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I.W.S.P.

とうごうへいそうすとらいかーぱっく

『機動戦士ガンダムSEED MSV』に登場するモビルスーツ「ストライク」の追加武装の一つ。

諸元

型式番号
開発
  • P.M.P社(後に開発を譲渡)
  • モルゲンレーテ社
  • アクタイオン・インダストリー社
武装
  • 115mmレールガン×2
  • 105mm単装砲×2
  • 9.1メートル対艦刀×2
  • コンバインドシールド
    • 30mm径6銃身ガトリング砲
    • ビームブーメラン

概要

P.M.P社が設計したGAT-X105 ストライク用に製造されたオプションパックストライカーパックの一つ。I.W.S.P.とは「統合兵装ストライカーパック(Integrated Weapons Striker Pack)」の略称である。その名の通り、エールストライカーの機動性、ソードストライカーの格闘能力、ランチャーストライカーの火力を1つのストライカーパックに統合することにより、ニュートロンジャマーの影響下にある戦場にてモビルスーツの生存性やスタンドアローン性を高めることを目的とする「ブロック5」と呼ばれる規格に準じたストライクのSEPプログラム要求に応えるべく考案された。また、モルゲンレーテ社製ストライカーパックの競合機でもあった。

高性能センサー付きのレールガンや単装砲、対艦刀に攻防一体型のシールドと重武装化されており、ビーム兵器が普及していない開発当時基準では過剰なほどの攻撃力を持つ。さらに、火器管制のためストライクのFCSサポート用のコプロセッサーも搭載されている。パック後部には2基のスラスターと3対の空力翼を設置することにより重量増加と後方に偏った重心モーメントの影響によって低下した運動性を補うための設計も施されている。これらにより、地球連合軍が要求していた「近・中距離での高機動総合戦闘力」「対艦・対MS接近戦能力」「射程外からの超長射程火器による砲撃能力」を単体で実現し、「究極の装備」という開発目標に相応しい万能性を獲得するに至った。しかし、構造の複雑化による整備性や信頼性の低下とコストの高騰、パック本体のデッドウェイトによる姿勢制御の悪化に加えて、兵装と制御用電装系の重装備化による消費電力の増加により本体のフェイズシフト装甲の作動時間が大幅に短縮してしまう問題が生じた。消費電力の問題に対してP.M.Pでは新しく高性能な小型パワーパックの開発を行っていたが、技術的限界から開発作業は遅延し、最終的にはパワーパックを実用化できないままにパックの試作を開始することとなった。その結果、超高細度VR戦場用シミュレーション・モデルの試作1号機と実物大モックアップの2号機しか製造することができなかった。そのため、C.E.71年に完成したストライク用ストライカーパックには、既に完成していたモルゲンレーテが開発したエール・ソード・ランチャーの3種類のパックが採用され、本パックは採用見送りとなった。

後に計画自体がモルゲンレーテへ譲渡され、P.M.Pが暗礁に乗り上げていたパワーパックもそのデータを入手したモルゲンレーテの独自技術を用いることで完成させ、当初予定の性能の発揮に成功した。パワーエクステンダーによって稼働時間が延長されたMBF-02 ストライクルージュへの搭載が予定され、数回に渡る運用実験が行われた。ちなみに、ストライクルージュで運用実験が行われていたものは3号機にあたる。一方、複雑化された火器管制システムをパイロットであるカガリ・ユラ・アスハが扱いきれなかったため実戦投入されることは無く、代わりにC.E.71年9月27日の第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦後に行われた数多くの式典への参加の際、より力強さを演出するためストライクルージュへ本パックを装備していた。さらに、「統合兵装」というコンセプトはEW454F オオトリへ発展した。

また、C.E.73年にてカガリと共にストライクルージュがオーブ連合首長国を離れた際には、上記のオオトリが完成していたことから旧式となっていたため、国外へ持ち出されずモルゲンレーテに保管されたままとなっていた。

C.E.72年3月10日のユニウス条約締結後の兵器開発方針転換を受けスタートしたアクタイオン・プロジェクトの折に、連合側の軍需企業アクタイオン・インダストリー社により新規製造された。アクタイオン・インダストリーはモルゲンレーテから技術やデータの提供を受けていないが、C.E.71年6月15日に大西洋連邦により敢行されたオーブ解放作戦によりオーブからの難民と共にパワーエクステンダーの技術が流出、一般化したためP.M.Pの抱えていた容易に問題をクリアして完成させることができた。

これをスウェン・カル・バヤンGAT-X105E ストライクEに装備する形で実戦投入が行われた。さらに、この時の戦闘データは後にジェットストライカーとドッペルホルン連装無反動砲の開発に活かされ、「統合兵装」というコンセプトはAQM/E-X09S ノワールストライカーへ発展した。

