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セダンの編集履歴

2013-03-22 21:55:25 バージョン

セダン

せだん

車体形状や使用形態により分類される自動車の形態のひとつである。

呼称

セダンの名称は17世紀頃に南イタリアから広まった乗り物のセダンチェア(sedan chair、椅子かご)からである。ラテン語で「腰掛ける」の意味の sedeo, sedo が語源といわれている。ちなみに、セダンチェアの語源がフランスの町のスダンで作られたことに由来するといわれることがあるが、間違いである。

英国ではサルーン (saloon)、ドイツではリムジーネフランスではベルリーヌ(ベルリネット)、イタリアではベルリーナ(ベルリネッタ)もしくはクワトロポルテ(「4つの扉」の意) と呼ばれる(ただし一部の欧州ではクラシックと呼ばれる場合もある)。日本および米国では一般にはセダンが一般名称で、サルーンは上級グレードの商標として用いられることが多いが、実質は英国と米国の呼称の違いであり、JISや自動車技術会での技術的な扱いではまったく同じものを表す。


セダンとサルーン

日本のJISや自動車技術会では、「サルーン」という呼び名が基本で、「セダンともいう」と規定されている。日本では各メーカーが、一時期英国高級車のサルーンをイメージして、大型上級セダンに「サルーン」と名づけたことから、「サルーン」に高級感のイメージが付加された。


セダンの種類

一般的にはリアデッキを持つ3ボックス型の乗用車のことをいうが、中にはリアデッキを持たない2ボックス型も含まれる。 セダンには独立したトランクを持つタイプ(2ドア/4ドアセダン)と独立したトランクを持つかわりにリアハッチを設けたハッチバックタイプがある。2ドアセダンはかつて、小型大衆車を中心にオーナードライバー向けとして設定されていたが、使い勝手の乏しさなどの理由で需要が激減し1980年代に入ると日本国内ではほとんどが4ドアセダンとなる。2ドア乗用車は、現在ではほとんど3ドアハッチバッククーペに分類されるため、用語としての2ドアセダンはほぼ使われていない。


ノッチバックセダン

ボンネットと、独立したトランクリッドを持つトランクルームの間に車室を持つ。現在のセダンとしてはもっとも車種の多い形状となる。「3ボックスカー」と呼ばれることもある。

静粛性に優れる、車体剛性が損なわれない、荷室の中を覗かれない、被追突時におけるリスクが小さいなどの利点がある。北米では、防犯上の理由で独立したトランク構造が好まれ、バレーパーキングではトランクオープナーに施錠をするか、またはトランクを開けることができないスペアキーのみでクルマを預ける場合に都合が良い。

FR(後輪駆動)や四輪駆動の場合はサスペンションアーム、プロペラシャフト、デフ、ドライブシャフトがトランクルームの前や下に位置するため、ラゲッジルームがいびつな形状となったり、容量が限られる場合がある。FF(前輪駆動)の場合はリア周りのレイアウトに制限は少ないが、バルクヘッド貫通型のトランクスルー機構を持った車種以外では、大きな(または長尺の)荷物を積めないなどの欠点もある。

多くの自動車メーカーのコンパクトカーを除く基幹車種では、企画時に3ボックス型が最量販車種として位置づけられることが多く、その設計を基本とし、ステーションワゴン、ハッチバックセダン、クーペをはじめとした派生車が開発され、時としてコンバーチブルが生まれることもある。アコードをベースにアコードツアラー、アコードクーペを作るなど。ただし、近年では車体剛性や後方の衝突安全性能の確保が難しいという理由でレガシィB4およびカローラアクシオのようにステーションワゴンをベースに逆にセダンを作る例やSX4セダンのように、クロスオーバーSUVをベースにセダンを作るという例もある。


セミノッチバックセダン

ノッチバックセダンのうち、リアデッキが極端に短いタイプ。「セミノッチバックセダン」「2.5ボックスセダン」と呼ばれる。ハッチバックのものもある。


ファストバックセダン

リアウインドウが比較的寝かされたタイプ。流線型ブームの始まる1920から1950年代の海外メーカー車によくみられたが、現在では主流ではない。日野・ルノーやVW・ビートルは日本でもよく知られる存在であり、そのほか、比較的遅くまで採用していたのがサーブで、同社初の自動車である 92 から、初代 900 までの各世代でみられる。日本車では日産・チェリー、初代日産バイオレット(前期型のみ)、初代日産・パルサートヨタ・パブリカスターレットセダン/ダイハツ・コンソルテセダンにみられるのみとなっている。

