魔皇ヤルダバオト「一目見た時から丁度いい●●になると思っていたのだ」
CV:早見沙織
データ
役職 | 聖王国聖王 |
---|---|
住居 | ホバンスの王城 |
職業レベル | クレリック?lv、ハイプリエステス?lv、ホーリークィーン?lvなど |
誕生日 | 中水月26日 |
趣味 | 美容全般(趣味と言うには鬼気迫っているが) |
二つ名 | 清廉の聖王女 |
概要
ローブル聖王国の当代聖王にして、史上初の女王。「聖王女」と呼ばれている。
先代聖王と神殿勢力の強い後押しと、兄であるカスポンド・ベサーレスが妹のカルカに王位を譲った為、史上初の女王として即位出来た。
女王であるにも拘わらず、二つ名が聖“女王”ではなく聖“王女”なのは、女性が聖王を務める事に懐疑的な保守派貴族の反発で、聖女王を名乗れないでいる事が由来している。それ故に、聖王女の異名の意味とは『聖王』+『女』(聖王を務めている女)だったりする。
12巻の表紙で、ヤルダバオトの正面にいる後ろ姿の金髪の女性が彼女だと思われる。
“ローブルの至宝”という二つ名で謳われる程の美しい容姿で、“黄金”の二つ名で知られるリ・エスティーゼ王国の第三王女ラナーや、ナザリック地下大墳墓の人外の美を誇るプレアデスにも匹敵する美貌の持ち主。
既に20半ば近くに達しつつある王族でありながら、実は未だに独身。
普段は表に出さないが非常に強い結婚願望を持っており、その経緯と立場から相応しい男に恵まれにくく、更にレメディオスとケラルトのカストディオ姉妹と自身も家族以外の男性経験が皆無な上に仲が良過ぎるせいで、周囲から「同性愛者なのか?」と疑われてしまっているという状況に、「我が儘は言いません。糸の一切ついていない、私という人間を愛してくれるお婿さんを!」と焦りに焦っている。
このため部下にすら黙って美容魔法の開発に明け暮れており、肌年齢を維持するために美容魔法でのスキンケアを欠かさず行い、今やその技術力は己の扱える信仰系魔法をも超え周辺国の中でも最高峰の位置にいるが、前述の理由もあってカストディオ姉妹にさえ公言しないので、その事を知る者はいない。
人物像
善良かつ真面目で気品があり、民を心から慈しむ事が出来る心優しい性格の持ち主で、『弱き民に幸せを、誰も泣かない国を』という国是を掲げ、貴族や国民達はもちろん腹心であるカストディオ姉妹にまで及んでしまっている、亜人種や異形種に対する度を越した差別意識も無い。
国中の人々がアンデッドが建国したという理由だけで毛嫌いしているアインズ・ウール・ゴウン魔導国に対しても、「たとえアンデッドであっても王の職務を立派に果たしているのであれば問題ない」と正しく評価出来る人間としても大きな器があるという、正しく『聖なる国の聖なる女王』に相応しい人物。
『アンデッドは生者を憎む』という性質上、アンデッドに対する蔑視意識は聖王国に限らず世界共通であり、アンデッドが国を統治している事を悪く思わないという事は、並大抵の精神では不可能と言える。
……もしもカルカがもっと早くアインズと知り合えていたら、アインズと親交を結び、後の顛末を大きく変えていたかもしれない。
為政者としての性格
優しいのは事実なのだが、逆にそれが過ぎて強い態度に出られなかったりする事が多く、無難な統治で大きな混乱こそ起こしていないものの『史上初の女王即位』という一大事で生まれた政情不安を抑え込む事が出来ず、聖王国南部に住む貴族や国民達により構成される保守派の反発を招き、加えて聖王国中に蔓延している度を超えた異種族に対する偏見を率先してたしなめる事が出来ないでいるせいで、豚鬼(オーク)を始めとする人間種と敵対していない穏健な亜人種まで戦乱に巻き込んでしまう失策を犯してしまっている。
そのため、その辺りの抑えは懇意の臣下であるカストディオ姉妹の武力威圧に依存する形となってしまっており、未だ根本的解決には至っていない。
一方で『国の敵』と見なした者を筆頭に相容れないと判断したもの対しては例外で、苛烈な性格をしているカストディオ姉妹程ではないものの、それが外敵であろうが身内であろうが普段の彼女なら決して取らない様な容赦ない手段を以て断罪する事を躊躇わず、平時は甘やかしがちなカストディオ姉妹に対しても、有事は手厳しい態度を持って接するなど、最低限の公私を分けられるだけの立場を彼女なりに弁えている。
