祭(ホーリーデイズ)」で初登場し、3周年記念シナリオ「アストレア・レコード」でも登場。
闇派閥(イヴィルス)の残党。本編開始の七年前は闇派閥の幹部で、闇派閥を率いていた邪神エレボスの唯一の眷族だった。ステイタスはLv.4。二つ名は【顔無し】。リュー曰く能力値(ステイタス)は自身と同等かそれ以上との事からレベル帯て上位の実力者と思われる。
人物
口調は慇懃だが性格は冷酷。
他者からの評価は「破綻者」「血に酔い、血に狂うケダモノ。殺戮に嗜好を見出した屑」「外道」と散々なもの。
神々を忌み嫌い、逆に『英雄』に憧れていると自称している。
上記の二つ名は、自身の存在感が薄く、覚えられにくい顔をしている事、関わった人間全てを始末している事が由来する。
生まれた時から『欠陥』を抱えており、
色彩能力が欠如し、視界に映るものが全ておぞましき『灰』に見え、人々の声は耳障りな雑音に聞こえ、口に入れるものは全て形容できない異物に感じ、香りなど概念すら知らない欠陥者。
灰色の中で他者が流す血の色だけは唯一美しいと感じ、更に恐怖、嘆き、悲しみ、絶望といった『負の感情』が含まれていなければ知覚出来ない。
上記の欠陥に気づいたヴィトーは試しに周りの人間を殴り、斬りつけ、殺めた。
その途端、ヴィトーの世界は色付く。枯れていた心は潤い、更に興奮と絶頂の言いなりになり続けた。恐怖と絶望の声ははっきりと聞こえ、流れ出る血と、炎で巻いた人肉の焼ける匂いが芳醇に香る。
上記の欠陥を抱えた自身を世界の『瑕疵』であると語り、自身が殺戮の中でしか味わうことのできない事柄を他者が当然の様に享受していることが不平等であると、自ら命を絶つ事はしていない。
自身は『殺戮』の中でしか人間になることができない己を生み出した世界を憎み、神々の作った下界そのものを壊す事を目的とし、ヴィトーは『世界是正』であり、「私の大願」と称している。
『英雄』を敬っているのは欠陥じみた箱庭で、理不尽にも屈さず、不条理にも抗い、世界に反逆し続ける者たちであるから。その姿を何よりも気高く崇高であるとし、神々などより遥かに崇拝されるべき存在であると口にしている。
──────が、上記に記した出来事はヴィトーの主観であり、それを知る他者からの評価はまた違うものである。
ヴィトーが『破綻者』と呼ばれる理由は、英雄を尊敬し、憧れていると信じ込んでいる一方、自らの本心ではその英雄を嘲笑っている故であった。
なお、ヴィトーと対峙したゴジョウノ・輝夜からは「自らが掲げた正義を誰からも理解される筈がないと信じ抜き、不公平と不条理に怒るふりをし、非道に取り憑かれている。不幸自慢を盾にして快楽を貪る獣。己の矛盾に気づくことができない『破綻者』」であると切り捨てられた。
この「アストレア・レコード」から七年後の降誕祭シナリオでは、リューからは殺戮や破壊でしか世界を変えることができないと言うヴィトーの意見を「妄執」だと評された。
紛れもない『英雄』であるザルドからは、「お前の英雄信仰はただの『嘲笑』にすぎない」と見抜かれている。なお、当のザルドからは「人間の振りをすることに、もう疲れ果てたか?」と告げられている。
つまり、自覚すらできない様な根底が既に壊れてしまっているにもかかわらず、それを認める事をしていないヴィトーを他者は『破綻者』と言うのである。
これら全てを理解した上で、ヴィトーを「愛している」と言っていた主神のエレボスにさえ、最後は置いていかれてしまう。その悲しみと絶望に直面したヴィトーは、エレボスが「自らの『欠陥』を知りながらかどわかし、騙していたのだ」と結論づけることで、神々への憎悪を更に募らせる。
七年前の一件から、ヴィトーは未だ「希望」を見つける事はできておらず、囚われている。
余談
原作者曰く、ヴィトーとエレボスはオリジナルキャラ同士で組み合わせようというぐらいの軽い認識だったが、絡ませれば絡ませるほど面倒くせぇ愛情表現しかない主従コンビになったとの事。
また、機会があればエレボスから色んな意味で親離れ出来てない、現代の彼の物語を書きたいとの事。
それぐらい、三周年ではこのキャラも主人公だったと言えるだろう。
関連タグ
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ
以下、ネタバレ
ベル達との戦いに敗れた後、消息不明となっていたが、「オルギアス・サガ」の第二部に登場。
クノッソス攻略戦の『第二進攻』で、後続の援軍として参戦し救助部隊の支援に回ったベルの前に現れる(原作にはないゲームオリジナル展開)。
エレボスの送還後は、タナトスの眷族となっていたが、『第一進攻』で【ルドラ・ファミリア】の生き残りのジュラ・ハルマーと同じくクノッソスから脱出しており、『精霊の分身(デミ・スピリット)』の緑肉に取り込まれずに済んだ。その後は、タナトスが自害して強制送還されてステイタスが封印されたため、適当な神の眷族となった。
『都市の破壊者(エニュオ)』のオラリオ完全破壊を見届けるために再びクノッソスに潜入し、ベルの前に立ちはだかる。自分と同じLv.4に昇格したベルに感心し、その力を試すために最後の戦いを挑む。
ベルの右腕の完治が万全ではなかったことと戦いの経験の差で有利だったことで、最初は優位に押していた。しかし、ベルから自身の憎悪の根底はみんなとは違うという劣等感のようなものではと指摘され、本当に世界を破壊した先にしか幸せはないのかと問われたことに激昂。さらに、ベルに自身が抱える『瑕疵』をアミッドなら治せるかもしれないと言われるが激しく否定し、もしも治せたとしたら今までの自分の所業と想いを否定されることに激しく拒絶。だが、ベルから「『破滅』ではなく『理想』を追いかけることを願うことが出来る」と言われたことで、かつてエレボスが語った「正義とは――――『理想』だ」を思い出し、それを拒絶するように激昂して襲い掛かるが、ベルの一撃を受けて敗れる。
ベルは倒れたヴィトーに対し、「『正義』が『理想』に辿り着いたら考え直してくれませんか?」と求めた。ヴィトーはそれに驚愕し、ベル達がこの戦いに勝てる道理が無く「『正義』は必ず燃え尽きる」と断言するも、それでも『理想』なら掴み取ったなら騙されてみることにすると一応了承した。
そして、ベルはヴィトーをそのまま放置して駆けて行き、残されたヴィトーは「『理想』は呪いの言葉」と悪態をついたが、思わず今はいない主神・エレボスのことを想ってしまった。
後日談「色褪せぬ理想」で、ベル達が『エニュオ』に勝利したことでベルとの約束通りにアミッドの元を訪れて「自分の『破綻』は治せるのか」と尋ねた。だが、アミッドからはヴィトーの『破綻』は「精神」ではなく「魂」の欠損であり、自分では治せないと告げられる。それを受けてヴィトーはベルから受けた傷を治そうとするアミッドの制止を振り切って出て行った。
その後、ヴィトーは重傷のまま街を彷徨った後、力が尽きかけてきたことで、「自分の『理想』は『死』だ」と悟り、そのまま死を迎えようとした……だが、その時、何者かによって傷が癒される。そこにいたのは、意外な人物であった………