「貴様のしたことは」
「他の誰でもない貴様が責任を取れ」
概要
cv:江川大輔
それ以外の情報は一切不明で、しかも作中に登場したのは半天狗の走馬灯による「見開き2ページの継ぎ接ぎ過去回想」の中のみ。
ちなみにこの回想シーンは11コマあるが、お奉行の出番はその内の5コマ(半天狗の裁きで3コマで、襲撃された直後の2コマ)。
当然ながら本編には未登場のモブとすら言えないようなキャラクターだが、そのほんの僅かな描写だけでも忘れがたい印象を残し、精神力だけなら柱に匹敵する逸般人と高い評価を得た。
活躍
自身を盲人だと偽って、盲人たちに色々と世話を焼いていた長者の屋敷で盗みを働き、その恩知らずな行為を告発しようとした仲間を口封じに殺害した罪で、白州に送られてきた人間時代の半天狗。
別の町でも盗みと殺しを繰り返していた彼に「同情の余地もなし」と厳しく断罪するお奉行に対して、
「滅相もない、儂には無理でございます」
「このように目も………」
と、嘘を並べ立てて無罪を主張する半天狗だが…
「貴様は目が見えているだろう」
「以前この白洲の場へ来た按摩(あんま)は私が話し始めるまで塀の方を向いていたぞ」
と、奉行として確かな観察力で半天狗の嘘を瞬時に見抜き、
「儂が悪いのではない!この手が悪いのだ!」
と、見苦しく言い逃れするや、
「手が悪いと申すか!! ならばその両腕を切り落とす!!」
と容赦なく糾弾、全く反省の色を見せない彼に情状酌量の余地なしとしてそのまま死刑を言い渡した。
しかしこれを逆恨みされ、鬼舞辻無惨の手によって鬼と化した彼(の分身)に復讐として寝込みを襲われてしまう。
だが殺される瞬間も決して臆する事なく、鬼となった半天狗に対しても
「貴様が何と言い逃れようと事実は変わらぬ 口封じしたところで無駄だ」
「その薄汚い命をもって罪を償う時が必ずくる」
と、瀕死の重傷を負いながら毅然とした態度で言い放った、いかなる窮地にあろうとも心の折れない芯の強さを持った人物である事が窺える気高き最期を遂げた。
そして時は大正。
己の責任から逃げ続けてきた卑劣な悪鬼は一人の鬼狩りの少年の振るう刃によってようやく斬首され、その罪の報いを受けることとなった。
お奉行もこれで少しは浮かばれただろうか。
人気
こんな具合でシリアスながらもネタ的な人気を獲得した名脇役、お奉行。
もちろん彼自身もそうだが、それ以上に半天狗の走馬灯である「つぎはぎ状態のコマ割り」や、彼の「台詞の汎用性の高さ」が(コラ素材としても)大人気になり、時には作品の壁すら越えてコラが作られたほど。
そして第2回人気投票では「半天狗を裁いた奉行」として199票を獲得して38位に輝いた。
順位が近いのは36位・恋雪の212票、37位・鱗滝左近次の201票、39位・真菰の193票、40位・堕姫の180票(妓夫太郎は158票で42位。41位は猫の茶々丸・179票)。いずれも重要キャラ達ばかりである。
本作が誇るネタモブキャラの最高峰・サイコロステーキ先輩こと「累に刻まれた隊士」が、223票獲得の35位である事を考えると大健闘だったと言え、ファンの間でもここはある意味非常に注目度の高い戦いだったようだ。ちなみに累は236票で33位。32位には本作の作者がランクインしている。
なお半天狗自身は僅か28票の62位であり、彼の分身体は哀絶が8票、それ以外の連中は全員ランク圏外という体たらくだった。
言っておくが半天狗はしっかりとした出番があって多彩な分身体も披露した為に、たった5コマしか出てないお奉行に比べれば遥かに恵まれていた。
にもかかわらず半天狗自身は7倍以上、哀絶は約25倍もの差があり、こいつらを足して36票にしてもなお5倍以上の票差をつけられている。
この結果からは半天狗の不人気さと、わずかな出番でこれ程の人気を誇るお奉行の愛されぶりが窺える。やはり両者の人間性の差が出たのだろうか。
余談
後に半天狗と同じ上弦の鬼である猗窩座の過去の回想では、人間の少年だった頃の猗窩座が盗みを犯して奉行所で裁きを受けている描写があるが、もしも狛治と半天狗がほぼ同時代かつ同地域に住んでいたとしたら、この時の奉行も彼と同一人物の可能性がある。
江戸時代には盲人しか就けない官職の「検校」があり、創作作品ではこの地位を目当てに盲人のふりをする「偽検校」が登場することがある。
関連タグ
サイコロステーキ先輩(同じく、少ない出番で忘れがたい印象を残した名脇役繋がり。ただしこちらはお世辞にも善人とは言い難い人格の持ち主)