鴇羽舞衣
ときはまい
「この力は守るためだけにあるの! 絶対に負けないんだから!」(「舞-HiME 運命の系統樹」より)
CV:中原麻衣
主人公。16歳。本人曰く「どこにでもいる普通の女子高生」らしいが、母は幼少の頃に他界、父も1年前に事故死と両親は既におらず、身内は弟の巧海のみと、非凡な境遇。
作中一二を争うバスト87cmという巨乳の持ち主(但し、キャラ全体を含むと第4位。1位は真田紫子(B:89cm)、2位は2人いて珠洲城遥と姫野二三(共にB:88cm)となる)。
勝ち気で意地っ張りだが、明るく親しみ易い母性的な性格をしている。
但し、それ等は表面的なものに過ぎず、本人も自覚していないが根は情緒不安定気味でネガティブである。
また、周囲に弱音を見せまいと必要以上に意固地になって鬱屈しており、悩みやストレスを内に溜め込みがちであった。
家庭的な面があり、特に料理が上手(ただの即席ラーメンをなつきが「本当に即席ラーメンか?」とびっくりするほど美味しく作れる)。
HiMEのことについては風華学園に来るまで知らずにいて、学園には奨学金制度でやってきた。
エレメントは両手両足に装備される緑の勾玉がついた輪で、空中飛行、炎による攻撃と防御を可能としている。
実は、母親の死因には舞衣自身が深く関わっていた。
幼い頃、家族揃って川に来ていた時に彼女が巧海を放置して遊んでしまった結果巧海が溺れ、それを助けようとした母親が溺死してしまった。
母を間接的に死に追いやってしまった罪悪感を抱えており、責任感が強いのも確かだが実際には巧海にアイデンティティをかなり依存していた。
そのため、徐々に自立していく巧海に疎外感を感じ始め、やがて巧海に自分を否定されると精神の均衡を崩した挙げ句、あれだけ仲の良かった命に対して八つ当たりをしてしまうほどに追い詰められていく。
しかし、弟に対する愛情は紛れもなく本物であり、尾久崎晶の想い人となっていた巧海が命の手に掛かって(いるように見えた)消滅した後、舞衣の中で何かが弾けた……。
「アンタがやったんじゃないっ!!!!」
我を忘れて完全に怒り狂い、萌えアニメのヒロインとは到底思えない鬼の形相を披露した。
一度見たら夢に出そうな凄まじい形相、中原女史の怪演、そして異様な盛り上がりが凝縮された第20話は、視聴者にトラウマを植え付けた。
巧海を失って以降、「黒曜の君」として目覚めた神崎黎人に促されるまま他のHiMEを殲滅して『蝕の祭』の勝者になろうとしたり、元凶である真田紫子を殺そうとしたり、かと思ったら思い留まったりと迷走した。
全ての決着をつけるべく臨んだ『黒曜の君』との最終決戦において祐一が復活し、平穏な日常を取り戻してからは彼と正式に交際を始めたのだが……余り進展していない。
「巨乳」「姉」「料理上手」という属性てんこもりではあるのだが、他のキャラクター達が盛大に動き回ったのと、悩み続けていたせいか主人公ながら少々不遇な立ち位置だったが、シリーズ総合人気投票では第4位にランクインするなど、人気は高い。
本作ではジパング国・将軍家の姫君という設定。
所有GEMは「炎綬の紅玉(えんじゅのこうぎょく)」。
将軍の地位を引き継いだ弟・巧海の力になるべく家を出て、ガルデローベにやって来た。
シズル、ハルカの1年後輩で、ナツキとは同級生。どういう訳かミユとも長い付き合いらしい。
ガルデローベ在学時代、パール時はトリアスNo.1の実力者で、TVアニメ第5話では白のパールオトメ制服を着た彼女のポスターが、OVA4巻では失踪当時に舞衣が着ていた制服が登場している。
因みに、コーラル時はシズルとコンビを組んでいたようだが、ドジを踏むことも多かった模様。
恋に破れた(とされる)先輩マイスターとして登場。前期OPでシルエットだったり扱いが不遇。
どうもスタッフの間に「ミョーなトラウマ」があったようで終盤近く(最終回の4話手前の22話終盤)まで登場できず、やっと出てこれたと思いきやもうお話は終わりと、完全においてけぼりをくらってしまっており、本人も最終回の予告で「出て来たばっかりなのに!」と嘆いてる(それでも、アルタイを中心とする同盟軍を単独で壊滅させる戦闘力を見せているが…)。
