解説
原作12巻、13巻において聖王国を襲撃したヤルダバオトが、最高戦力である聖王女カルカ、聖騎士団団長レメディオス、神官団団長ケラルトの三人の女傑とその部下達との戦いで、真の姿である“憤怒の魔将(イビルロード・ラース)”に変身した後、《上位転移》(グレーターテレポ-テーション)を使用して、レメディオスと他の聖騎士相手に使用した打撃武器。
しかし、いざ使ってみれば棍棒と言う割には武器としての耐久性に著しく難があり、振れば取っ手の一部分が壊れたり地面に叩きつけただけで地面に接触した処が逆に潰れたりと、お世辞にも頑丈ではない。耐熱性にも難があり、火を纏っている手で握れば直ぐに焦げてしまう。
だが、この武器の真の恐ろしさは攻撃力ではなく、振り回しているだけで周りの人間は攻撃できなくなる特殊能力にある。
正確に言えば、攻撃できなくなるのは使用者に対してではなく振り回している棍棒そのものに対してであるため、著しく難のある耐久性の低さはその特殊能力のおかげで利点に裏返っており、周囲の人間は攻撃力が低い魔法ですら撃つ事を躊躇ってしまう。特にレメディオスには効果覿面であり、猪武者である彼女らしからぬ二の足を踏み続けていた。
しかも、名前に反して聖棍棒はマジックアイテムではない。にも拘わらず、振り回せる程の怪力さえあればその特殊能力を発動できるという、マジックアイテムのお株を奪いかねないほど優秀な一品。
現に、全ての悪魔の頂点に立っていると言ってもいいヤルダバオトから「一目見た時から、いい武器になると思っていた」と高く評される程。
しかし、二回目の使用の際は半分の長さにまで短くなっていた。なぜ短くなってしまったのかと言うと、ヤルダバオトが一旦聖王国を後にした時、聖棍棒を振り回していたら、やはりとでも言うべきか、底を這うかの様な耐久値の低さが祟って上半分と下半分に分かれてしまい、上半分はそのまま何処かに飛んで行ってしまった様だ。
それでもヤルダバオトは使い続けるのを止めない事から、非常に高い愛着を聖棍棒に向けている事がうかがえる。
短くなった聖棍棒はそのまま打撃武器として使用したが、耐久性は依然として皆無であるため、一撃で木っ端微塵に壊れて破片は壁や床に散らばった。
結局最後まで誰かの命を奪う事は叶わなかったので、武器としては落第点だったのかもしれないが、道具にとって再起不能になるまで使ってくれる事は非常に冥利に尽きる最後であり、ヤルダバオトも満足していた。
この先、ネタバレと非常に刺激的な内容があるので注意
ヤルダバオトが聖騎士相手に使用した、“聖棍棒”と言われる武器は体を示した様な名前の通りメイス
…ではなく、聖王国の統治者である聖王女陛下カルカ・ベサーレスそのもの。別名“カルカ棒”。
なぜこうなったのかと言うと、ヤルダバオトが撤退しようとするカルカとケラルトに《上位転移》で接近して、ケラルトを気絶させてカルカを捕まえて棍棒扱いしたからである。
聖棍棒は作中の用語では無く、武器として使用されたカルカに読者が付けた渾名であり、名前の由来はカルカの異名である“聖王女”から来ている。耐久性と耐熱性に難が生じていたのは、単に生身のままのカルカを大きくて燃え上がっている灼熱の手で握りながら武器として扱ったから難が生じてただけ。要は文字通り“過ぎる”程、尊厳もへったくれもなくカルカは非人道的に人間棍棒にされたのだ。
ぶん回していれば周りの人間が攻撃できなくなる特殊能力は、ただ単に攻撃がカルカに当たるのを恐れていただけであって、特殊能力ではない(要は人質)。
言うまでもなく、生身の人間である以上マジックアイテムではない事は事実ではあるが、ヤルダバオトから「一目見た時から、いい武器になる」と思われていたのは事実である。
真っ二つに分かれた上半分と下半分と壁や床に散らばった破片も、言うまでもなくカルカの「遺体」と「肉片」。
…死んでから時間が経っていたそうで、腐敗の臭気を放っていた。
余談
聖職者は「血が大量に流れる」事から非倫理的とされている「刃物」で戦う事は禁じられているから、刃物の代わりに「打撃武器」で戦うというイメージがある。
…聖王女として聖職者を兼ねていたカルカが、悪魔から打撃武器として扱われて殺されたのは、ある種の意趣返しに思える。
13巻の聖棍棒のシーンは、あまりに酷すぎたせいかカルカの名前は地の文にも会話文にも出てこなかった。
聖王国編の映画化に伴いカルカの声優が早見沙織女史が務めることになり、ファンから期待と歓喜の声が上がった一方で顛末が顛末なので悲鳴の声も上がった。
1月に放送された最新情報解禁スペシャルで加藤将之氏の書初めで「〇〇〇棒」と書かれた。
氏曰く「あんまり美味しくないもの」が入るとのことで、十中八九 聖棍棒本人のことだろう。(美味しくないとはコレを指していると思われる)
関連イラスト
関連タグ
オーバーロード(アニメ) ローブル聖王国 リョナ スプラッタ サイコパス グロテスク ミンチ 棍棒 悲劇 惨劇 いともたやすく行われるえげつない行為 尊厳破壊 R-18G
武器本人。被害者。王なのに下等“生物以下”の扱いを受ける。…合掌。
カルカの忠臣。二回目の使用の際、聖棍棒をぶつけられた。
一緒に道具にされた忠臣。…合掌。
使用者本人。加害者。彼からすれば、下等生物に王も奴隷もない。
似た様なもの。こちらの方は武器ではなく、人質として利用する側面が強い。偶然にもカルカが死亡した後の戦争で敵が使用していた。