概要
大乱闘スマッシュブラザーズではDXでクッパ、ガノンドロフ、ミュウツー、Xでワリオ、メタナイト、デデデ、ウルフ、forでブラックピット、クッパJr.と他作品のラスボスやライバルキャラが参戦していく中で、ドンキーコングの宿敵であるキングクルールもスマブラシリーズへの参戦も期待されていた。
しかし、Xでキングクルールの船が収録される以外ではフィギュアでの出演に留まっており、2008年のファミリーベースボール以降、本人自体出番を与えられていないためプレイアブルとしての参戦は絶望視されていた。
そんな中、大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii Uでは追加コンテンツとして、7月31日にキングクルールを模したMiiコスチュームが配信され決して無視されていた存在ではなかった。
さらに、理由は異なるが同じように要望が高いながらも参戦が絶望視されていたサムス最大の宿敵、リドリーがSPにて参戦が決定。
forで一度登場しなかったウルフの復活、ダークサムスのダッシュファイター参戦なども含め、悪役にもスポットが当てられキングクルールの参戦の期待はどんどん上がっていった。その一方で、ウルフやダークサムス、リドリーと違い、スマブラシリーズにほぼ関わっていない(ウルフは言わずもがな、ダークサムスはアシストフィギュアで、リドリーもボスキャラで出演しており、全く縁が無い訳では無かった)為、参戦を絶望視する声も多々あり、長らく議論が続いていた。
そして…
2018年、彼は帰ってきた
2018年発売の大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALでついに念願のファイターとして参戦。
さらに彼の登場自体も『スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール』以来10年ぶりである。
PVでマリオとクッパ、リンク・ゼルダとガノンドロフ、カービィとメタナイト、フォックス・ファルコとウルフ、サムスとリドリーと言ったライバルたちが戦闘する描写が流れる中、ドンキーとディディーがいつものように家でくつろいでるところを襲撃しにきた(その前に彼に変装してドンキー達をからかっていたデデデ大王をぶっ飛ばしている)。PVの最後には死んだフリからの不意打ちも再現。
ボイスはドンキー達と同様にSE。
外見は2007年以降のデザインをベースにしつつ、光沢のある腹部などSFCや64時代の要素も取り入れている。それ以外では、ダメージの入ったマントや、網の様に張り巡らされた鱗、原作のいずれにも該当しない長さの尻尾(強いて言うならばDXのフィギュアが近いか)といったスマブラ独自のアレンジが加えられている。
更にダッシュ時のみ史上初の四足走行を披露する。
見た目通りのパワータイプで、腹での押し潰しや踏みつけ、64の様なグローブでのパンチの他、王冠投げや腹でのカウンターなどの変わった技、さらにはキャプテンクルールのラッパ銃やバロンクルールのコプターも使用する。
流石他のヴィランと肩を並べるだけあり、そのアクションは豪快かつ迫力満点である。
ボタン | ワザ一覧 |
---|---|
B | パイレーツキャノン |
→B | クラウンスロー |
↑B | フライングバックパック |
↓B | ボディカウンター |
切りふだ | ブラストマティック |
参戦映像 | ライバルたち |
彼の最大の特徴は大きなお腹の装甲。
お腹の装甲によって横強攻撃など一部の攻撃にはお腹が向いている方向にスーパーアーマーが付き、多少殴られても強引に攻撃を通すことができる。しかし、お腹は攻撃される度にヒビが入り、最大まで攻撃を受けるとお腹が割れてシールドブレイクのような気絶状態になってしまい、大きなスキを晒してしまう。お腹は時間経過で修復するため、クルールで戦っている際に大きなヒビが見えたらorバリン!という音が聞こえたら注意しよう。
必殺技は飛び道具を2種も揃えている。