以上の事から、12巻作者雑感においてバハルス帝国皇帝ジルクニフには、「八方美人」と蔑まれて嫌われていると語られており、同じく12巻作者雑感で語られた『王様優秀度』において、「強い政策が取れない」事から12位中8位という低順位に位置してしまっている。……皮肉にも美人キャラであるが故に、その蔑称は正確なほど的を射ていたりする。
しかし、王としての資質が欠けているだけで才能自体は本物であり、現に大きな失策は10年間招いていない。この事から、戦乱の時代ではなく平和な時代の王ならば『名君』になれていたかもしれない。
作者からも「聖王が今まで男だったのが良くなかった」とフォローはされており、欠点を克服すれば、『王様優秀度』が4位であるペ・リユロの下(5位)にまで上昇するかもしれないと語られている。
ついでに言うと『史上初の女王』として聖王の座に就いた事で、次の女王にその肩書きを背負わせずに、聖王の座に就かせる事が出来る様になったと言える。
容姿
“ローブルの至宝"と讃えられている美貌は伊達ではなく、外見の美しさが聖王になる事が出来た理由の1つになっている程。
花に例えられるほど愛らしさと凛々しさを兼ね備えた顔と、艶めいて鮮やかな光沢が有る金糸の様な金髪を、長く伸ばしている。
その金髪が天使の輪の様に見える事から、柔らかに微笑むカルカの姿は、まさに『聖女』だと多くの人達から評されている。したがってそのご尊顔は聖域と言ってもいいので、決して汚してはならない。
頭には、聖王の証であるマジックアイテムの白い冠を被っている(天使の輪に見えるのは金髪ではなく、この冠によるものなのかもしれないが、明言はされていない)。
12巻のキャラクター紹介の挿し絵によると、長い金髪を膝下にまで伸ばしていて、前髪はパッツンにしており、柔らかくて優し気なタレ目をしている。瞳は水色。
王族らしく清楚な服を着ているが長いスカートに結構深いスリットを入れており、ニーソ(長さからしてサイハイソックス)を履いているため脚の露出が抑えられているが、その分スリットの隙間から覗かせる生の太ももが非常に眩しく、少し動いただけで見えてしまいそうだ。
決して破廉恥な性格をしていないカルカだが、婚期を逃す事に焦りを感じているので、少しでも男受けを狙う為にこの様な服装をしているのかもしれない。
強さ
15歳で第四位階に到達した天才的な信仰系魔法詠唱者(マジック・キャスター)でもあり、高い戦闘力を持つ。
奥の手として、聖王国に伝わる大儀式魔法《最終聖戦(ラスト・ホーリーウォー)》の収束具となるマジックアイテムの冠がある(詳細は不明だが、連発が不可能なほど強力な魔法らしい)。
主な使用魔法
- 天使召喚(仮称)
第四位階。作中では“安寧の権天使(プリンシパリティ・ピース)”等の天使を呼び出している。
- 聖なる光線(ホーリー・レイ)
位階不明。対象に向かって破壊光線を放つ。
作中の動向
自分達がいる北部城塞都市、カリンシャが戦場になる報告を聞いた時に、レメディオスとケラルトと共に登場。
ケラルトから、ヤルダバオト率いる亜人連合軍に勝利しても得られるものはない事に同意して、頭を悩ませる。
レメディオスから「亜人達の武具を他国に売れば戦費に掛かった分を取り戻せる」と提案されたが、ケラルトは他国、特に魔導国の戦力増強に繋がる恐れがある事を理由に、その提案に反対した。
その時にケラルトがアンデッドが王を務めている魔導国を嫌っている事を知り、ケラルトから「カルカ様は違うのですか?」と聞かれて前述の持論である、「たとえアンデッドであっても王の職務を立派に果たしているのであれば問題ない」と返してレメディオスとケラルトから否定されるが、先入観で言っている2人を軽く叱り、ヤルダバオト対策についてケラルトから教えて貰う。
ヤルダバオトについて3人で話し合っていたら、参謀長から突如ヤルダバオトがカリンシャに襲来して来た事を報告される。
報告を聞いて女王陛下として戦いの命令を出した一方で、内心では敵の情報が不足している事に懸念を抱いており、侮ってはいないが「ヤルダバオトを甘く見てはいないか?」「勝てると思っている事自体が間違いではないのだろうか?」と、非常に鋭い勘を覗かせながら逡巡する。
合理的に考えて必要な情報が集まるまで逃げ続けるべきではと思っていたが、撤退を選べば選ぶ程戦力が低下していってしまうという現実的な判断に加えて、戦争を長引かせる程増えていく犠牲に目を瞑れない想いが国是と重なり、撤退案を捨てて出陣を決意する。
魔皇ヤルダバオトの襲来に際して、カストディオ姉妹と共に出陣してまずは対話による交渉から始めるが、ヤルダバオトにその余地が無い事を悟る。
