解説
フェイゾンに纏わるメトロイドプライム三部作共通のスーパーヴィランである。
サムス・アランと酷似した外見をしたフェイゾンエネルギー生命体。惑星フェイザを原産地とする放射性物質、フェイゾンの汚染を全宇宙に広げる事を目的に行動する。『メトロイドプライム』ではアイテム100%クリア時の特殊エンディングに腕のみ、続く『メトロイドプライム2』から本格的に登場。
名称は惑星エーテルを拠点としていたスペースパイレーツの兵士が「黒いサムス=ダークサムス」と呼んだことに由来する。
非常に高い戦闘力と優れたカリスマ性を持ち、メトロイドプライム3においてはスペースパイレーツのトップに君臨。完成当初はパイレーツの中心的存在になるとされたメタリドリーさえダークサムスの配下として扱われている。
その正体は、惑星ターロンⅣの最終決戦において撃破されたメトロイドプライムが、死に際にサムスを道連れにしようと突き刺した触手から辛うじて吸収したサムスのフェイゾンスーツと遺伝子情報(マトリクス)を基に、彼女の形質、及び装備をコピーして蘇った姿。
道連れ自体は失敗するが、サムス由来の豊富かつ強力な能力を多数身に付けている。
大事な事なので強調するが、あくまで取り込んだのはパワードスーツのマトリクスであり、単なるクローンまたはコピーではない。メトロイドプライムが、遺伝子情報からサムスの姿に再構築したのがダークサムスである。
あくまでパワードスーツをもとに再構築した存在であるためサムスのようにヘルメットを外せる様な事もなく、スーツの展開や解除といった機構も無い。プライム2では体内が透けて見えるシーンもあるが、骨格と血管が不気味に広がるのみである。
その後『メトロイドプライム2』では、惑星エーテルでサムスと数度に渡って交戦。その都度サムスに倒され、最後には崩壊する異次元世界ダークエーテルごと消滅したかに思われたが実は完全には絶命しておらず、『メトロイドプライム3』ではスペースパイレーツ戦艦の貯蔵庫のフェイゾンを吸収し突如として復活。戦艦内のパイレーツの30%を殺害した後、残ったパイレーツ部隊の全てを洗脳し自らの配下とする。
ダークサムス自体がメトロイドプライムである為か、プライム2ではスペースパイレーツに囚われていたターロンメトロイド達を解放して回っており、メトロイドが種として持つ仲間意識的な側面も見せている。
能力
メトロイドプライムがもともと持つエネルギー吸収能力や自己再生能力、浮遊能力に加え、サムスが持つパワードスーツの一部の装備をコピーしている。
プライム2では拡散フェイゾンビーム、ミサイルを弾く衝撃波、凪ぎ払うように用いるレーザーの他スーパーミサイル、アイススプレッダーを模した凍結ミサイル、シャインスパークやスクリューアタックを模したと思しき突進攻撃、ブーストボールを披露している。
危険極まりない劇物であるフェイゾンによる攻撃は防ぐ手段がほぼ存在せず、更にはフェイゾン自体が非常に優れたエネルギー源としても活用可能であるため攻撃はいずれも大きな破壊力を持つ。
様々な方法で姿を消すことも可能で、単に視認不可になる程度はもちろん、次元転移によって姿を消すことも出来る。前者は音を視認可能になるエコーバイザー、後者は次元の狭間に存在する物を視認及び攻撃可能になる「ダークバイザー」を使わなければ一方的に攻撃されてしまう。
ストーリーの中盤、1戦目で消滅した後に再び現れた時は、まるで見せつけるかのようにわざわざサムスの目の前で復活して高笑いしたり、サムスの進行を妨害するなど挑発的な言動も見られる。
『メトロイドプライム3』では自らの意思を込めたフェイゾンエネルギーを相手に送り込むことで、生命体の精神を支配して相手を洗脳する能力を使用。結果的に尋常ならざる超人的精神力を持つサムス以外のハンターは全員ダークサムスの手に堕ち、協力関係であったサムスに襲い掛かってくる。
またエネルギーを能力ごと吸収する事も少なくないメトロイドの性質故か、取り込んだランダス(氷柱を模したフェイゾン柱の生成)、ゴア(プラズマキャノンに由来する極太の照射型ビーム)、ガンドレイダ(地を走る電撃と同じ挙動の電撃型フェイゾン)の技をも繰り出しサムスを苦しめる。更には自身のフェイゾンを一部分離させる事で、同等の戦闘能力を持つ分身体「ダークエコーズ」を生み出す事も可能。
プライム3では前作に比べより金属質でサムス本人に近い外見に変化しており、更に球状のフェイゾンエネルギーを纏い高速飛行も可能となった。これに関して、ダークサムスは自身のワープ能力による星間移動が可能であり、長距離と短距離二種の移動手段を獲得している事になる。
戦闘力、脅威度も格段に増しており、自身のホームベース「惑星フェイザ」から各惑星にリバイアサンを送り込み、サムスに完全に倒されなければ銀河中は愚か全宇宙がフェイゾンに汚染されるとオーロラユニットは語る。
