ザトウムシ
ざとうむし
概要
鋏角亜門クモガタ綱のうちザトウムシ目に属する節足動物のこと。
本体は豆のようにまとまって、これは多くの種類では細長い脚によって宙に浮く。なお、一部の種類(ダニザトウムシ等)は脚が短く、ダニの様な姿をしている。体の背面に1対の単眼を持つ。
6,600以上の種が知られ、クモガタ類の中ではダニとクモの次に多い。地味な種類が一般的であるが意外にも多様で、派手な色を持つもの、強大なハサミや棘などで重武装したものもいる。
和名「ザトウムシ」(座頭虫)は、盲人が杖で探りながら歩くような姿に由来する。
古くは上述の特徴とクモのような姿から「メクラグモ」(盲蜘蛛)とも呼ばれていた。
学名「Opiliones」(オピリオネス)はラテン語の opilio(収穫)、英語名は「Harvestman」(ハーヴァストマン、収穫者)といい、収穫の秋によく現れることに由来とされる。「Daddy Longleg」(デディロングレッグ、あしながおじさん)とも愛称されるが、これは地域によりユウレイグモやガガンボ等、他の脚の長い節足動物を指す場合もある。
生態
全てが陸棲で、極地と砂漠以外の環境に生息するが、湿度が高く植物の多い所がメイン。腹面の気管で呼吸する。
ほとんどの種類は視力が悪く、脚で周りを感知して歩く。脚が極めて細長い種類では、脚先が触手のように物を巻いて掴める。
ほとんどが雑食性で、虫などを捕食する他、死体やキノコなどの真菌を食べることもある。マイマイカブリみたくカタツムリを主食とする種類もいる。
また、クモガタ類類の中では唯一、固体の餌を呑むことができるグループである(他の種類はほとんどが液体しか呑めない)。
天敵に対する防御手段は多様で、硬い外骨格・擬態・警告色・忌避物質・死んだふり…そして何より脚を自切することが代表的である。切られた脚はしばらく小刻みに動き、天敵の気を取る隙に本体が逃げる。なお、切られた脚は再生できず、機動性にも影響するためコストがかかる防御手段でもある。
クモガタ類の中では例外的にオスはペニスを持ち、真の交尾を行う(他の種類は「交接」で、精包など間接的な方法で精子を雌の生殖孔へ注ぐ)。メスもそれに劣らず長い産卵管を持つ。