概要
作者は神楽坂淳
女性の社会進出がまだ一般的ではなかった大正時代末期にあって、野球を始めとして様々に努力を重ねる少女達の、明るい学園生活が描かれる青春小説。
作中では東邦星華高等女子学院(※元ネタは東洋英和女学院)が主な舞台となる。
「たいやき」と省略されることもある。
2007年~2010年にかけてトクマ・ノベルズedgeから計4巻まで発売され、各種メディアミックスされるなど話題になった。
この時期はアニメ『マリア様がみてる』によるブームがひと段落した時期でもあり、同作品等を契機に大量に出現したいわゆる百合ファンの新たな受け皿となった側面も大きい。
しかし、『大正野球娘。4』発売以降は続刊アナウンスが途絶えた。10年後の2020年に別出版社である小学館の小学館時代小説文庫からトクマ版の1~3巻分のみが新装発売されたが、これ以降は公式からも音沙汰がなくなっている。
このため、5巻以降に繰り広げられるはずであったアーミナ女学校との決戦が宙に浮いてしまい、各伏線も回収されないまま現在にいたる。
メタなことを言うと、作者の神楽坂は現在は第9回日本歴史時代作家協会賞を受賞した『うちの旦那が甘ちゃんで』といった他作品に活動の主軸を移しており、現段階では執筆再開の可能性は薄いといえる。
メディアミックス等での業績も加味すると、同作はある意味で当時から衰退の兆しを見せていたノベルス市場の最後を飾った作品ともいえる。
ストーリー
「一緒に野球をしていただきたいの!」
時は西暦1925年(大正14年)7月。東邦星華高等女子学院に通う鈴川小梅は、親友である小笠原晶子の突然の誘いで野球というものを始めることになった。きっかけは晶子の許婚である岩崎荘介が晶子に対して発した「女性に学歴など不要」「主婦として家庭に入るべき」という何気ない一言であり、それは当時の社会ではごく一般的な考え方でありながらも男尊女卑の意識に強く支配されたものであった。内心でこれに反発した晶子は態度を硬化させ、許婚が打ち込んでいる野球という競技を用いて彼の鼻を明かしてやり、旧態然とした認識を改めさせようと思い立ったわけである。
小梅もまた晶子の気持ちを知って共感し、その目標に賛同したのであった
・・・が、誘った晶子ともども野球のルールなどまるで知らなかった。加えて、野球を始めるにあたって必要な9人のメンバーを集めることも中々難しく、あの手この手で奔走することとなるのである。
登場人物
CVが2人いる人物は左側がアニメ版およびそれ以降の関連作品、右側が2007年版ドラマCDの担当声優。
- アンナ・カートランド(CV:新井里美/たかはし智秋)
アニメ
2009年7月から10月にかけて全12話が放送された。
主題歌
オープニングテーマ
「浪漫ちっくストライク。」
作詞 - rino、作曲 - 服部隆之、編曲 - 大久保薫
歌 - 鈴川小梅(伊藤かな恵)・小笠原晶子(中原麻衣)・川島乃枝(植田佳奈)・宗谷雪(能登麻美子)
エンディングテーマ
「ユメ・ミル・ココロ」
作詞 - 畑亜貴、作編曲 - 渡辺拓也
歌 - 伊藤かな恵
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 男子がすなるという、あれ |
第2話 | 春の長日を恋ひ暮らし |
第3話 | 娘九つの場を占めては |
第4話 | これから |
第5話 | 花や蝶やと駆ける日々 |
第6話 | 球は広野を飛び回る |
第7話 | 麻布八景娘戯 |
第8話 | 麻布の星 |
第9話 | 誤解の多い料理店 |
第10話 | 私は何をする人ぞ |
第11話 | そゞろに胸の打ち騒ぐ |
第12話 | 土と埃にまみれます |
関連イラスト
関連タグ
プリンセスナイン、八月のシンデレラナイン、球詠、セーラーエース…女子野球を題材にした作品。
余談
大正14年時点では既に阪急系の宝塚運動協会というプロ球団が存在した。この球団は一旦解散するものの、その後阪急は新たに阪急軍(現オリックス・バファローズ)を結成している。また、ノンプロでは阪神タイガースの母体である阪神電鉄野球部や後に関係者が毎日オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)運営に関わる大毎野球団が存在した。