通常必殺の「パイレーツキャノン」はラッパ銃で鉄球を打ち出す技。Bを押し続けているとファイターや打ち出した鉄球を吸い込むモードになり、吸い込んだ後はデフォルトでは前斜め上、方向キーで上や後ろ方向にも打ち出せる。鉄球の威力も高く、ファイターを吸い込んだ後に打ち出す攻撃でも撃墜が狙えるので強力だが、銃を撃つのもしまうのも隙は大きい。崖際での復帰妨害に使用するのが強かったが、Ver2.0でボタン長押し時の吸い込みの持続時間が短縮されてしまった。ちなみに、吸い込み中はすり抜け床を降りることが可能。
横必殺技の「クラウンスロー」は自分の頭に被っている王冠をブーメランのように投げる技。近距離にいる相手にはクラウンの行きと帰りとで2回ダメージを与えることも可能。潰されにくい優秀な飛び道具だが、戻ってくる王冠をキャッチできないと王冠はアイテムとして地面に落ちてしまい、再び拾うまで使用することができない(拾うのは触れるだけでOK)。落ちた王冠は他のファイターも拾うことができるので、素早いファイターに拾われてしまうと動きの遅いクルールでは取り返すまで苦労するかも…。
ネコピーチ「1つしか無いならもうちょっと大切にしなさいよ~」(ネコマリオタイム第133回より)
…ごもっともです。
なお、場外に落ちると少し間を置いてクルールの近くに出現する。
上必殺技の「フライングバックパック」は背中にプロペラ装置を展開して上昇する技。マントを突き抜けてるが気にしてはいけない。プロペラ部分での攻撃も可能で、上からの復帰妨害にも対処できる。上方向への復帰に優れるが、横方向への移動距離はあまり長くなく、横からの妨害にも弱い。上昇しきった後は手を鳥のようにパタパタさせながら落ちるコミカルな仕草が見られる。Ver2.0でプロペラの判定が狭まってしまったので、上からの復帰妨害阻止も過信は禁物。基本復帰か浮遊するスマッシュボールを割りたい時ぐらいしか使わないかもしれないが、極めると上空にいる相手をプロペラでお手玉してお星様にできてしまう。
下必殺技の「ボディカウンター」はお腹を光らせ、受けた攻撃に対してお腹を膨らませて衝撃波と共に反撃する技。飛び道具の反射も可能な優れものだが、外した際の隙が大きく、背中側の攻撃には無力。ちなみに、反射時にスティックを逆向きに入れると後ろにも攻撃ができる。乱用は禁物だが、上手く読んで相手にプレッシャーを与えていこう。
最後の切りふだは「ブラストマティック」。
『64』で披露したブラストマティック砲を放ってファイターをDKアイランドごと爆砕する。
本家では最後まで発射できなかったため、19年越しの野望実現となった。
その際に登場する要塞は『64』の物と良く似ているが、要塞の上部分が黄色くなっていたり、普通の島だったりと違いがあるので、64のと同一の物なのか64の物とは似て非なるものなのかは不明。
また、彼の参戦に伴って、固有戦闘BGM「キングクルールのふね」がアレンジし直された。今まではロック風のアレンジだったが、今作ではACE氏による、原曲よりアップテンポで勇壮なアレンジとなった。曲の後半はラップパートを交えた、新規アレンジパートで、早速youtubeなどで高い評価を集めている。
勝利時のジングルは、ドンキー・ディディーとは別の物の「THE PIRATE SHIP」のアレンジが用意されている。
オンライン対戦の最初の頃は重量級では、上記の腹アーマーやプロペラの復帰力に加え、遠距離攻撃を二つ持ち相手を埋める技まで持つと良い性能の技を多く持つキャラとして、使用率が非常に高かった。その暴れ様は「今作最強」「ぶっ壊れ」とも言われる程。
しかし、研究が進んでくると「飛び道具の弾速が遅いため見てからガードが間に合う」「低い機動力を補える技がほぼ存在しない」「コンボ耐性が皆無で、殴り続けた後に外に出して横から復帰阻止すれば簡単に撃墜できるため、体重が意味をなさない」等の数々の弱点が露呈していき、最初のキャラランクでは最上位にいたものの、次第に評価が悪くなっていき最終的にキャラランク最底辺にまで降格してしまった。
対戦ゲームとしてもすぐれている今作は、ガチ勢の評価も多く存在し、「彼らが頂点を極める」という点においてはキングクルールはあまりにも厳しいキャラクターなのは事実である。