つまるところ、ダークサムスが全宇宙を支配するのである。
フェイゾン生命体に共通する性質として、過剰にフェイゾンを注入されると自己崩壊を起こす。このためメトロイドプライム2の最終決戦やメトロイドプライム3時点のあらゆる攻撃に完全な耐性を持つ状態であっても、フェイゾン系の攻撃だけは弱点であり続けた。
反面次元諸とも消し飛んだ筈のメトロイドプライム2後に復活したように、フェイゾン由来以外の攻撃で完全に滅ぼす事は不可能。しかし武器として必要なフェイゾン自体が意思を持って生物的挙動を見せ、場合によっては星を新たなフェイザに変貌させ更なる宇宙汚染を拡大させかねないという悪循環にある。
ダークサムスの実力は宇宙規模の脅威程度なら割と多めな、強豪揃いのメトロイドシリーズ全体で見ても類い稀なるもので、本格的にサムスを死に追いやりかけたという面では寄生生命体Xやレイヴンビークに並ぶ程である。
活躍
- 『メトロイドプライム2』
新たなフェイゾン反応を求めて惑星エーテルに移動し、自身の強化のために色々な場所に出没しフェイゾンを吸収してゆく。
サムスとの初対面では超猛毒の大気が渦巻く異次元『ダークエーテル』に誘い込むように入り、次元の裂け目を通過し追ってきたサムスへ威嚇射撃で応じる。サムスが即座に臨戦態勢を見せると、ダークエーテル唯一の安全圏を構築する『セーフゾーン』の基点となるライトクリスタルを破壊。間接的に継戦不可に追い込み、ダークエーテルを根城とする生命体イング族へ始末を任せる様に姿を消す。
その後は監禁状態のターロンメトロイドを解放やスペースパイレーツ基地のセキュリティをハッキングしステルスフィールド発生装置を奪取する等行動に謎が多いが、サムスを消耗させ、かつ対サムスの為に自身を強化していたとすれば説明は付く。
また、初邂逅の場面ではイング達を従えている様な描写だったが、後にイングにスナッチされたパイレーツ達を攻撃して是等を瞬殺。蹴散らしたダークパイレーツが護っていたフェイゾンを吸収していた様子から、邪魔であれば問答無用に抹消する姿勢でいる。
サムスとは合計3回戦う事になり、復活するたびに戦闘能力が強化されていく。
最終決戦では全戦闘能力最大出力の状態で登場するが、フェイゾンを過剰摂取した状態である為その身体は透け、内部の骨格や血管、臓器類などが浮き彫りとなった不安定な状態で、顔立ちは前作のメトロイドプライム本体を思わせる。ちなみに、左手の甲には、プライム1のエンディングで見せた目がある。
見ようによってはメトロイドを人型に変形させたようにも見える。
崩壊するダークエーテルから脱出しようとするサムスの行く手をフェイゾンで塞ぎ、二人のサムスが砲口を交差させ最終決戦が幕を開ける。
激戦の果て、自ら放つ拡散フェイゾンビームを逆利用され敗北。サムスへ伸ばした手は届かず、粒子化。滅び行く暗黒の次元諸とも消滅したかと思われていたが…
- 『メトロイドプライム3』
惑星エーテルのフェイゾン回収に派遣されたスペースパイレーツの戦艦「コロッサス」のフェイゾン貯蔵庫に積載されていた全フェイゾンを吸収して復活。
乗組員の3割を抹殺した後、残りの兵士や拠点である惑星ウルトラガスのパイレーツ達全員を洗脳し自らの配下にした。
一応、洗脳されていないパイレーツも存在しており、リバイアサンがウルトラガスに墜落しようとするのを阻止しようとしたが失敗し、洗脳済みの仲間に粛清されたらしい。
その後、銀河連邦において重要な役割を持つ星である惑星ブリオ、惑星エリシア、惑星ノリオンの3つにリバイアサンを打ち込みフェイゾン汚染を開始。
ノリオンへの侵食はパイレーツの攻撃から惑星を防衛するために現れたサムスとその他のハンター達により未然に防がれたが、その際にランダス・ゴア・ガンドレイダもろともサムスを一蹴。この際打ち込まれたフェイゾンにより、サムス達は体内でフェイゾンを生成できるようになった。
その結果3人のハンターはフェイゾン汚染によってダークサムスに完全に洗脳されたが、案の定サムスだけは汚染を御し、ハンターやパイレーツ達を次々と撃破。さらには各惑星に打ち込まれたリバイアサンをも破壊してしまう。
惑星フェイザ最深部にてついにサムスと対峙するも、様々な装備、能力を得て大幅にパワーアップしたサムスには力及ばず敗北。さらなるパワーを求めて奪取したオーロラユニット313と融合し再戦を挑む。
フェイゾンシードを任意で送り出す制御のために惑星のコアに連結されていたオーロラユニットは正しく生ける星そのものの圧倒的力を以てサムスを追い詰めるも、サムスは此を撃破。全てのフェイゾンの母星であるフェイザのコアが受けた大打撃は、結果として宇宙全域のフェイゾンの急激な連鎖爆発を巻き起こし、ダークサムスもまた惑星と共に消滅した。
