概要
本名:オットー・ギュンター・オクタビアス(Otto Gunther Octavius)。
主に『スパイダーマン』関連作品に登場する人物で、グリーンゴブリンと並ぶ本作の代表的なヴィラン(悪役)の一人。略称は「ドック・オック(Doc Ock)(ドク・オック、ドック・オクとも)」。
元々は天才的な物理学者で、実験の補助のため着脱式のロボットアームを開発し自ら装着するが、実験中の爆発事故で機械が融合し、アームを一生外せない身体となる。さらに自らが異形の存在になってしまった事を悲観し、そのアームの力を悪用して犯罪に手を染めるようになるスパイダーマンにとって永遠の敵。
体に装着した4本のロボットアームは、元々危険物取り扱いを目的に開発されたこともあり常人をはるかに上回るパワーと長いリーチを持ち、彼の神経回路(脊髄)に直接繋がっており手足のように自在に動かすことが可能。最短は1.7m、最長は7.6mになり3トン程度のものを持ち上げる。その触手のようなアームのデザインと本来の四肢と合わせて8本足に見えるその姿から「オクトパス(タコ)」と呼ばれている。
同じ8本足の蜘蛛とタコが敵同士というのは皮肉なものである。
グリーンゴブリンと並んでスパイダーマンの古参かつ代表的なヴィランであり、スパイダーマンとは単なる敵というだけでは説明し切れない、複雑な経緯を辿ってきた。
サンドマン、ヴァルチャー、エレクトロ、ミステリオ、クレイヴン・ザ・ハンターといったスパイダーマンのヴィラン達を集めてヴィランチーム「シニスター・シックス」を結成し、頭脳を活かしてそのリーダーとなった。
実写映画
サム・ライミ版
演:アルフレッド・モリーナ(吹替:銀河万丈)
『スパイダーマン2』のメインヴィランとして登場。
ピーターが尊敬する科学者で恰幅よくプライド高いのが玉に瑕だが、良き愛妻家で温厚な性格。
オズコープ社との共同開発で、人工知能を搭載した4本の作業アームを利用しての核融合実験(人工太陽を生み出す)を行うが、装置の暴走により失敗して妻を亡くしてしまう。
更には実験の事故でアームが脊髄と融合した上に制御チップも破壊され、アームの凶悪な人工知能に意識を支配されてしまう。
「実験の成功」というアームの思考のためなら文字通り何でもする危険な思想に取り憑かれ、最早別人となってしまった彼は、アームを操って強盗行為を繰り返し、人々を襲うマッドサイエンティスト「ドクター・オクトパス」と成り果て、実験材料入手のためハリーと手を組み自身の邪魔をするスパイダーマンと対決する。
マーク・ウェブ版
『アメイジング・スパイダーマン2』ではロボットアームのみの登場。
次回作でヴィランとして登場する事が示唆されたものの、シリーズの打ち切りで白紙となった。
MCU版
2021年12月公開(日本は1月)の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、サム・ライミ版におけるドクター・オクトパスが登場。彼の時系列はサム・ライミ版のラストシーンで死亡する直前とされており、登場当初の段階では再び意識はアームの人工知能に支配されていたが、中盤でスパイダーマンが新たな制御チップを作り直した事で本来の温厚なオットー・オクタビアスとしての意識を完全に取り戻す。終盤のとある場面で彼が起こしたある行動やセリフは『スパイダーマン2』を見た事がある人にとっては胸熱な展開だったに違いない。
演者はサム・ライミ版と同じくアルフレッド・モリーナ氏。吹き替えもサノスを演じた万丈氏が続投する。
アニメ映画
スパイダーマン:スパイダーバース
こちらではオリヴィア・オクタビアスという女性となっており、敵キングピンの配下として活動。
オクタビアス博士が作った装置は次元を歪め別ユニバースから様々なものを引き出すもの。しかし最後には歪みは広がりユニバース同士が融合、全てを破壊してしまう。