ただし、これはあくまで大会や最上位プレイヤー同士での対戦での話。
多くの攻略サイトで最弱評価ではあるものの、単純にオンライン上で遊んだり身内で使う分にはその限りでなく、実力で何とかなる範囲であり、勝ちに行けるロマンを求めて使いこなそうとする人は決して少なくない。飛び道具や反射技、お腹のアーマーのおかげで乱闘での暴れ性能、横槍の入れやすさは未だに健在であり、1位を勝ち取ることもよくある。
個人の実力が左右されるスマブラにおいて「攻略サイトやプロの意見では最弱だから」と舐めてかかると、『スーパードンキーコング』での死んだふりよろしく痛い目を見る。また、上記のキャラランクも多くはタイマン戦を意識して作られているものであり、「大乱闘」の名を冠する本作においてタイマン戦だけでキャラ性能を評価してしまうことは本来できない。
そして何よりも、満を持して参戦した彼を「弱かろうが何だろうが使い続けてやらぁ!」というクレムリン軍団もとい彼のファンは多く、オンラインでの使用率はいまだに高く、対策必須のキャラクターである。キャラランクの低さに反して汎用性、使用率が高いという意味では今作のガノンドロフにも共通する事であり、ガノン共々『スマブラはキャラランクは無意味(プレイヤーの実力で勝負が決まる)』というのをいい意味で証明した存在と言えるだろう。
長きに渡り参戦を望まれていたキングクルールの人気はやはり本物であった。
勝ちあがり乱闘「ヘビー級のキケンなヤツら」は重量級かつパワフルな肉弾戦を繰り出すファイターが登場する。このテーマにふさわしいファイターがいるが、ライバルの赤いアイツを意識したテーマとなっているので、2番目に重いキングクルールが抜擢されたと思われる。
似たテーマのワリオや軽量級のファイターが出るピチューとはテーマが真逆である。
バンジョー&カズーイの参戦PVでは上の通りドンキー達とくつろいでおり、二人の参戦に大喜びしていた。が、最後の切りふだであるジンジョーネーターを食らって原作のグランチルダ同様に大岩の下敷きにされた。まあクルールなら大丈夫そうではあるが。
(久しぶりに復活したレア社の同期の切り札から、これまた久しく悪役らしくやられる様はどこか誇らしげにも見える。)
余談
参戦ムービー「ライバルたち」で映っているリンク・ゼルダ・ガノンドロフだが、実は全員登場作品が異なるため初対面である。ライバルでも何でもないのだ。
今シリーズのフィギュア名鑑における説明文では、『DX』だと「クルール軍団」と組織名が誤記され、次作『X』では名称表記が訂正されたが、今度はキャプテンクルールがキングクルールの兄として解説されていた。
しかし、ドンキーコングシリーズ本編内では日本版・英語版ともに基本的に同一人物のように扱われているため、前述の名前の誤記の件も合わせるとフィギュア解説の方が誤っている可能性が高いと思われるが、DXではクッパのフィギュアに「7人の子供がいる」と紹介されていたのに対しXでは設定変更を伴い「一人息子のクッパJr.」と紹介されている例があるため、同一人物から兄に変更された可能性も否定できないが、スマブラX発売後もキャプテンクルールが未登場なため設定変更かどうかは不明。もしくは、単に正体を隠すために「キングの兄」と名乗ってるだけかも知れない。海外版では元海賊と言う同一人物説を裏付ける裏設定がある。
キャプテンがキングの兄だという記述は『スマブラX』以外では一切見られないと思われがちだが、SFC版スーパードンキーコング2の一部の攻略本で書かれている他、当時の小学館の児童向け漫画で紹介されていたという報告もある。
ちなみに似たような説はクッパアオにも浮上している(ただし、あちらはクッパの変装ではなく、単なる偽物)。
最新作の『SP』ではフィギュア名鑑から兄弟云々の記述が消滅した。文章量の都合で削減されただけだと思われるが、真相は不明である。
関連項目
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL スマブラヴィランズ