同時に、サムスの体内のフェイゾンも消え去り、ダークサムスに操られたパイレーツ達は宇宙船の動力などにフェイゾンを使っていた事が仇となり、フェイゾン消滅に巻き込まれて完全に全滅。
フェイゾンを巡る壮大な戦いは、漸く幕を下ろしたのだった。
備考
- その呼び名と形質によりよく勘違いされているが、よくあるコピーやクローンではない。冒頭で述べた通り、ダークサムス(メトロイドプライム)がコピーしたのはサムスのパワードスーツの形質のみであり、両者は全く別の存在である。
- プライム3でダークサムスによりフェイゾン汚染されたパイレーツ達は、結果的にダークサムスを崇める狂信者としての性格を示すようになった。パイレーツログの「門弟とは、指導者を疑わないものである」という一文の他、指導者を疑った者はすぐに撃ち殺されたという非常に過激な信仰心が見られる。
- ちなみに、ファンコミュニティで度々叫ばれる「フェイゾンの光のお導きあれ!」はパイレーツログ「最初の門弟」に登場するが、「ダークサムス様万歳!」は原作には一度も登場していない。
- 勘違いされがちだが、指導者であり教祖ではない。パイレーツログの文面は新興宗教の教祖を称えるそれであるが。
- 非常に生命力が強く、例え肉体に欠損や消失が生じても宇宙のどこかに僅かでもフェイゾンが存在すればそこから何度でも復活出来る。更に上記の通りメトロイドプライム3時点ではフェイゾン由来を除くあらゆる攻撃に完全な耐性を持つ。
- フェイザ内にはリバイアサンの幼体の他、メトロイドプライムの外殻に似た物が遍在する。プライム1で惑星ターロンⅣに墜落した隕石も、フェイザから放たれたリバイアサンである可能性が高い。
- またリバイアサンの性質やダークエーテルに蔓延する劇毒がフェイゾンに似た性質を持つ事などから、メトロイドプライム2における惑星エーテルに墜落した隕石も上に同じと推測出来る。これについては、メトロイドプライム3のシードボス(リバイアサンシードを守護するボス)達が全て各惑星で最も強力な存在であることも、メトロイドプライム2の惑星エネルギーの守護者たちが各エリアで最も強大な力を持った存在である事と共通している。
- プライム3で行った分身体当たりのポーズのシュールさを、ファンからネタにされているとかされてないとか。
- たびたび中身についての議論が交わされているが、前述の通りプライム2のラストにて判明している。そのため、二次創作で度々描かれる人間的な姿はファンによる非公式の擬人化だと考えてもいいだろう。
- サムスの遺伝子を取り込んだことと、パイレーツログにて「彼女(She/Her)」と記述があるため、ファンコミュニティでは女性扱いされることも多いが確定事項ではない(サムスが女性であることから、パイレーツ達が便宜上あえてそう表現した可能性もある)。
外部出演
大乱闘スマッシュブラザーズ
第4作『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』でアシストフィギュアとして登場。
相手ファイターをフェイゾンエネルギーの散弾や巨大な誘導弾、至近距離ではフェイゾンの触手で攻撃する。
また、同作ではサムスのカラーバリエーションとしてダークサムスを再現したカラーリングが用意されている。
続く『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ではサムスのダッシュファイターとして、ファイターへの昇格を果たした。
立ち姿や風格はコンパチとは言い難いオーラを醸し出しており、ビームエネルギーやミサイルの形状、ボムの色の違いに加え、回避アクションやアピール、ジャンプの挙動やダッシュなど所々サムスとは挙動が異なる。
性能差は小さく好みの範疇だが、強いて言えば接近戦メインで持ち込みたいならダークサムス、遠距離と接近戦で戦いたいならサムス…といった感じの違いはある。
詳しい解説はダークサムス(ファイター)を参照。
関連タグ
メトロイド メトロイドプライム メトロイドプライム(生物) サムス・アラン フェイゾン
他メトロイドシリーズ類似キャラ
こちらもサムスの遺伝子情報およびパワードスーツ情報をコピーして彼女そっくりの姿形に変身したクリーチャー。分裂能力や最終盤の武器が無ければ倒せない点も共通している。ただし、ダークサムスは高笑いをする等の感情表現を行うのに対し、Xには感情は無いと言われている。
こちらもフェイゾン由来の生命体で、他の生物の体を乗っ取って攻撃的に変形させて手駒とする、機械との融合・操縦を行うなど似たような手口の侵略を行う。上記のXを含め、どちらも被害が銀河規模に及ぶ前にサムスに退治されてはいるが、サムスがいなければ早期にダークサムス以上の被害を生んでいたのは間違いない。