概要
ゴジラシリーズに登場する宇宙人の一種。シリーズで言えばX星人、キラアク星人、M宇宙ハンター星雲人に次いで都合4番目の侵略宇宙人である。
『怪獣大戦争』『ゴジラFINALWARS』で強烈な印象を残したX星人や、人によっては卒倒しかねない衝撃の正体を持つM宇宙ハンター星雲人などと比べると知名度は一歩落ちるものの、ゴジラのライバル怪獣である人気キャラクターメカゴジラを初めて制作した宇宙人であり、ゴジラファンの間では知られた宇宙人である。
なおアニメ版に登場したリメイクキャラクター「ビルサルド」についても記述する。
ブラックホール第3惑星人
メカゴジラなどのテクノロジーを用いて地球侵略に現れた侵略者。
高い科学力を持ち、母星の資源が枯渇したためにブラックホールを使って他星への侵略を繰り返していた。
しかし扱っていたブラックホールが暴走してしまい、地球に移住する為にやって来た。
人工皮膚を被り地球人に偽装しているが、その正体は緑色の顔をした猿のような類人猿のようなヒューマノイド型の宇宙人で、一方の『メカゴジラの逆襲』では顔がケロイド状に焼けただれたかのような顔を持った種族として描かれており、自身の生命活動が停止したり、人工皮膚が剥がれることで正体が顕になる。また、血液の色は緑色をしている。
猿人のような素顔について、上述のブラックホールの影響で環境が破壊され、先祖帰りを起こしたためらしい。「アメリカ映画の真似をしてそうなったわけではない」とのこと。
人間の顔に見えるマスクはクローン技術を利用して造ったクローンヘッドであり、『ゴジラ対メカゴジラ』の黒沼と『メカゴジラの逆襲』のムガール隊長が同じ顔をしている理由について、「ムガールに憧れていた黒沼が勝手に同じクローンヘッド使っていたから」という設定になっている。
かなり以前から侵略計画を準備を推し進めていたらしく、まず地球侵略の為にもっとも邪魔になる存在であり、逆に最強の兵器にもなりうるゴジラのデータを徹底的に調べ上げてメカゴジラを制作し、それによる大規模な破壊工作を展開した。さらに沖縄に伝わる守護神キングシーサーの情報をつかんでおり、それの復活を阻むための工作も行っていた。
一度目の作戦が失敗した後もムガール率いる別働隊が侵略計画を継続しており、ゴジラに敗れて大破したメカゴジラの残骸を回収して再建、さらに自身の研究を認めないことで人間に憎しみを抱く真船博士に近づき自分達の協力者に仕立て上げて彼が保有していたチタノザウルスも戦力に加えての第二次地球攻撃作戦を開始した。
しかし、どちらもゴジラと人類の活躍によってメカゴジラは破壊されて計画は頓挫し、地球で活動していた第3惑星人も全滅した。
ビルサルド
アニメ映画版『GODZILLA』に登場する宇宙人。
はくちょう座V1357の第三惑星「ビルサルディア」を故郷としていたが、ブラックホールの軌道上という過酷な環境を生き残るために母星をナノマシンで管理・維持しようとして失敗、故郷を追われて宇宙を彷徨ううちに2036年、地球のロンドンへと到達した。
地球ではエクシフとともにゴジラ対策に尽力したものの力及ばず、最終的には人類およびビルサルドとともに宇宙船アラトラム号で脱出。
地球帰還に際しては、三種族で協力関係を築きながらゴジラ討伐に挑んでゆく。
ブラックホールの軌道上という極めて過酷な環境で暮らしてきたため、人工臓器を用いた頑強な肉体と、徹底した合理主義を重んじる科学主義者。また、自分たちの科学技術を誇りに思っており、ナノメタルを始めとする基礎技術を他の種族に渡したくないという独占欲が強い。
こう書くと冷たい連中のようにも思われがちだが、必ずしも冷淡な性格というわけではない。