まだ聞きたい事があったのだが仕方なく交戦に入り、魔法を駆使するがまるで通用しなかった上に、真の姿を解放されたので、レメディオスの指示でケラルトと一緒に撤退しようとしたが…………。
この先、ネタバレ注意
《上位転移(グレーターテレポ-テーション)》を行使したヤルダバオトに、一瞬で追い付かれて捕まってしまう。一緒にいたケラルトは殺されはしなかったが、意識を失わされていた。
真の姿になったヤルダバオトの、炎上している手で両足を掴まれて逆さ吊りにされた事で生じてしまう灼熱の激痛に、並びの良い歯を強く食いしばって耐えていたが、概要欄の上にある「一目見た時から丁度いい武器になると思っていたのだ」の台詞を投げ付けられては抵抗虚しく本当に、生きたまま棍棒の様な打撃武器として使われてしまう。
そのせいで読者によって付けられた渾名が、“聖棍棒”。
棍棒の様に振り回された結果、結婚の為に絶え間ぬ努力で磨き上げてきた美しい顔から地面と救出しようとした聖騎士に向かって、思い切りぶつけられてしまう。自身の全重量が乗った強撃を顔面に受けてしまうが、辛うじて落命だけは免れた。
しかし、代償として顔面は血塗れで鼻と前歯が損失している上に白目を剥いている姿になるまで破壊されてしまい、聖王女陛下カルカ・ベサーレスは“ローブルの至宝”と讃えられていた美貌の全てを失った(何気に、『歯が立たなかった』と『歯が無くなった』のダブルミーニングの皮肉になっている)。
余りにも酷い姿になる程の破壊と衝撃を受けた影響で抵抗する気力も失せてしまい、そのまま武器兼人質としてヤルダバオトによって使われてしまう。救出しようにもその為にはヤルダバオトと戦わざるを得ず、そうすると自分自身の手でカルカを傷付けてしまうというジレンマに陥り、聖王国軍はヤルダバオトの暴虐を前に膠着状態になってしまう。
その後、ヤルダバオトの撤退に伴いケラルト共々消息不明となり、聖王国は混乱。仕方なくアンデッドが支配していると言う事で敵視していた、アインズ・ウール・ゴウン魔導国に救援を依頼する事態となる。
城壁を守護していた聖王国『九色』のオルランド・カンパーノと、後の重要人物となるネイア・バラハの父親であるパベル・バラハの死で聖王国の物語は火蓋を切られ、更にカルカの身に起きた惨劇で聖王国の物語は本格的に始動する事になる。
13巻にて(ネタバレ注意)
それからしばらくの間は、消息不明のまま事実上の死亡扱いとなっていたが、魔導王アインズからの救援により戦線を持ち直しヤルダバオトとの決戦が始まった際に、ヤルダバオトによって腐って下半身だけとなった変わり果てた姿となって聖王国首脳陣の前に差し出され、明確に死亡が確認される。
その残った下半身の遺体さえも棍棒としてレメディオスにぶつけられて、バラバラのミンチにされた。上半身の遺体はヤルダバオトによると、「振り回していたら、どこかに飛んで行ってしまった」との事。
死亡が確認されてもレメディオスは諦めておらず、死者を蘇らせる事が出来る第五位階魔法《死者復活(レイズ・デッド)》が使えるケラルトの生存に一縷の望みを託すが、遺体の損傷からして最低位の復活魔法である《死者復活》では間違いなく蘇生に失敗するので、どのみち蘇生は(アインズ以外)不可能であり、追い打ちの如くそのケラルトも死亡していた事が確認された。結局カルカは結婚の夢を叶えられないまま、ケラルトと共にこの世を去った。
原作で明記される限り人間種族国家の指導者としては、ナザリック関係者によって殺害された最初の指導者となる。
もし、優しさで出陣を決意してしまった時に抱いていた懸念に素直に従っていれば、絶対ではないが結末を変えられたかもしれない。
優しすぎるせいで聖王国を一枚岩に出来なかったその欠点が、間接的に自身の死因に繋がるとは何とも皮肉な話。才能があったお陰で聖王になれたが、その才能があったせいで最高戦力として前線に出る事に躊躇が無く、結果的にそれが勇み足となった。
その後、残った遺体の欠片は保存状態の悪さから国葬にする事も出来なかった事から、そのまま荼毘に付される事になった。ミンチとなるまで破壊されたその遺体は、もはや男なのか女なのかすら判別不可能な状態である為、荼毘にしたカスポンドの判断は正しかったと言えよう。
絶世の美女だったカルカにとって、この結末は大変悲劇的な最期である。
余談
- 末路について
