原作版
『宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち』に登場する、暗黒星団帝国のマゼラン方面軍総司令部を兼ねる巨大移動要塞。全長720m。全幅432m。こけしのような形状が特徴。
同軍総司令のメルダーズが指揮官を務め、ガミラス星とイスカンダル星の地下資源「ガミラシウム」「イスカンダリウム」を入手するべく、大マゼラン雲へ派遣される。
8門の回転式巨大砲(主砲)と、多数のミサイル・ビームの発射口から繰り出す圧倒的物量の攻撃力だけではなく、デスラー砲が効かない程の防御力を誇る、文字通り難攻不落の要塞である。
宇宙を漂流するイスカンダル星を追跡するヤマトとデスラー艦隊の前に出現。
凄まじい攻撃の前にヤマトは手も足も出ず大ピンチに陥るが、デスラーは自らが乗艦するデスラー戦闘空母をゴルバの回転式巨大砲の砲口に突撃させて、発射口が閉じられないようにする捨て身の特攻に出る。その上で、波動砲で自分もろともゴルバを射つようヤマトに要請するが、スターシャがイスカンダリウムの提供と引き換えにデスラーの助命を嘆願したため、その場の戦闘は中止された。
しかしイスカンダルに降下する途中、スターシャがイスカンダルを自爆させたため、ゴルバもその道連れとなって爆発、消滅する。
最後はイスカンダルの自爆という形で決着であり、(最後はテレサに丸投げする格好になったとはいえ)あの都市帝国にさえ途中までは奮戦してみせたヤマトが、初めて何もできずに初めて完全敗北した相手となった。まあ直接戦ったのはデスラー艦隊のみで、ヤマトはほぼ傍観していただけだが……
後の劇場版映画『ヤマトよ永遠に』では、同系列でさらに大型のゴルバ型浮遊要塞が7基登場した。ただし…
ゲーム版(PS版)
『新たなる旅立ち』を原作とする『イスカンダルへの追憶』、『永遠に』の前半部を原作とする『暗黒星団帝国の逆襲』に登場する。
正式名称がウラリア式制圧自動惑星『ゴルバ』となっている。下部がオリジナルよりもほっそりしており、シルエットがこけしからキノコに近くなった。
回転式巨大砲は「α砲」という名前が付けられ、『永遠に』に登場した戦艦グロデーズの搭載する「無限ベータ砲」(ゲーム版では「無限β砲」)はこの砲の後継兵器ということになっている。エネルギー量から波動砲クラスの超兵器と推測されている。
強力なエネルギー偏向バリヤーを有しており、波動砲やデスラー砲は全く効かない(ゲーム版では戦艦であるプレアデスですら波動砲が効かないのだから当然といえば当然である)。
また、原作の戦闘ヘリの代わりにテンタクルスという駆逐艦サイズの攻撃艇を搭載している。
デスラー・ガミラシア(デスラー戦闘空母のゲーム版)がα砲に突っ込み、スターシャが降伏するところまでは原作通りだが、その後はオリジナル展開となる。
漂流するイスカンダル星を停止させるためにガミラスが作った人工マイクロブラックホールを、一時的にゴルバの動きを封じることに使用。その結果、ゴルバは破損したα砲をイスカンダル星に指向したまま、身動きが取れなってしまう。
超重力により移動することもイスカンダルを人質(星質?)にすることもできず、テンタクルスの出撃も思うようにいかなくなり、単独で地球・ガミラス艦隊を相手取ることになったゴルバは、ブラックホールを操作しているデスラーを狙うが、その隙に別動隊から損傷したα砲への集中攻撃を受け、機関部に誘爆し、爆発した。
『暗黒星団帝国の逆襲』ではゴルバ型浮遊要塞ではなく、引き続き自動惑星ゴルバとして登場。原作同様、暗黒星雲内において7基でヤマト艦隊を包囲し、追い詰める。
今回は数も多いうえに破損した砲口も存在せず、万事休すかと思われたが、技師長の真田志郎があることを思いつく。イスカンダルでの戦いから、エネルギー偏向バリヤーは実弾兵器に対しては効果が無く、そしてゴルバ自体はエネルギー兵器にそこまで強くない(だからこその偏向バリヤー)ということを見抜き、徹甲榴弾よろしく実弾の形でバリアを突破し、しかる後に内部で炸裂する砲弾「波動カートリッジ弾」をその場で急遽開発した。
ヤマト側の目論見通り、波動カートリッジ弾は偏向バリヤーを突破してゴルバ内で炸裂。おまけに、(この時点でのヤマト側は知らなかった)波動エネルギーと融合して大爆発を起こす特性を持つという暗黒星団帝国兵器の弱点により、7基もいたゴルバは誘爆で全滅することとなった。
リメイク版
『宇宙戦艦ヤマト2205』に登場する。デザリアムがイスカンダル星をデザリアムまで移送する為に大マゼラン雲へ派遣した移動要塞。旧作と同じくメルダーズが座乗する。
全高が720mから10kmへと大幅に巨大化。シルエットは原作同様のこけしだが、下部が展開できるようになっている。
スペック
- 全長:10 km
- 武装
- 超大型重力場収束式ベータ砲