ナギが起こしたヴィント事変終結後は巧海と再会するがジパングには戻らず、そのまま黒い谷に収監されたシュヴァルツ構成員の監視役を務めている。
黒い山が現世に復帰し「国立公園・猫神山」と改名された後にラーメン屋を開店、チェーン店を出したいと希望してハルカからは「本店はエアリーズにしておきなさい」と言われたらしい。
OVA「Zwei」では第1巻から登場しておりアリカとの合体技を披露したり、更に第4巻では前作の相棒であるカグツチとガチンコバトルを繰り広げるなど、TVアニメでの鬱憤を晴らすかのように大活躍している。
「恋に破れガルベローデを出て彷徨っている内に黒い谷に行きついた」とされているが、
「恋に破れガルベローデを出て」のくだりが事実と異なり、実際は世話になった一家と契約を約束するまでの懇意になっていたが、五柱に選ばれてしまって迷いが生じて旅に出た、というのが真相。恋云々はナツキの勘違いらしい。
黒い谷でミコトが仕掛けた罠に掛かってしまい、その時持っていたマスター用のGEMを飲み込まれそのまま出て来なかったので、現在ミコトがマスターという状況にある。
当初は逃げ出そうかとも考えたようだが、すっかり馴染んでしまい、黒い谷でミコトと姉妹のように割と楽しく過ごしている。
色々と吹っ切れて精神的なゆとりが出来たお陰か、今作では悩み続けるアリカに道の一つを指し示すなど、前作のような悲壮感は全く感じられず、「明るく面倒見の良いお姉さん」といった雰囲気を持ち合わせている。
こちらでも料理上手という設定は変わらず、王宮育ちのマシロが一口食べて箸を止める事無く完食している(家事能力もオトメの必須スキルの一つとなっている)。
ローブは炎の性質を持っており、デザインは仮面ライダーのようなヒーローっぽさと同時に前作の制服姿を想起させ、赤いマフラーなど、共通する部分も持ち合わせる。
エレメントである両腕の宝輪から炎を放ち、またベルト部分からは巨大サイズの宝輪を出現させ、その中を潜ると炎を纏った体当たり攻撃が使える。広範囲に渡るようで、OPでも遠慮無く発揮していた。
一方、エレメントである宝輪をコンロ代わりに使っていたりもする(マイスター乙HiMEの力を何だと思ってんの…)。
因みに、キャラデザインを担当した久行氏のお気に入りキャラクターの一人。
他作品において
漫画作品
『漫画版舞-HiME』
最初から風華学園に在籍しており、ミコトに加えて、成り行きから祐一、なつきと4人で同居することになる。
本作でも問題事を自分だけで抱え込もうとする傾向があり、祐一の手助けを素直に受けることも、巧海に相談することも出来なかった。
物語後半ではそれが災いして、祐一が一時的に戦線離脱したり、巧海から不信感を買ってしまったりしていた。
終盤では、媛星の接近の影響で突然発作を起こした巧海の死を前に「世界の危機」という現実から逃避してしまう。
巧海が「黒曜の君」として復活した後は、宇宙三大美少女『Queen』の1人「舞衣姫」として敵側に回ったりもした。
最終的に、祐一となつきの説得で己を取り戻し、二人と共に「黒曜の君」の正体である媛星チャイルド・ヒルコを倒した。
祐一とは互いに惹かれ合うが、なつきや詩帆の存在もあって確実ではない。
46億年前の地球における彼女の前世らしき人物は二丁拳銃を使用しており、現代の彼女となつきのエレメントが逆転している。
『漫画版舞-乙HiME』
本作では、伝説の「炎の七日間」において、世界を焼き尽くし滅ぼしかけ、何処かで眠りについたと言われる美しき暗黒の魔神「HiME」の中で最凶と畏怖されているMAIが登場。
外見は、漫画版舞-HiMEにおける鴇羽舞衣を闇堕ちさせた感じ。
手から炎を放ったり、黒く巨大な火竜の姿をした私生児(チャイルド)「カグツチ」を呼び出して操ることが出来る。
その力は世界を焼き尽くしたと言われる最凶のHiMEに相応しく、初登場時はカグツチを使役しなくてもマイスターローブを纏ったアリカとニナの2人を圧倒した。
真白姫が制御しており、10年前にも召喚されたらしいが、制御に失敗して暴走させてしまっている。
