CV:中村悠一
概要
『ゼノブレイド2』の登場人物で、本作の悪役。
何処の国にも属さない謎の秘密結社「イーラ」の一員。ある事情から「世界の破滅」を願い、同志を募って各所で暗躍している。シンと共にイーラを立ち上げた言わば初期メンバーの一人で事実上の組織トップorナンバー2だが、作中では自ら前線に赴くことが多く、組織内では戦闘/工作員的な立ち位置にいる。
種族はブレイドだがマスターブレイドと呼ばれる特異な個体で、ドライバー不在でも活動ができ、ブレイドでありながら同じブレイドを使役することができる。
ザンテツという名のブレイドを従えており、奇抜な形状の刃を逆手持ちするという独特のスタイルで戦う。あるタイミングでザンテツを失ってからは武器をモナドに持ち替え、単独で戦うスタイルに変えている。
物語開始時点では自分達の計画に不可欠な「ある兵器」を探しており、その所在を知る「天の聖杯」を発掘すべく、プロのサルベージャーであるレックスほかを雇って作業に当たらせていた。本来であれば作業完了と同時に口封じとして作業者全員を始末するつもりだったが、紆余曲折あって天の聖杯(ホムラ)が覚醒、レックス共々逃げられてしまう。以降、天の聖杯を巡ってレックス達と激しい戦いを繰り広げていく。
固有の戦闘BGMはないが、ボス戦BGMの「Incoming!」が最初に流れるのがメツとの闘いであり、ストーリー上でこのBGMが聞ける最後のボス戦もメツとなっている。後述の『スマブラSP』でもメツのスピリットを入手する戦いでこれが流れる。
性格
屈強な体格や鋭い視線、ぶっきらぼうな言動から表現される通り、粗暴な性格で破壊や暴力行為に一切の抵抗がない。むしろそれを愉しんでいる節さえあり、作中の要所要所で他者をいたぶって愉悦に浸るサディスティックな一面を見せる。
例えば計画のために雇ったレックスと出会った際には、余興として不意に斬りかかりレックスの反応をテストしていた。曰く頼りになるかどうかを確かめていたとのこと。ほか元メンバーであるニアがレックスの側に寝返った際にも、特に惜しむ様子もなく普通に排除しにかかっている。
そもそも彼自身の願いが「世界の破滅」であり、この世界に何の希望も見出しておらず、ひいてはそこで暮らす人間も無価値なものと考えている。
このような性格になったのは、元々ブレイドは善悪を持たず、その性質がドライバーの精神に大きく左右されるため。メツも自分を目覚めさせたドライバーの影響で心が悪に傾倒し、世界や他者を弄ぶ残虐な性格になってしまった。
基本的に悪党として振舞うが、作中ではシンやイーラの仲間達に思いやりを示したり、生みの親である「親父」に自分を創ってくれたことを感謝したり等、素直な感情も見せることもある。
またイーラの面々は複雑な境遇から世界や人類に絶望している者が大半であり、どうにもならない怒りや憎しみを内に抱えている。世界やレックス達にとっては「絶対悪」のメツも、イーラにとっては自分達に代わって世界に復讐してくれる「希望」なのかもしれない。
余談
メツを演じた中村悠一は『ゼノブレイドクロス』にも主人公アバターの仲間キャラクターの一人として出演していた。
作中では「もう一人の天の聖杯」としてレックスやヒカリ/ホムラ達の前に立ちはだかるが、巷ではメツとホムラの役割が入れ替わったメツブレイドなるネタも存在する。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALではスピリッツで登場。ボディはリヒター。
関連項目
ORヴェルトール:ゼノギアスに登場する機体。オマージュ元。500年前の戦いでは機動兵器端末群ディアボロスを率いて世界を滅ぼそうとしたが、大本である自身が撃破されたことで機能停止した。
アルベド・ピアソラ:ゼノサーガシリーズの悪役。「少年を嘲って苦しめる」「サブヒロインを拉致して記憶に干渉する」「第三者の影響により精神が歪んでしまう」「巨大ロボットの繰り手」など共通点がある。
ダークセルジュ:クロノクロスの悪役。「第三者の感情の影響を受け精神が歪んでしまう」「決戦の前口上が似ている(該当項目を参照)」など類似点がある。
ゲームにおいて ※ネタバレ
正体
その正体は旧世界にて、後の世界樹となる軌道ステーション・ラダマンティスに搭載されていた三基のコンピュータ「トリニティ・プロセッサー」の一つ「ロゴス」であり、後にヒカリ/ホムラとなる「プネウマ」、そして相転移の際に異世界へと消失した「ウーシア」と同列の存在である。このウーシアと同等の性能を持つと考えれば、メツがモナドを振るったのも頷ける話である。
ゲーム本編での活躍
第3話~
インヴィディア烈王国の首都フォンス・マイムにて少女を人質にホムラ一人を首都近郊の遺跡へと呼び出し、イーラのメンバー・ヨシツネと共に彼女を襲う。駆けつけたレックス一行との戦闘の末に自らを囮にレックス達を逃がそうとしたヴァンダムを殺害、一行を圧倒するが目覚めたヒカリの力によってザンテツ及びヨシツネのブレイド・カムイを倒され、退却した。
ここでブレイドを失った為武器が消滅するが、後にメツ自身がヒカリ(ホムラ)と対をなすもう一人の天の聖杯であることが判明する。序盤にホムラを手に入れようとしていたのは、過去のヒカリとの戦いで欠損したコアクリスタルを補完し聖杯としての力を取り戻す為であった。
