プロフィール
「あたしだって、あなたを慰めてあげたいわ。
でもね…あたしだって子供なのよ!
勘弁してよ……」
劇中での活躍
グリプス戦役(『機動戦士Ζガンダム』)
本編のヒロイン。
グリーンノアにおいてはレストランの看板娘としてウェイトレスのバイトをしていた。
カミーユを慕っており、両親が留守がちな彼の世話をよく焼いている(TV版冒頭では、主人公カミーユの爪を噛む癖を注意するなど前作のフラウ・ボゥの行動を踏襲するような演出が目立つ)。
カミーユがガンダムMk-Ⅱを強奪したことが原因で、彼と知り合いという理由からティターンズに追われて両親と生き別れる。
だがほどなくしてブライト・ノアの手引きによってアーガマに難民として収容され、すでにエゥーゴのモビルスーツパイロットとなっていたカミーユと再会を果たす。
戦時における感覚の差異から当初はすれ違いを生むが、自身もカミーユを案じてパイロットとなるべく志願して訓練を受ける。
月での訓練修了後、アーガマにZガンダムを運搬する役割を以て帰属。以降、補欠パイロットとしてグリプス戦役に参戦することとなった。
元来はごく一般的な少女であり軍人として適性もあるとは言い難かったが、戦況の悪化と何より自身の意志の強さが戦線の離脱を許さず、レコア・ロンドと併用される形でメタスのパイロットとなる。
レコアの離脱まではハロを使って出し抜くなど競争相手だった。
戦闘慣れしているレコア・ロンドやアポリー・ベイの足を引っ張る形だった。
戦災孤児のシンタとクムの世話役を引き受け、周囲の理解と協力を得ながらパイロットとして、人間として成長し、戦役終盤は艦隊の防衛や支援戦闘などにおいてパイロット不足の中で無理しつつも戦闘に出撃するも、これがアポリー・ベイの死を招く事となる。
最期はゼダンの門攻略戦において、ジェリドの駆るバイアランの攻撃からファのメタスを庇い、撃墜され戦死した。 後に彼女はこう述懐している。
『私が戦いに向いていない事は充分良く解かっているつもりよ』
常に非情な現実に向き合い続けるカミーユの傍らで常に彼を想い、その心を支えていたが、当のカミーユ本人はホンコンシティで出会ったフォウ・ムラサメに夢中で、ややファをぞんざいに扱う傾向があった。
劇中終盤グリプス2内部でカミーユ、クワトロ、ハマーン、シロッコの4人が睨み合いで口論となった際、均衡を打ち破りクワトロ、カミーユを救出した。
ニュータイプとして先鋭化していく過程で危険な兆候をみせつつあるカミーユを案じていたが、ファの危惧は現実のものとなりパプテマス・シロッコとの決着後、カミーユの精神は崩壊。
Zガンダムのコクピットで異常な言動を続けるカミーユを涙ながらに支えつつアーガマに後退。
エマ・シーンの戦死により放棄されたガンダムMk-Ⅱに「お前もアーガマに帰りたいの」と問いかけたのが、劇中最後のセリフとなっている。
カミーユに近づく女性に対しては嫉妬心を露わにする場面もあり、カミーユがサラ・ザビアロフの尋問を行った直後にはカツ・コバヤシに煽られてカミーユに食ってかかっている。
カミーユを自分の兄であるとの洗脳を受けたロザミア・バダムに対しては「兄の理想の恋人」と煽てられたため、警戒はしていたものの、ある程度は受け入れている。
敵に回ってしまったレコアに真意を問すため戦闘中にモビルスーツを降りたり、再強化でアーガマ滞在時の記憶を失ったロザミアから銃口を突きつけられながら必死に説得を試みるなどかなり気丈な振る舞いが目立つ。
劇場版での変更点
劇場版ではフォウの二度目の登場が無くなっている為、ジャブロー降下作戦・香港でのフォウとのロマンスを経てカミーユがアーガマに帰還した時点から、彼の恋人として描かれている。
Zガンダムと同時にアーガマに納品されたメタスはレコアがヤザンに撃墜され、拉致された際に失われ、ファが搭乗するのはメタス二番機。
未熟なパイロットとして戦闘に参加するだけでなく、補給要員として弾薬の補充を行う場面もみられた。
3作目『星の鼓動は愛』のクライマックスでは、TV版と同様にカミーユは死者たちの思念をZガンダムに集めてシロッコのジ・Oを撃墜するが、カミーユは精神崩壊を迎えることなく戦闘を終える。
アーガマ通信士のサエグサからアテレコでからかわれながらも、互いの無事を確認して宇宙空間でカミーユと抱き合うシーンで大団円を迎えた。
なお、劇場版は『機動戦士ガンダムΖΖ』へと繋がらない物語になっているので、ファは後述の「『機動戦士ガンダムΖΖ』での活躍」とは別の人生を送っていると考えられる。
劇場版の設定をもとにして描かれた漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、カミーユとともに引き続きエゥーゴの戦闘員としてティターンズの残存勢力の掃討を行っている可能性がある。
また、アストナージとブライトとの会話から、サイド1でアーガマを降りたとも推測できる。
第一次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダムΖΖ』)
