CV:山寺宏一
概要
古代のミチーナの住人でダモスの部下だった男。「魔獣装具」を使う事でポケモンを操り戦わせる。
アルセウスから借りた命の宝玉を返せばミチーナが元の荒れ地に戻ってしまうと考え、それを恐れたために宝玉を独占すべくアルセウスの排除を画策し、約束を守ろうとしたダモスを幽閉して自分がミチーナの長の座に就き、だまし討ちを行った。
彼の行為が原因でアルセウスは人間に憎しみを抱くこととなり、それが引いては現代における神と呼ばれるポケモンたちの争いに発展する事態となってしまった(特にサトシから「バカヤロー!」呼ばわりされたパルキアからすれば、さぞかしコイツを恨む事だろう)。
歴史を変えようとタイムスリップしたサトシたちと接触した彼はアルセウスを完全に始末できなかったことを悟り、シーナに協力する体を装ってアルセウスの完全な抹殺を図るもサトシたちの妨害で失敗に終わった。
「疑心暗鬼」という名の罪を犯した一人の男の過ち
アルセウスに対し不義理を働いたものの、それは偏にミチーナの未来を憂いての行動であり、そういう意味では根っからの悪人とは言い難い人物。
しかし、劇中を見るからに「自分は一切手を汚さず、ダモスや魔獣(ポケモン)達を洗脳してアルセウスとの信頼を失わせる」「わざわざ危険を知らせに来てくれたシーナ達を用済み同然に切り捨てる」など、お世辞としても言い難い悪行の限りを尽くしており、全く同情干渉の余地がない。
そもそもアルセウスが命の宝玉を貸し与えたのは、大地を元に戻すためでなく、大地の復旧の手助けをするためである。もしギシンが本当にミチーナを大切に思う心があるのであれば、わざわざアルセウスに喧嘩を売る様なマネはせずとも、まずはダモスと相談し、その後で彼を通してアルセウスときちんと話し合っていれば、このような過ちも、負の連鎖も起きなかったはずである(仮に宝玉を返した事で大地が荒れ地に戻ってしまうのであれば、アルセウスが最初から宝玉を貸し与える意味などないのだが、その事について疑問に思わなかったのだろうか…?)
それでもアルセウス抹殺を強行した理由については、単にミチーナの事だけでなく、「過去にポケモンが巻き起こした厄災や事件に巻き込まれて、ポケモンそのものに畏怖の念を抱き、彼らを信用できなくなったのではないか」という説もある。
現にギシンはダモスの様にポケモンと心を通わせようとせず、拘束具を取り付けて従えている事から、それが伺える(『LEGENDSアルセウス』においても、当時の人々はポケモンを恐れており、実際にゲーム内でもポケモンが主人公に襲い掛かってくるシーンもあるため、一部のプレイヤーの中にはトラウマになってしまった人もいたほど)。
前々作で起きた事件を始めとしたこれまでの劇場版における伝説・幻のポケモン達が巻き起こした行動を考えると、ギシンは「その気になれば人命を脅かす程の力を持っている以上、自分たち人間がポケモンをしっかりと制御、もしくは管理しなければ安心して生きていけない」という思考の持ち主だったのかもしれない(もう一度言うが、前々作の事件を巻き起こした最大の元凶は紛れもなくギシンである)。
いずれにせよ描写不足ということもあり、彼の生い立ちは謎のままではあるが、やはり彼が名前の通り人もポケモンも一切信用できず、道を踏み間違えるほどにまで追い込まれた事情が過去にあったのだろうか…?
神殿の崩落に巻き込まれて命を落としたかに思われたが生き延びており、エンディングにてダモスと共に開墾を行っている姿が確認できる。
アルセウスから授かった豊かなミチーナを、ダモスと共に自分たちの手で守り抜く事を決意したのだろう。
でか、どうして最初からそうしなかった。
関連タグ
疑心暗鬼:ネーミングの由来
ウォロ:同じくアルセウスと関与している人物。
ジャービス:シリーズ第19作に登場する中の人繋がり。こちらはとあるポケモンを 恐るべき破壊兵器のパーツに利用し、精神崩壊にまで追い込む など、ギシン以上の悪人である。
ゼッド博士:こちらはシリーズ第23作に登場する中の人繋がり。ギシンと同様、ポケモンの事を考えず、私利私欲のために悪行を犯した人物。ある意味似た者同士。
エマ・ラッセル:本作から10年後に公開された怪獣映画に登場。「地球環境を守る」というギシンと変わらぬ身勝手なエゴにより、多くの人間は愚か、怪獣にまで迷惑をかけまくった人物。
シゲナガ・マキ:「人間が安心して生きていくには怪獣を支配するしかない」という思考を抱いた人物。もしアルセウスを始めとしたポケモンが、彼女の言う「怪獣と同等の存在」だというのであれば、ある意味ギシンは彼女に共感していたかもしれない(最も、こちらも最終的に過ちを犯してしまった事に変わりはないが)。
孫悟空(ドラゴンボール):軽率な理由で神様に喧嘩を売ったキャラ繋がり。奇しくもこちらの神様の中の人は、ギシンと同じ人である。
白夜王ヤイバ:こちらも神を倒そうと計画を練っていた人物。ただし、こちらはギシンや悟空の様に軽率な行動をしたわけではなく、周囲の人々の了承を得るなどして、それなりの信念を持って行動に移していた(後に彼の行動を批判していた主人公も最終的にはヤイバの目的を理解して和解し、彼に協力している)。