概要
「バーサーカー」のクラス
狂戦士の英霊。英霊に「狂」の付加要素を許諾させるだけで該当できるクラスであるため、召喚呪文に特定の一節を組み込むことでクラスを指定して召喚できる。
もともとは弱い英霊を強化するために用意されたクラスであるが、原作に置いて弱い英霊がなることはほとんどなく、元から上位の能力を有した英霊が結果的に弱体化している。その為に「バーサーカー以外のクラスだったほうが強かったのでは?」という意見も後を絶たない。
クラス特性としては基本能力を大幅に強化する代わりに理性を失い、一部の技術や技量を必要とする宝具などが使用不可能になる。また戦闘時はその制御が極めて難しく、サーヴァントの中でも特に魔力の燃費が悪いマスター殺し。逆に平時は自意識をほとんどあらわにしないため、もっとも従順かつ扱いやすいクラスでもある。それゆえ、第五次聖杯戦争時と第四次聖杯戦争時にてバーサーカーが指定されて召喚されたのにはそれなりの理由が存在する。
過去の聖杯戦争に召喚されたバーサーカーは皆マスターの魔力切れによる自滅で敗北したという。
またこの狂化にはレベルが存在し、生前の人格が狂気に染まっているほど狂化レベルは高く、大幅な基本戦闘力の上昇と共に令呪を持ってすら制御不可能なほどの暴走状態に陥りやすくなる。逆に生前の人格が狂気と程遠い場合狂化レベルは低く、一定の理性の獲得や意思疎通を可能とする代わりに、基礎戦闘力の上昇も低くなってしまう。
ちなみに狂化レベルが高い場合でも完全に自意識を持たないというわけではなく、五次バーサーカーは理性を失ってなおイリヤを守ろうとしたり、四次バーサーカーはセイバーを確認し次第マスターの命令を無視して攻撃したりと正気であった時の名残がみられる行動を起こすことも。
また、理性がなければ使用できない宝具も令呪を用いれば発動できる場合がある(後述)。
左が第五次聖杯戦争時、右が第四次聖杯戦争時のバーサーカー。
『Fate/stay night』
詳細はバーサーカー(Fate/staynight)を参照。
『Fate/Zero』
第四次聖杯戦争において、間桐雁夜によって召喚される。傷だらけの黒いフルプレートを纏った謎の騎士。
スキル「無窮の武練」により、狂化してなお本来の武芸の冴えを損なっていない規格外の特性を持つ。セイバーに対し強烈な執着を見せ、その姿を認めれば、マスターの制御をも撥ね退け彼女に襲い掛かる。
ちなみに、バーサーカーとして召喚された理由はいわば即席の魔術師としてマスターになった雁夜と、正当な魔術師である他の殆どのマスターとの戦力差をカバーするため。
…というのが表面上の理由で、実際には「狂化」を付与するよう指示を出した間桐臓硯は雁夜が勝ち抜くなどとは全く思っておらず(現に雁夜が最後の四人に残っていたことには驚いていた)、単純に雁夜を激しい魔力消費で苦しめるための嗜虐の趣向としてバーサーカーを選択させたようである。
宝具
手にした武器に自らの宝具としての属性を与える「騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)」(武器を射て攻撃するアーチャー(ギルガメッシュ)とは相性がいい)、黒い霧でもって己の正体を隠蔽する「己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)」(本来は変身能力の宝具だが、狂化の魔術によって失われている。令呪を行使して命令すれば使用可能)、そしてそれら二つの宝具を封印することによって使用可能になる、自らのステータスを上昇させる剣「無毀なる湖光(アロンダイト)」の3つ。
真名
正体はセイバーのかつての部下、円卓の騎士の一人、湖の騎士にして裏切りの騎士ランスロット。アーサー王の妻ギネヴィアと恋に落ちた彼は、「完璧な騎士」であるが故に愛する女を救うことも王を裏切ることもできず、ギネヴィアの不貞が暴露されたことで円卓の騎士の座を追われ、ブリテン崩壊の一端を担ったという汚名を受けた。
その過去から英霊の座に至っても後悔と憎悪の感情を捨て切れず、第4次聖杯戦争では「発狂」できるという理由で参加した。「人妻に焦がれ」「その夫に対して複雑な感情を抱く」という点でマスターである間桐雁夜に似る。
『Fate/Extra』
『Fate/Extra』では、敵側に二体のバーサーカーが存在する。
臥藤のバーサーカー
CV:柚木涼香
至って普通の女性の姿をした英霊。左右で瞳の色が違う。マスターは臥藤門司。
真名はアルクェイド。真祖に区分される吸血鬼であり、地球に宿る精霊の一種。人間とは相容れない自然霊であるにも関わらずマスターに「神」として間違えられた解釈を押し付けられた事でスキルが劣化しており、バーサーカー化や魔眼は効果が充分に現れておらず、星のバックアップを受けるスキル原初の一は全く機能していない。
宝具はブルート・ディ・シェヴェスタァ。血の姉妹による盟約とされ、正確には宝具というよりは特性で、周囲を地球環境化(テラフォーミング)する。この宝具を発動させることでムーンセルによって月の重力に合わせて再現されたマスターやサーヴァントたちは彼女の周囲では通常の六倍もの重力を受けることになる。『MELT YBLOOD』でも同名の技が登場しているが内容は異なる。
もし正当のマスターによって召喚されたならば、クラスはバーサーカーではなく、過去の聖杯戦争におけるアヴェンジャーなどの例外的なクラスであるファニーヴァンプになる。本当のマスターは学生服の少年らしい。多くのサーヴァントと存在そのものが異なる「異質」であり、マスターが倒れても消えることはない。
ラニのバーサーカー
CV:安井邦彦
中華風の鎧に身を包んだ、巨躯の武人の英霊。マスターはラニ=Ⅷ。
バーサーカー化していると同時に、マスターと意識を同一させているため、より機械的なサーヴァントになっている。しかし、身を挺してマスターを守ったり、死に際に武人らしい笑みを浮かべたりと、感情が全く無いわけではない。
真名は呂布奉先。中国の三国志時代に名高い武将であり、バーサーカー、ランサー、ライダー、アサシン、アーチャーと五つのクラスに該当する資質がある。三国志において最強の一角に数えられるその力が、バーサーカー化したことによってさらに引き上げられている。
宝具は「軍神五兵(ゴッド・フォース)」。彼の軍師・陳宮が考案し、後に彼の主武器として知られる人工宝具方天画戟を解放する。五つの形態を持つ万能武器であるが、今の彼はバーサーカー化しているため、矛と砲(弓矢)の形態しか使えない。
ランサー、あるいはライダーのクラスで召喚された場合がもっとも強いが、「強すぎる気がする」という制作側の理由でバーサーカーのクラスとなった。結果として弱体化はしているが、それでも遠坂凛と契約したクー・フーリンと対等に渡り合っていることからも、本来の実力がどれほど凄まじい英霊であるかが伺える。
『Fate/strangefake』
『Fate/strangefake』に登場するバーサーカー。
ロード・エルメロイⅡ世の弟子であるフラット・エスカルドスによって召喚されたサーヴァント。触媒はテレビゲームの初回特典として付いてきたナイフの玩具。
真名はジャック・ザ・リッパー。イギリス、ロンドンに実在したという殺人鬼。しかしこのサーヴァントは本物の切り裂きジャックではなく、いわばジャック・ザ・リッパーの狂気の伝説の具現である。元々狂っているところに狂化が加わり、裏返って人格を取得した。
「正体不明、誰でもない」が故に、警官、娼婦など様々な存在になることが可能であり、暗殺などを得意とする。この能力がスキルなのか宝具なのかは不明。
聖杯に賭ける願いは「本物のジャック・ザ・リッパーを知ること」。
『Fate/Apocrypha』
『Fate/Apocrypha』では、三体のバーサーカーが存在する。
黒のバーサーカー
詳細はフランケンシュタイン(Fate)を参照。
赤のバーサーカー
魔術協会によって召喚された、「赤」陣営のサーヴァント。
青白い肌に金の髪の毛を持つ大男。身長は220センチ以上あり、イスカンダルより大きい。
会話が可能であり、一見理性があるようにみえるが、それは大きな間違いである。彼の狂化レベルはバーサーカーの中でも最高峰であり、会話は出来るものの会話内容を一切理解しておらず、意志疎通は不可能。しかも思考回路が「圧制者や強者を倒す」ことで固定されてしまっており、令呪をもってすら完全には制御できない暴走状態に陥っている。
真名はスパルタクス。古代ローマにおいて奴隷たちを率いて大反乱をおこした剣闘士である。弱者を救済し、強者に反骨するだけの男であり、劣勢にある敵には一切攻撃せず、敵の攻撃を全て受け止めた上で反撃するレスラーじみた戦闘スタイルをとる。その狂気じみた半生から彼はバーサーカー以外のクラスでは現界できないとすら評されている。
この戦術を可能にしているのが彼の耐久EXという凄まじいタフさと、傷つけられるほど闘志が燃え上がり、強くなっていくという宝具「疵獣の咆吼」である。
ちなみにそんなバーサーカーらしいバーサーカーではあるが、その会話内容は驚くほどほがらかで慈悲深い。もちろん攻撃には一切容赦しないが。
公式曰く、「ほがらか抱擁系マゾヒスト」。虚淵玄のお気に入りサーヴァントである。
「大丈夫、ほら傷口も笑ってる」というセリフが特に気に入っているらしい。
未登場のバーサーカー
金髪のおかっぱ頭にサングラスをかけた、ヤンキーのような男。小学生レベルの精神構造をしており、召喚されてすぐに現世の文化に染まった。
真名は坂田金時。足柄山の金太郎として多くの人々に親しまれる日本の英霊。
現代文化の影響で「ゴールデン」という言葉を気に入り、自ら「ゴールデン」を名乗り、子供たちのヒーローたらんと振る舞う。唯一の弱点は色恋沙汰で、美少女であったらしい酒呑童子をだまし討ちで殺してしまったことが尾を引いているとのこと。
宝具は雷を封じたカートリッジが付いている巨大なマサカリ、「黄金喰い(ゴールデンイーター)」。応用として範囲を広げ対軍宝具として使う「黄金衝撃(ゴールデンスパーク」)もある。宝具の正式な名前は別にあるが、これで何故か解放できてしまう。
他、「ダメージを受けると狂化して真っ赤になる」「動物と意志疎通できる」などのスキルを所持する。
Fate/apocryphaの小説版決定に際し、リストラされてしまった犠牲者の一人。リストラ理由は「キャラ、戦闘力が強すぎるから」。
聖杯戦争に用いられる聖杯が冬木の聖杯であると設定が変更されたため、日本の英雄である金時は召喚できなくなってしまったようでもある。
菌糸類の神は金時を気に入っていただけに残念がっているので、もしかすると今後何らかの救済があるかもしれない。