- 主砲:大口径重核子ベータ砲×8
- 対空・対艦ミサイル×多数
- 重核子ベータ砲×多数
- 重核子アルファ砲×多数
- 他多数
- 搭載機
- 襲撃戦闘機カタピラス
- 殲滅多脚戦車
周辺空間の重力を制御する能力を持ち、複数の重力傾斜を発生させることができる。その能力を使い、フィールド発生器で慣性制御した天体を、発生させた重力傾斜で「自由落下」させることで移動させることが可能。
また、エネルギー供給用外部ユニットとして「デザリアム・ハンマー」を用いてエネルギーさえ確保すれば、天体をワープさせることもできる(2199シリーズ世界で今のところ他に天体ワープを実現しているのは古代アケーリアス文明の遺産である滅びの方舟のみ)。
原作の回転巨大砲はデザリアム戦艦の主砲である重核子ベータ砲を大口径したものとされ、それ以外にも重核子ベータ砲や重核子アルファ砲、対空・対艦ミサイル等々、多数の防御兵装を備える。
そして、原作で推進ノズルだった下部には、「超大型重力場収束式ベータ砲」という超巨大砲を搭載。重力制御能力を応用し、重力傾斜で砲身を兼ねた加速装置を形成してエネルギー弾を発射するという兵器であり、威力自体は波動砲に劣る(3隻分の波動防壁でギリギリ防ぎきれる程度)ものの、代わりに連射が可能となっている。
防御面では、デザリアムの兵器に標準搭載されている「位相変換装甲」を有しており、敵の攻撃をノイズキャンセリングと同じ要領で相殺する。ゴルバはその強力な機関出力により、デスラー砲さえも防ぐ強固さを持つ。
さらに電磁波を相殺することで巨体ながら完全なステルス状態になることも可能。
さらに特殊装備として、次元潜航中の物体を捕らえてゴルバ内に転送する「キャプチャー・フィールド」も有している。これにより、これまでほぼ無敵だった次元潜航艦にもとうとう影が差すことに。
以下、ネタバレ
当初は姿を隠したままイスカンダル星を牽引しつつデーダー艦隊に指示を出していた。
デーダーがヤマトに敗死した後、ステルスを解除して姿を現す。直後にデスラーの乗るデウスーラⅢ世から奇襲のデスラー砲を受けるも、位相変換装甲でなんなく防ぎ、逆に周辺に複数の強力な重力波を生み出し、ヤマトやデウスーラⅢ世を翻弄。そのまま彼らを置き去りにしてイスカンダル星を牽引していった。
地球・ガミラス艦隊はデザリアム軍の排除を諦め、次元潜航艦によってガミラス避難民を救助する作戦を実行するも、ゴルバ側はすぐさま察知してキャプチャー・フィールドで次元潜航艦UX-02を捕獲・破壊(ガミラス避難民はどうでもいいが、イスカンダル王族まで脱出されたら困る為と思われる)。さらに邪魔な避難民を排除するべく、超大型重力場収束式ベータ砲で避難船団を狙う。ヤマト・ヒュウガ・デウスーラⅢ世の3隻による波動防壁の最大出力での展開により初弾は防がれるものの、すぐさま次弾の発射態勢を整え、今度こそ邪魔者を排除しようとした。
しかし発射直前にスターシャが一時停戦を呼びかけ、その後ガミラス避難民の身柄の保証を条件にイスカンダルを明け渡すことを申し出たため、承諾して戦闘を中止し、避難船団の離脱を待って星の移送を再開しようとする。だが、スターシャは元より星を渡すつもりはなく、自爆させるつもりだった。
ガミラス船団の離脱後、スターシャは星の自爆装置を起動させようとするが、その寸前スターシャを死なせまいとするデスラーの決意により、デウスーラⅢ世が反転突撃。デスラー砲でゴルバを砲撃し、位相変換の最中に同一箇所へ体当たりを行うことで、ゴルバに突き刺さる格好になる。デスラーは波動砲で自分ごとゴルバを撃つように指示し、ヤマトは波動砲の発射態勢に入るが、土門竜介によって制止され、代わりに彼の発案によるコスモハウンドを用いたイスカンダル王族の救出作戦が敢行されることになる。
ゴルバ側は敵がイスカンダル王族の脱出を企てていることを察知すると、再びキャプチャー・フィールドを投入。そして、コスモハウンドの捕獲……したかに見えた。
しかし、それは罠であった。実際に捕らえたのはコスモハウンドから切り離されたユニットであり、乗員やイスカンダル王族が乗り込んでいる本体は通常空間への脱出に成功していた。
そして、捕らえたユニット内には波動掘削弾が時限爆弾として仕込まれており、ユニットを取り込んだゴルバの内部で爆発。さらに要塞全体に誘爆が広がり、位相変換装甲を始めとする各種機能が停止した。通常ならばあり得ない規模の被害にメルダーズは「たった1発の爆弾が……何故……」と訝しんだが、彼の上位者によると波動エネルギーによる影響らしい。
それでもなんとか持ちこたえていたゴルバは、超大型重力場収束式ベータ砲で敵艦隊を殲滅しようとするが、直前にスターシャがイスカンダル星を自爆させ、位相変換装甲が機能しなくなっていたゴルバはその爆発に巻き込まれて砕け散るように消滅した。