近年ではクーペとして分類されることもあり、メルセデス・ベンツ CLSクラスでは4ドアクーペとして分類している。また、マツダアテンザスポーツや2代目トヨタ・プリウス、欧州向け7代目三菱ランサー(5ドア車)(日本名・ギャランフォルティス スポーツバック)のように3ボックスセダン風に見せた5ドアハッチバック車もファストバックセダンと呼ばれる場合がある。


2ボックスセダン

リアデッキを持たないタイプ。以前はトランクリッドを持つタイプも製造されていたが、現在ではリアハッチを持つハッチバックタイプが主流である。

初代ホンダシビックや2代目ホンダ・トゥデイのように、同世代にトランクリッドを持つものとハッチバックをもつものの両方が存在する例もある。


4ドアハードトップ

4ドアセダンのうち、ドアに窓枠を持たないものは「4ドアハードトップ」と名付けられる場合が多い。2000年代初頭まで中級乗用車や高級車を中心に設定されていた。現在の日本車には採用されていない。ただし、スバルでは「サッシュレスドア」と呼び、セダンとして分類していた。中でもレガシィは2009年にフルモデルチェンジされるまでサッシュレスドアを採用していた最後の車種であった。なお、軽自動車では、2代目オプティのみが軽唯一のハードトップセダンである。かつては車両中央(Bピラー)が無く、4ドアとしては異様にルーフの低いピラーレスハードトップが流行したが、側面衝突安全性への対応や経年劣化後の窓の艤装精度、またシートベルトの固定位置等に問題があった為、1990年代後半には完全に姿を消した。ピラーレスハードトップはバブルの名残であったとも言える。

欧州では2004年に4ドアハードトップボディを持ったメルセデス・ベンツ CLSクラスが発表されたのを皮切りに、フォルクスワーゲン・パサートCC、アストンマーチン・ラピード、BMW・5シリーズグランツーリスモ、アウディ・A5スポーツバックといったハードトップセダン(クーペとされる事も多い)が発表され、人気を博している。


ハッチバックセダン

独立したトランクリッドを持つ代わりにリアハッチを設けたタイプ。2ボックス型は単に「ハッチバック」と呼ばれるが、特に外観上長めのリアデッキ(トランクルーム)を持ち、2.5ボックスや3ボックスもしくはファストバック風に見えるものは、メーカーが「セダン」と名付ける場合がある(「5ドアセダン」とも呼ばれる)。小型車の一部を除き、4ドアセダンをベースにリアハッチを設けたタイプがほとんどである。

3ボックスセダンと比べ、後席と荷室を使い分けるうえでの自由度が大きく、収容力も非常に高いが、その構造上、車体剛性面や静粛性が劣ること、端正なスタイルにまとめることが難しいことなどから、市場の嗜好や車格により普及度が異なる。その中で、シトロエン(XM)は一時、ルノー(30〜ヴェルサティス)は現在もフラッグシップモデルにハッチバックを採用していることが特筆される。

日本国内で最初に導入されたハッチバックセダンは1965年のトヨタ・コロナ(5ドア)や、1967年に追加された三菱・コルト800(3ドア)であったが、当時の日本人にはセダンというよりライトバンのようなイメージが強く、ほとんど受け入れられなかった。その後、1980年代前後に、各メーカーが5ドアセダンを小型・中型大衆車クラスを中心に設定した時期があったが、1990年代になるとSUVやステーションワゴンなど、ユーティリティービークルのブームもあり、日本向けのラインナップからはほとんど途絶え、アンフィニ・MS-6、三菱・ギャランスポーツ、輸入車として日産・プリメーラUKなどが細々と売られる程度であった。長らく人気の出ないスタイルであったが、2000年代以降は実用性の追求や海外市場との兼ね合いから5ドアボディを採用する車種も登場し、2002年にマツダ・アテンザスポーツで採用され、2003年にはトