「全ての人間を滅ぼす。ふっ、楽しみに見ていろ」(Task.20)
データ
- 身長:218cm
- 体重:133.6kg
概要
物語中盤より登場するネガティブシンジケート「クエスター」の一人。
ボウケンジャーと高丘映士によって魂滅に追いやられた大いなる獣レイが、その類まれなる生命力を見込んだ大神官ガジャにより、彼の開発した「ゴードムエンジン」を回収された亡骸に埋め込まれる形で再生された強化戦士である。
生物的であったアシュとしての姿とは対照的に、クエスターとして蘇ったことでその出で立ちも無機的な黒い装甲に覆われ、よりスマートなものへと転じているが、一方でパーソナルカラーである黄色や、虎に似た要素などに、アシュだった頃の名残を留めている。また、同様の出で立ちの相方・クエスター・ガイとの差異はカラーリングや容貌に留まらず、横に突き出た肩アーマーなど上半身周りの装甲の形状にも表れている。
アシュとしての特性である「術魂」は、クエスターとなってからもそのまま引き継がれており、催眠術によるマインドコントロールや精神攻撃、パイロキネシスといった従前からの能力に加え、強力な結界の展開までも行えるようになっている。戦闘においても長剣への変形機構を持つショットガン「グレイボンバー」を武器とし、ゴードムエンジンによって強化された身体能力をも駆使して高い戦闘能力を発揮する。
とはいえ、クエスターとなってからのレイの本領は、どちらかと言えば前述した術魂と、より発達した知能を活かしての兵器開発にこそあるようで、作中でも前線で敵と干戈を交えることの多いガイに対し、レイは主にクエスターロボを開発するメカニック担当としての役割に徹している。
冷静かつ理知的な気質、そして人間という種族への蔑視や敵対勢力への執拗なまでの憎悪は、アシュであった頃から全く変わっておらず、同胞ばかりか自分達までも一度は魂滅に追いやったボウケンジャーへの復讐を遂げ、人類滅亡と地上制圧という野望を達成せんと目論んでいる。
作中での動向
ガイと共にクエスターとして蘇ったレイは、その圧倒的な力をボウケンジャーに見せつけたのもそこそこに、自分達を蘇生させたガジャの元から巨神ガガドムごと出奔。第4のネガティブシンジケート「クエスター」の片割れとして、時にクエスターロボの開発に従事し、また時に自らも前線に立ちといった具合に、野望達成のために邁進していくこととなる。
その過程で、プレシャス確保のための強力な結界を張り、映士にそれを破るために無茶をさせたことで、一度は彼を死の淵に追いやる遠因を作ってみせたり、また菜月がレムリア人であることに目を付け、彼女を言葉巧みに誘導し催眠術までも駆使することで自分達の支配下に置き、ボウケンジャーの戦力低下と自分達の戦力増強という一挙両得を狙ったりと、ガイ程に派手な立ち回りこそないながらも度々ボウケンジャーの窮地に繋がる働きも見せている。
そうした知略の高さは、クエスターが最終作戦に乗り出した際にも遺憾なく発揮されており、自らが目覚めさせたかつての同胞・オウガには映士を倒させるよう仕向ける一方、密約を結んだ他のネガティブを利用して複数のプレシャスを集めさせることで、作戦遂行に必要な人工生命体「ホムンクルス」の生成と、邪魔な映士の排除を成功させている。
そしてその総仕上げとして、自らが開発したクエスタージェット・奪(オーバー)でホムンクルスを支配下に置くと、映士を失い戦力低下に陥ったボウケンジャーを圧倒的な力で敗北に追い込み、人類滅亡と地上制圧という野望達成に向けてさらに一歩前進する格好となった。
が、その一世一代の作戦も明石の捨て身の一手に端を発した、ボウケンジャーの粘り強い反攻、そしてオウガの術で次元の狭間に閉じ込められかけながらも、自らの「大切な宝」を自覚し帰還を果たした映士の戦線復帰により、折角生み出したホムンクルスを撃破されるという形で頓挫を迎えてしまう。
なおも再起を図るべく撤退に及ぼうとしたレイ達であったが、長きに亘る因縁に終止符を打たんとシルバーが立ちはだかり、ガイがこれと相対する形となった一方でレイはシルバー以外のボウケンジャーと、最後の直接対決に及ぶ羽目になってしまう。死闘の果てにガイが命を落とす中、それに動揺した隙を突かれて自らもデュアルクラッシャーの一撃を叩き込まれ、相方の後を追う形で完全に敗れ去ったのである。
かくして、レイとガイの死によりクエスターも壊滅の時を迎え、映士によって最期の地に立てられた墓には、遺されたグレイボンバーも形見として供えられたのであった。
備考
デザインは篠原保が担当。クエスターに関しては篠原の方で当初から温めていたイメージがあったものの、企画サイドからはそれとは異なる、「わかりやすいカッコよさが欲しい」「動物をモチーフにしてもらいたい」という要望が提示されたため、それに沿う形でデザイン作業が進められたという。
デザインモチーフには、アシュ時のウォンタイガーに対応する形で牙大王(『五星戦隊ダイレンジャー』)が採用されており、ガイと同様に強化前後の位置付けが引用元より踏襲されている。
演者のうち、CV担当の鈴木は本作がスーパー戦隊シリーズ、ひいては東映特撮への初参加となり、以降も仮面ライダーシリーズを含め、2000年代後半を中心に度々東映特撮に関わっていくこととなる。
スーツアクターは強化前後を通して大林勝が担当しているが、ガイを担当した清家利一が別役との兼任であったのに対し、こちらはレギュラーキャラとしてはレイのみを担当している(※)。
(※ ゲストキャラクターにまで範囲を広げれば、Task.32に登場するシルベガミのスーツアクターとCVも担当している)