その時にガレリア辺境伯領で起きた惨劇は、幼い頃のアリカの心に大きなトラウマを残し、レナも一時は心を病んでしまったほど。
普段は冷酷な無表情だが、片腕を怪我していたマシロの姿を見た時は、歪められた記憶の中における「左腕に傷を持った男」の姿をダブらせ、「私を散々傷付けて弄んだあの男みたい!!」と憎しみと悲しみを爆発させながらマシロを殺そうとした。
マシロ達が風華学園が上がって来た時、他のHiME達と共に再登場。真白姫の命令により、水晶宮に侵入したマシロ、アリカ、ニナの3人を殺そうとするが、真の王者の証である『真白なる金剛石』が填め込まれた剣を手にしたマシロによってカグツチ共々倒される。
呪縛から解放されたことで真実の記憶を取り戻したMAIこと鴇羽舞衣は、同じく解放されたミコトこと美袋命とポチ、左腕に傷を持った男の魂と共に、未来をマシロに託して昇天した……。
尚、左腕に傷を持った男の台詞と過去の記憶に関わるメモリーが復活したミユの台詞によって、本作におけるHiMEが過去の時代に存在した舞衣達高次物質能力者のデータを基に作られ攻撃性を増すために歪んだ記憶を植え付けられたコピーに過ぎないことが明かされた。
『舞-HiME戦(EXA)』
本作では、楯祐一の存在が抹消された代わりに、何と「黒曜の君」の器である神崎黎人が想い人に。
アニメ版と経緯は違うが、晶のチャイルドが命に倒され弟の巧海が消滅したことでHiMEの力を失い、大事な親友だった命を鬼の形相で罵ったことが原因で一時は恐慌状態に陥った。
しかし、黎人への想いを自覚したことにより、再びHiMEの力が復活する。
「黒曜の君」との最終決戦では、「黒曜の君」に操られた命との哀しき戦いの末に彼女を失うが、己を犠牲にして「黒曜の君」を滅ぼそうとした黎人に愛の告白をして救い出した後、彼やカグツチと共に黒曜の君を倒した。
小説作品
『舞-HiME★DESTINY 龍の巫女』
超能力を持った高校生が集められた「星之宮風華学園」の元生徒として登場。
「龍の巫女」の候補だったが、理事長である姫野二三の裁量でヴィントブルームの本部校に留学しているという建前で身を隠し、学園の目論みについて独自に調査していた。
念動力や空中浮遊などの多様な超能力を使うが、戦闘では主にパイロキネシスを使用している。
チャイルド「カグツチ」
巨大なドラゴンの姿をしたチャイルド。
当初は風華学園の裏山に封印されていたが、舞衣がHiMEになった際に解放され彼女と契約した。
武器は口から放つ火炎弾。
連射も可能だが、全力で放つ際には体のタービン状の機関を回転させて放つ。その威力は地形を変えるほど。
中盤でアリッサ・シアーズの人工チャイルド「アルテミス」を撃破した後、その能力であったビーム照射攻撃を獲得。劇中で何度か使用している。
飛行能力も有し、単独で大気圏突破可能な高機動形態も存在する。
また、前述したアルテミスの地形を変えるレベルの大出力レーザー攻撃の直撃に耐えるなど、劇中のチャイルドの中でもトップクラスの戦闘力を誇る。
尚、その恐ろしい力と見た目に反し、主である舞衣を気遣うという意外な一面も持つ。
辛うじて対抗出来るのは藤乃静留のチャイルドである清姫位ではないかとされる程チート過ぎるチャイルドだが、前回の『蝕の祭』において優勝者である風花真白のチャイルドであったためらしい。
『漫画版舞-HiME』では、終盤に舞衣が「黒曜の君」として覚醒した巧海についたことにより、黒い姿になる。
この黒いカグツチは、後継作の漫画版舞-乙HiMEにも登場した。
『運命の系統樹』では生物的な外見をしており、鎖と剣で口を封印されており力を制限されているが、最強とも言える能力は健在。
『舞-乙HiME(アニメ版)』では、アルタイ公国の領内にある旧時代の遺跡内部にて繭状の形となって封印されていたが、旧時代の惑星殲滅兵器であるユナが黒い谷の結界を破らせるために解き放ち、彼女と共に黒い谷を襲撃した。ミコト曰く「結界破りの竜」。
マテリアライズした舞衣との交戦の末、彼女に自らを束縛していた宝剣を引き抜かれて元の姿(羽が生えた子猫)に戻った。
その後はリボンちゃんに懐いている。
元ネタは、日本神話における火の神「火之迦具土神」。