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編集者:Kiki Banzai
編集内容:魔法が弱くなる理由を追記

キキ(魔女の宅急便)

きき

角野栄子作の児童文学『魔女の宅急便』及びそちらを原作としたスタジオジブリ制作の同名アニメーション映画の登場人物である。原作およびスタジオジブリ版では、作中の内容及び、その後の扱いも異なるため、それぞれ解説する。

概要

原作

魔女の掟により、13歳で家を出て自立するべくに乗って旅立った女の子。コリコの街にたどり着き、そこで出合ったパン屋おソノさんの好意で下宿。飛行能力を活かしてお届け物屋さんを始める。誕生日は2月2日。

当初、彼女の魔法は「空を飛ぶ」のみだったが、後に母から教わった「くしゃみ薬を作る」魔法も使えるようになる。

同じ時期に生まれた黒猫のジジが相棒。キキの魔力で会話出来るが、魔力が弱まる(失われる)と会話が出来なくなる。会話不能は後述のジブリ映画版で先に起こっており、十数年後に執筆された原作5巻終盤でもほぼ同じ事が起こった。

キキの魔力が弱まった原因はジブリ版だと精神の不安定、原作は「魔法のとまり木 イヤケガサス」状態によるもの。

原作では、魔法が戻ればまた話せるようになるのだが、ジブリ版ではもう話せない。絵コンテには、「やっぱり言葉は戻らない。でもいいか・・・・・・。」「完全な猫になっている。」とある。これは、ジジという存在が、キキの未熟な面が表層化したものに過ぎないからである。

原作ではジブリ映画版で先行導入、或いは逆輸入の可能性がある要素がこの他にも複数出てくる。

コリコの街を訪れた当初は魔女が偏見の目で見られていた。だが、魔女の宅急便としての活躍を重ねていった結果、魔女が当たり前の存在として受け入れられていった。しかし、5巻後半で登場したファッションデザイナーのサヤオによると、魔女が当たり前の存在となった事でコリコの街から冒険心や不思議が失われつつあるとの事。

魔女という事で、普段は「黒の中の黒」とも言われる真っ黒なドレスを着ている。違う色の派手なドレスを2回着た事があったが、2回とも失敗という苦い経験を味わっている。

3巻からトンボとの遠距離恋愛が続いていたが、5巻ラストで遂に結婚し、最終巻である6巻では2児の母となっている。ちなみに結婚式で着たドレスは前述のサヤオが作った模様。

アニメ映画版

CV:高山みなみ(ウルスラと兼任)

当初は母の箒を使用していたが一時魔法を失くしてしまった直後折れてしまい、終盤でデッキブラシに乗ってある事件を解決したことがきっかけで、それ以降はデッキブラシを使用するようになる。なお、その後に発表された公式描きおろしイラストでは、もう一度ホーキに乗っている。

髪型も原作ではロングヘアーだったのが作画上の都合(及び制作側の趣味)でショートカットとなっている。

原作との魔女・魔法の在り方の差異

上記のように、原作には魔女に対する偏見などがあるが、ジブリ版での魔女や魔法は異なる。

宮崎氏いわく、「この作品では”魔法”というものを、従来の魔法ものの伝統とかをすべて切り離して、キキの持っているある種の才能だと限定して考えました。それだけにいくらでも飛べなくなることがあるんです。」(The Art of Kiki's Delivery Service)という風に、魔法を特殊能力としてではなく、あくまで誰しもが持っている何らかの才能として描かれている。

なぜ魔法が弱くなるのか(ジブリ版)

恋という説もあるが、これ宮崎氏「トンボとキキの関係」の発言で否定できる。宮崎氏の発言を引用しながら説明する。

宮崎氏は、インタビューでキキが「親の魔法で飛んでいた」と話す。これについては、キキの友人となる、「絵描きのウルスラ」のセリフで、作中でも説明されている。

キキが「血で飛ぶ」と言うように、彼女は親から「魔女の血統・才能」を受け継いでいるが、キキ自身はスランプに陥るまで、「本当の自分の魔法」ではなく、「親の魔法」で飛んでいたにすぎない。また、宮崎氏はこう語る「血っていいったい何ですか。親からもらったものでしょう。自分が習得したものじゃないですよね。才能っていうのは、みんなそうなんです。無意識のうちに平気で使っていられる時期から、意識的にその力を自分のものにする過程が必要なんですよ。」

キキは、「何も考えなくても(無意識に)飛べていた。」だからこそ「自分が持っている能力の意味」は曖昧であった。彼女は「ニシンとカボチャのパイ」の一件で、仕事が報われなかったために「魔法の意味」を失ってしまう。海岸のシーンで、キキは怒って帰ってしまうが、絵コンテには「ハッとなるキキ。表情くもる。」「あのケーキ(パイ)の少女である」とあり、「ニシンとカボチャのパイの少女」に対して強い不快感を持っている。

スランプのキキは絵描きのウルスラにアドバイスをもらう。彼女も「絵が描けない」というスランプを経験している。彼女は、「自分の絵がだれかの真似だとわかった」と話す。彼女の能力も、「本当の自分の能力」ではなく、所詮「誰かのもの」に過ぎなかったのである。終盤、キキはトンボを助けようとし、魔法を取り戻すが、これは「トンボを助けるため」という、「魔法の目的・理由(能力への意識)」ができたためである。この時のキキは、「親の魔法」ではなく「自分の魔法」で飛ぶ。ウルスラが他人の真似をやめ、「本当の自分の絵」を描こうとしたように、キキは親の魔法を捨て、「本当の自分の魔法」で飛ぶのだ。

上記のように、本作における魔法とは、「特殊能力」ではない。宮崎氏は魔法を「誰もが持っている才能の一つ」としている。ウルスラがキキにアドバイスできたのも、「絵の才能」も「本作の魔法」も本質的に同じものだからである。

また、宮崎氏は「今まで平気で、無意識のうちにやれたことがとてもできなくなってしまうというのは、無意識のうちに成長していくことは不可能だということでもあるんです。」と話す。

本作のテーマ・本質とは、「生まれ持った能力と、その自覚による成長」であり、ジジが話さなくなってしまう理由もこれに大きく関わっている。

ジブリ版キキのトリビア(公式イラストなど)

キキがスマホをもっている

原作完結、スタジオジブリは公式LINEスタンプを販売している。この中には、キキがスマホを持って「まってまーす」と言っているものや、連絡が来ず、待ちくたびれているものなど、現代になじんだようなキキがみられる。また、2018年末~2019年年始には、着物を着ているスタンプが販売されていたようである。

このことからも、スタジオジブリは、原作にとらわれず、ジブリ版の魔女の宅急便であるのだが、原作者は実写化の際、「いろいろなキキがいてもよい」といっている。あくまで原作のキキは原作のキキであり、ジブリのキキはジブリのキキである。

アニメージュ1989年9月号の描きおろしについて

アニメ雑誌アニメージュの表紙には派手な服を着たキキが描かれている。原画は、本作のキャラデザを担当した近藤勝也氏。ネットでは3年後と言われているがこれは全くの嘘であり、本誌の13ページには、

「表紙のことば・・・・・・生まれ故郷を飛び立つまえのキキです。こんな女の子っぽい服装もやっぱりすきだったみたいですね」

と、3年後はおろか、そもそも「魔女の宅急便」という作品が始まる以前のキキであることがわかる。

カップヌードルのCM時の17歳のキキの声優は浜辺美波、実写版では小芝風花が演じている。

余談

原作小説では挿絵付きで水着シーンがある。

編集者:Kiki Banzai
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