また誕生の経緯も明かされ、曰くマルベーニがコアクリスタルに触れたことで生まれたという。彼が抱いていた負の感情が反映されたことで今の性格となった。ある意味では彼女らの兄と言え、コアクリスタルの形状もホムラと同じだが、向こうの翠玉色に対しメツのコアは紫色である。
第6話~
ラストでシンがホムラを連れ去るとその力と記憶を奪い取り、完全なる天の聖杯として復活を遂げる(以後、胸元のデザインが金色の枠に紫のコアクリスタルが輝くものに変化する)
第7話~
世界樹を守っていたサーペント・デバイスを使役しようとするが本能で襲い掛かるように設定されていたため失敗する。そこで力尽くでプログラムを書き換えるべく激闘を繰り広げる。その戦闘後、モルスの断崖にて自らの剣を手にレックス一行の前に立ちふさがるが、この時の武器は前々作で主人公シュルクが振るったモナドに酷似している(ムービーではモナドイーターを表す「喰」の字が浮かぶ)。
特にこの剣がモナドという名前かどうかの明言はセリフの上では無いが、戦闘時のアーツ名がそのまんま「モナドイーター(喰)」「モナドサイクロン(轟)」「モナドアーマー(鎧)」そして「モナドバスター(斬)」であるためほぼ間違いない。なお、前々作にはない新規のモナドアーツとしてパーティ全体に対するブレイド封鎖効果を持つ「モナドジェイル(封)」も使用する。
この時、ニアの能力に敗れて崖から落下するが、ただの演出でありすぐに復活してシンと合流する。主にメレフ、ジークを相手取りながらレックスの「無駄な努力」を嘲笑っていた。しかしホムラ/ヒカリがレックスと再同調して真の力と姿となったことで形勢逆転される。そこで事前に使役していたサーペント・デバイスをけしかけるが、ホムラ/ヒカリもまたセイレーン・デバイスを呼び寄せ、激しい戦闘に足場が崩壊してしまう。シンとは離れ離れになってしまったが、ヨシツネたちと合流して世界樹へと近づきシンを回収。そのままシンと共に最上層を目指す。
実はドライバーは法王庁のマルベーニであり、メツが世界を滅ぼそうとする原因もドライバーである彼の精神の影響を受けたものだと判明する。本人にもその自覚がある。世界樹の頂上に登り神に会ったメツは、問答無用で手に掛けようとするが攻撃を無効化される。しかし神の寿命が間もなく尽きることを告げられると、世界を壊す方を優先してその場を立ち去った。
ラストバトル
来いよ、小僧! 来いよ、相棒! 全身全霊で、全てでもって示して見せろ!
お前たちの意志を! この世界に立っている意味を!!
そしてホムラの記憶から得た情報を基にアイオーン・デバイスを探し出し、起動・搭乗する。彼の兵器は星を破壊するために造られた存在であった。
メツはマルベーニの狂気の影響こそ受けていたが、その根底にはイーラの仲間たちを思いやる心も持っていた。だからこそシンを絶望させた世界(神)に対する怒りを燃やし続けていた。
そこへレックスたちが駆け付け、星の命運を賭けた最終決戦を繰り広げることとなる。最後は勝機を掴んだレックスとプネウマの同時攻撃によってアイオーン・デバイスを大破させられ敗北する。
楽しかったぜ――小僧。もっと早くお前に出会ってたなら――
いろんな世界が見えたんだろうな――だが、それでも――
オレが――あんたのドライバーだったら――そうすれば――
気色悪ぃことを言うな――俺のドライバーは奴だ。それは、それで――悪か――ねぇ――」
メツはレックスに看取られながら消滅し、こうして500年も続いた狂気の宿命から解放されたのだった。レックスが言っていたように、マルベーニの終末思想に染められさえしなければ、人々や世界にとっての心強い味方に成り得たのかもしれない。
黄金の国イーラ
本編より500年前、聖杯大戦を描いたDLCシナリオ黄金の国イーラにももちろん登場する。
この時点でマルベーニの元から離れ単独で行動しており、デバイスを使役して様々な場所を襲撃しアルストを混乱に陥れていた。
イーラを襲撃した際にアデル、ヒカリ、ラウラ、そして後に味方となるシン達を含むパーティと対峙する。なおここでアデルと剣を交えた際に彼の目が金色(=レックスと同じ)であることに言及しており、本編序盤でレックスに言うセリフとの繋がりが示唆されているがそれ以上詳細な真意が明かされることは無かった。
本編以上に「自分自身の役目が世界を滅ぼすことだと考え、個人的な深い意図や目的なく世界を滅ぼそうとしている」ことが強調されており、「ただセイレーンを使って沈めるのはつまらないので飽きた」「退屈しのぎだよ、ただの」などゲーム感覚で世界の命運を弄ぶかのような発言が目立つ。本編での振る舞いは、彼なりに自分を顧みる様になった結果だったのだろう。
使用するアーツは本編でのモナドを持った状態の時と基本的に同じだが、最終決戦では敵(メツ)・味方(ヒカリ)ともにデバイス攻撃を使えるという特殊なシステムが追加されている。
戦闘BGMは本編で使われた汎用ボス戦曲「Incoming!」とは異なるオリジナルのものに変更されているが、これは本編の神鎧マルベーニ戦BGMのアレンジである。最終決戦後半ではアイオーン・デバイス戦と同じものが流れる。