地球人との会食の際にはマナーを学んできたり、同志と認めれば地球人の感情的な願いにも犠牲覚悟で応えている。口では文句を言いつつもピーキー過ぎる搭乗兵器のデチューンを引き受けてくれたりする。情緒面でも地球人と大差があるわけではなくゴジラによって無残に破壊された富士近隣の地形を見て感傷に浸るシーンや多くの同胞の命を奪ったゴジラに怒りを露わにするシーンすらある。
彼らが真に科学至上主義者、合理主義者であったのであればこういった感情は持ち合わせる必要すらなく、実際には放浪生活の中で切り捨てざるを得なかった感情だったのではないかともいわれている。
しかし実際、効率の為なら自分自身でさえ機械と同化することも厭わない無機質で冷徹な一面や、技術水準だけで知的種族を定義し、科学に頼らないフツアを「むしけら」と言い切ってしまう傲慢な一面も持っている。だが、ビルサルドからすればフツアと五十歩百歩に過ぎないはずの地球人類に対しては、20年近く放浪の旅を共にしたからか強い仲間意識を抱くようになっている。
優れた科学と工業技術をもち、人類に亜空間飛行などのオーバーテクノロジーやナノテクノロジーによる独自のアビオニクスとベトロニクスを装備した最新鋭兵器、放射能除染用の抗核エネルギーバクテリアといった革新的技術を地球へもたらした。
特に金属とコンピュータがナノレベルで一体化した自律思考金属体ナノメタルはビルサルドのテクノロジーの粋であり、それを用いて建造した最終兵器メカゴジラは人類最後の希望とさえ言われた。
実際ビルサルドたちもこのメカゴジラ(というかナノメタル)については強い自信を持っていたようだが、いざゴジラとの決戦に際しては原因不明の事故により起動せず、為すすべなく破壊されてしまうという無残な末路を辿ってしまう。
失われたはずのメカゴジラはその二万年後、富士山麓でメカゴジラシティとなっておりビルサルドはこれを用いてゴジラ・アースとの対決に臨んだが、ハルオ・サカキの決断によりゴジラ・アース討伐は失敗、メカゴジラシティは喪失してしまう。
族長のドルドはハルオの極刑を求めてアラトラム号の動力室を部下とともに占拠するという実力行使に移ったが、この実力行使のため、動力を奪われたアラトラム号は黄金の終焉から逃げることができず爆発。
アラトラム号に乗船していたビルサルドはこれで全滅したものと思われる。
上述の通りビルサルド全体の傾向として仲間想いで、地球人類に対する態度も一方的な地球侵略とは言い難いものであるため、オリジナルである「ブラックホール第3惑星人」よりもかなり良心的な種族ではある。
しかしやはり宇宙人だけあって思想の根本的な部分において地球人と決して分かり合えない断絶が存在しており、その断絶が結果的に『決戦機動増殖都市』『星を喰う者』における破局を招いてしまうというある意味「ブラックホール第3惑星人」よりも悲惨な結果になってしまっている。
また、エクシフの1人であるメトフィエスはメカゴジラを建造したのはゴジラの駆逐だけでなく、その後の地球侵略も見据えたものだったのではないかと推測しており、仮にメカゴジラでゴジラ討伐に成功してビルサルドと地球人が地球で暮らせるようになったとしても、いずれは致命的な破綻をきたしていた可能性が高い。
原典のブラックホール第3惑星人の素顔はどうみても『猿の惑星』だったが、ビルサルドの外見は筋骨隆々の浅黒い肌をした巨漢が多いものの、そこまでゴリラに似ているわけではない。また上述の通り人工臓器による肉体改造も厭わない種族であるため地球人よりも長命で、平均寿命は200歳なのだとか。
ビルサルディアという惑星およびビルサルド自体はフィクションであるが、はくちょう座V1357は実在する恒星であり、実際に伴星としてブラックホールを伴っている可能性が推測されている。
なお、機械化やナノメタルとの融合などによって肉体を補強する等、ビルサルドは生の肉体を軽視する傾向にあるが、皮肉なことにこれは(物質的生存か精神的生存かの違いこそあれど)エクシフも同じである。