物語序盤ではアーガマ唯一の正規パイロットとして、またジュドー・アーシタら、シャングリラの少年少女たちの世話役として奔走する。
その一方でアーガマを離れざるを得なくなったカミーユを案じ、戦いに迷う姿が描かれている。
当然気が気ではなく、その結果アーガマ艦内でも次第に神経質になり、深く事情を知らないジュドーらに対して辛くあたって反感を買うこともあった(エル・ビアンノからは「オバン」「姑ババア」などとを悪口を叩かれていた)。
第10話では、戦闘を楽観視するジュドーを諌め、パイロットになり始めた頃に比べ戦士としての成長ぶりが窺える。
ビームライフルのプラグを接続し忘れたまま出撃してしまい危機に陥ったジュドーを救うべく、上半身のみの半壊したメタスで出撃する。
必死の支援によって彼に身をもって宇宙での戦闘の厳しさを説き、何とかΖガンダムのビームライフルのプラグの接続には成功したが、その戦闘においてマシュマー・セロの乗るハンマ・ハンマのビームサーベルが機体に直撃してしまいコントロール不能に陥りメタスごとシャングリラの方向へ流されていく。
この時ブライトをはじめとするアーガマのクルーも、ファの本心を見抜いていたのかわざと見捨ててカミーユのもとへ帰すことを決意し、メタスを回収しなかった。
やがてファを乗せたメタスはシャングリラへと流されていった。
ジュドーの回想にも、カミーユについて語った言葉と共に現れたりと少なからず彼に影響を与えていたようである。
その後、どういう経緯かは不明だが、ダブリンの病院において入院するカミーユを看病する傍らで看護師として働いていた。
そこで、地球連邦上層部の高級官僚が所有する山荘「ブナ屋敷」において地下室の牢獄に監禁されていたジュドーとブライトに再会・救出する。
この時を見れば解るが以前と比べて(この年頃の女の子としては)かなりワイルドかつ逞しい戦士となっているのが解る。
2人をアーガマに車で送り届けるものの、ダブリン市街地においてネオ・ジオン軍による空襲が始まり、カミーユの身を案じて病院に戻るが彼のいる病室はもぬけの殻であった。
カミーユの捜索をブライトらに頼むべくアーガマに戻り、ガンダム・チームと共に海岸においてカミーユと再会する。
最終話では、症状が回復したカミーユと共に海岸を走るシーンが描かれた。
U.C.0093 逆襲のシャア
その後は一度はファと共にあるコロニーに滞在して医学生としてやり直す事を決意する。コロニーの街頭モニターでシャアの演説を見て
『カミーユ…ブライト艦長の所に行かなくて良いの…?あなたが戻りたいなら私は…』
『いいんだ…俺はもう人を傷付ける事に疲れた…。それにもう俺が行っても足手まといなだけだよ。
それにダカールでの事といい、クワトロ大尉の言い分も解る気がするんだ…。俺は今はあの人を責める気にはなれない…。
これからは人を癒して生きていきたいんだ。傷付ける事じゃなく。もう1度学生としてやり直すんだ、俺達これからだものな』
『本当にそれで良いの?』
『ブライト艦長やアムロさん達ならきっと何とかしてくれるさ…俺達にはもう何の関係もない事だよ。それに何よりもう人を傷付けたくない。
俺達の青春はまだこれからだよ、さ。行こう!』(ファの手を取りつつ街頭モニターから立ち去るカミーユ)
(『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』前の外伝漫画より抜粋)
(『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』ではファと共に医者兼医学生として暮らしていたようである。)
外部作品での活躍
SDガンダム外伝
CV:矢島晶子
「あの、やさしかったお父様はどこへ・・・」
第3部「アルガス騎士団」編のヒロイン「ムンゾ帝国のユイリィ姫」として登場。劇場版Zに先駆けること十数年でのヒロイン抜擢である。ちなみに後ろに背中まで伸びた三つ編みがある。
周囲がやや小物化したとはいえコンスコン王や侍女ハマーンや戦士ヤザンといったいかにもな悪党ぞろいな中で荒廃する国を憂い、平和を願う優しい姫様。途中父を傀儡としていたジオダンテに父娘そろって取り込まれかけるが、闘士ダブルゼータと法術師ニューの活躍で無事救出され、めでたくカミーユ王子と結ばれた。
主な搭乗機
MSA-005 メタス(TV版、劇場版でいずれも搭乗。レコアの後任として専用機として預かる)
その他の搭乗機
スーツ・キャリア(TV版、劇場版でいずれも搭乗)
RMS-099(MSA-099) リック・ディアス(TV版のみ。バッチ中尉の機体に無断で搭乗、出撃した)
MSA-003 ネモ(TV版のみ。メタスの補欠要員だった頃に乗っていたことがある)
MSZ-006 Ζガンダム(『機動戦士ガンダムΖΖ』の第5話と第7話に限り緊急出撃)
FXA-05D Gディフェンサー(不明瞭な描写だが、劇場版で搭乗しているようである)