聖王国の人間でありながら、アンデッドが支配している魔導国の存在を正しく評価できる程器の大きな人物であり、為政者として問題はあったがそれを差し引いても優しくて美しいカルカが完全な被害者としてナザリック関係者から全てを奪われる事実に、心を痛めたり首を傾げたくなるファンもいるだろうが、ひとえにオーバーロードは『勧善懲悪』の物語ではなく『弱肉強食』で弱者に厳しい世界の物語であるため、こういった悲劇は起こり得てもおかしくない。
メタ的に言えば、カルカ(とケラルト)の存在とその死は、レメディオスを愚か者にして物語を面白くする為に用意された展開と言える。
また、武器として扱われても最後まで誰かを殺傷する事に繋がらなかったお陰で、聖王女としての最低限の誇りは守り切る事は出来たと言えよう。
- 国是
カルカは『弱き民に幸せを、誰も泣かない国を』を国是にしており、言外に「自分は強者である」という思いがある事が窺えるが、カルカを惨殺したヤルダバオトは「自分を強者だと思っている弱者をいたぶるのを好んでおり」、皮肉にもカルカもまた弱き民と同様に強者に蹂躙されてしまう弱者である。…と言えなくも無いのだが、いかんせん相手が悪過ぎた。相手であるヤルダバオトは、現地人にとって超・規格外の存在であるナザリックの悪魔であり、カルカ自体の力量は現地人からしてみれば、十分強者の分類に入れる程高かった。
その為デミウルゴスから殺意を寄せられたカルカは、『国を守れなかった弱将』と言うよりも、ただただ『運が悪かった悲劇の女王』といった方が的を射ている。
- 復活説
聖王国編の終盤で、アインズからカルカを復活させる事は可能だと語られているが、復活させてもデメリットしかないので、再登場する可能性は絶望的に低い。
ヤルダバオトを聖王国に送ったのは聖王国を乗っ取るためであり、その計画の一環としてカスポンドを殺害し彼に扮したアインズ配下の二重の影(ドッペルゲンガー)を聖王の座に就かせる必要があるため、聖王の座に就いていたカルカを復活させても、障害にしかならない(それでも、「デミウルゴスならどうとでも対処できる」とアインズは語っている)。
- 聖体
死者の蘇生には遺体が必要であるため、アインズは未だに行方が知れないカルカの上半身の遺体を所持している可能性が高い。
ちなみに、アインズは本物のカスポンドの遺体を所持しており、ナザリックに保管している。
- 死に方
カルカが具体的にどうやって死んだのかは明かされていないが、少なくとも棍棒扱いされていた時点では、虫の息だったが生きてはいた。
恐らく、前述においてヤルダバオトに攫われた後バットのスイングの様に振り回されてしまい、その時の勢いで肉体が自重に耐え切れず、胴体が真っ二つに千切れてしまった事によって絶命した可能性がある。……おぞましい。
- いい武器
よく勘違いされるが、カルカを「いい武器」と呼んだのはデミウルゴスではなくデミウルゴスに扮した配下の悪魔であり、その悪魔こそがヤルダバオトの真の姿とされている『憤怒の魔将(イビルロード・ラース)』である。
関連イラスト
関連タグ
レメディオス・カストディオ ケラルト・カストディオ カスポンド・ベサーレス
皮肉になってしまうが、字面だけを捉えれば的を射ている。
現実の中世と作品の結婚適齢期が一致しているかは不明だが、行き遅れているのは確か。
断定はされていないが、ほぼ確定している。
同作品のキャラクターにして、リ・エスティーゼ王国の王。『優しく慈悲深い王であるが、それが行き過ぎるせいで内部派閥による反発を招いており、更に国中に蔓延している問題を先送りにしてしまっている』点や、『戦乱の時代ではなく平和な時代の王ならば『名君』になれていたかもしれない』という点に始まり、『関係者に懐刀と言える忠義の士と智謀に長けた腹黒の女性が存在している』のも同様であるなど共通点が多い。
そういう意味では、カルカはランポッサⅢ世の女版と言えるかもしれない。
同作品のキャラクターにして、上述のランポッサⅢ世の息子。アインズともっと早くかつ違う形で出会えていたら、少なくとも悲劇的な結末は迎えずに済んだかもしれない者同士。
同作品のキャラクターにして、上述のランポッサⅢ世の娘。『金髪』、『絶世の美人』、『王族』といった共通点を多さをそれなりに見せる一方で、性格と王職への適性は真反対になっている。ちなみにこちらは、“(聖)王女”と呼ばれているカルカとは違い、本物の王女様だったりする。
同作品のキャラクターにして、ナザリックの執事。ナザリック関係者とは思えないほどの善玉であり、『優しさと甘さが混同している』という共通点がある。
奇しくもカルカを破滅させたデミウルゴスとは、犬猿の仲となっている。