また、アクタイオン・プロジェクトにおいて企業グループの一社として参加していたフジヤマ社は東アジア戦線においてストライクEと共に本パックの運用を行っている。

このような経緯のため、同じ設計のパックでありながら開発元の違いにより異なる型式番号を冠することとなった。

武装

115mmレールガン

パック上部に左右で2門搭載されている遠距離攻撃用のレールガン。肩越しに目標を射撃する。

砲身の同軸上にマウントされた強化型高指向性索敵照準センサーにより、超長距離射撃時の命中精度を向上させている。このセンサーを用いることによりニュートロンジャマーの影響下でも熱センサーや映像分析等による複合的解析が可能となっている。

発射時、ローレンツ力により砲弾の弾速を秒速5kmにまで加速させることができる。

105mm単装砲

レールガンと並行するように肩部にマウントされる単装砲。近・中距離戦用の武器。

9.1メートル対艦刀

ビームブーメランに次ぐ切れ味を持つ特殊合金製の実体剣。

本パックのエネルギー消費が大きかったことから完全な実体剣となっており、モビルスーツとの格闘戦だけでなく巨大な艦船にも有効とされる。I.W.S.P.の両サイド下部に備えられた鞘用途の基部に挿し込まれる状態でマウントされている。このマウント方式が後のジェットストライカーに活かされている。

M1アストレイの追加装備としても本武装が転用されている。

余談

本装備を搭載したストライクEに搭乗したルカス・オドネルは「相手の断末魔の叫びが聞こえる得物」と評し愛好している。

コンバインドシールド

「30mm6銃身ガトリング砲」と「ビームブーメラン」を内蔵ないしマウントする実体盾。

対ビームシールドとしてだけでなく、攻撃にも使用可能な攻防一体の武装であり、ザフトで言う「複合兵装防盾システム」にあたる。

30mm6銃身ガトリング砲

シールドと一体化されたガトリング砲。

1分間に8000発の連射を可能としており、弾芯にはチタンカーバイド鋼が用いられており、高い貫徹力を持つ。

機体の左側に大きく重心がかかるために使い勝手が悪く、改良型のノワールストライカーでは完全にオミットされた。

ビームブーメラン

コンバインドシールドの表面にマウントされるビームブーメラン。

ソードストライカーの「マイダスメッサー」と同様にビームブレードに対する干渉反応を利用し、ニュートロンジャマーの影響を受けずに軌道を遠隔制御できる。そのため、空気の有無を問わず投擲後はブーメランのような軌道を描いて手元に戻ってくる。さらに、大容量のパワーコンデンサーを内蔵しているため、飛んでいる間は常にビーム刃を維持し続けることができる。

本パックが搭載している唯一のビーム兵器であり、対艦刀の通用しない相手と格闘戦を行う際は本武装を使用する。

バリエーション

AQM/E-X09S ノワールストライカー

アクタイオン・インダストリー社が開発した本パックの発展型。

元のコンセプトを継承する万能型モジュールだが、その万能性を殺さず、特性を近接格闘に振り向け特化させたものとなっている。

また、外装にヴァリアブルフェイズシフト装甲を全面採用しており、本体が盾を装備する必要性が薄くなった。

EW454F オオトリ

モルゲンレーテ社が開発した本パックの発展型。

ストライクルージュの開発と同時期に製作が進められており、P.M.Pから入手したデータ(設計)を見直し、独自の技術を取り入れて完成させた。基礎設計を改変することにより、原型機の抱えていた信頼性や整備性の問題点を解決した他、島国ゆえに海上戦を国土防衛の要とするオーブの戦略に対応し、大気圏内での動力飛行を可能とした推進システムと4発のエンジンを搭載したX状の空力推進翼を駆使することにより、高度な飛行能力を有している。

余談

本パックには試作機を示す「X」が含まれておらず、その上でナンバリングが「1」であることから、設計当初はかなりの期待が寄せられていたことがうかがえる。

関連タグ

ストライカーパックシステム

対応機種

ストライク

ストライクルージュ

ストライクE

105ダガー

スローターダガー

競合機

エールストライカー

ランチャーストライカー

ソードストライカー

類型機

マルチプルアサルトストライカー/パーフェクトストライク:同じコンセプトだが、エール・ソード・ランチャーの主武装を一纏めにしているため火力に勝り、バッテリーパックの増設により持久力でも勝るが、それら故の重量過多により機動性で大きく劣る形態。

デスティニーシルエット:I.W.S.P.の上位互換とも呼べるオプションパック。こちらはザフト製であり、ビーム兵器がメインであるが、それに比例してエネルギーの消耗が激しい上に対応機種とのバランスが合致していない等といった欠点もある。

I.W.S.P.の編集履歴2024/01/28 19:38:19 版