しかし博士は自身の興味を満たすまで止まらない。
アニメ
初代アニメ版スパイダーマン
声:南利明(東京12チャンネル版)⇒田中康郎(独立局版)⇒島香裕(スカパー版)
電磁パルス装置でニューヨーク都市を破壊したことがあり、スマーター博士が開発した新兵器ナルファイアーを強奪していたこともある。
当時の旧邦訳ではタコハチ博士だったが、2004年にCSで放映された際では「ドクオック。
東映アニメ版スパイダーマン
声:不明(独立局放映版)⇒島香裕(スカパー版)
世界中にある石油を奪ったことがあったが、スパイダーマンが阻止した。
超人ハルク1982
声:不明
第1話に登場。ガンマ基地を攻撃したことがあるが、ハルクがやっつけている。
スパイダーマン&アメイジング・フレンズ
声:島香裕
アリエルと少年が乗っていた宇宙船を奪おうとしていたが、スパイダーフレンズによって阻止された。
平成アニメ版スパイダーマン
声:島香裕
「ドクター・オクトパスの陰謀」でフェリシアとジェイムソンを襲ったことがある。
シーズン2ではキングピンの他の手下と共にスパイダーマンをやっつけようとしたが失敗。
スパイダーマン・アンリミテッド
第1話でカメオ出演、戦う場面のみ。
スペクタキュラー・スパイダーマン
声:不明
アルティメットスパイダーマン
声:山本兼平
ゲーム
PS4版スパイダーマン
ピーターの師として登場。オクタヴィアス博士は自身の研究として神経や脳波に反応して動くロボット義肢を開発中。ピーターは彼の助手として博士を尊敬し、支えていた。そしてオクタヴィアス博士もまたピーターを信頼し、可愛がっていた。
ゲームでは博士が組み込んだ回路を指定の電圧が流れるよう修正するパズルゲームがあり、プレイヤーは「しっかりしてよ博士」とツッコむが、ストーリーを進めると博士は幾年もの研究で神経が侵されており手足が徐々に動かなくなっていることが判明する。脳波で動く義肢は自身のためでもあった。
しかし元同僚のノーマン・オズボーンに執拗な妨害を受け、予算や研究関係機関の監査が厳しくなり、彼の研究室はほぼ潰れる寸前に。
それでもピーターの励ましと、そして自身の才覚により彼は「人間以上の腕」という義肢の研究を完成させる。ただし、それには着用者の精神が汚染される効果もあり、オクタヴィアス博士はノーマンへの恨みを爆発させ、彼への復讐に街全てを巻き込むことを決める。
ピーターは博士の暴挙を止めるため、スパイダーマンとして、そして彼の助手として尊敬していた師に立ち向かうことになる。
日本独自の漫画
スパイダーマン/偽りの赤
ミステリオが作り出した幻影として登場する。
余談
- 1967年放送のTVアニメの旧吹替版では「タコハチ博士」と称されている。
- あまり知られていないが彼にもまた二代目が存在する。本名キャロライン・トレイナー(Carolyn Trainer)。初代オクトパスを師事した女性科学者で、師がケイン(ピーター・パーカーのクローン)により殺されたのをスパイダーマンに殺されたものと思い込み、2代目ドクター・オクトパスになった。後に初代オクトパスは悪の忍者組織ザ・ハンドの秘術により復活し、以降は「レディー・オクトパス」に改名した。
- 病に犯され余命わずかとなったオクトパスの最後の死闘『スーペリア・スパイダーマン』がある。
- 彼の本名『オットー・オクタビアス』は、日本のギャグマンガ等でよく見られる『現実だとありえない、名は体を表し過ぎている名前』であり、『オットー=(イタリア語で)8』、『オクタビアス=タコ』で、日本語に意訳すると『蛸の八郎』みたいな感じになる(ただしオットー〈Otto〉自体は、ドイツ語圏に実在する人名)。
ノー・ウェイ・ホームでは本名を名乗った際、MCU版ピーター達が笑いだすという場面がある。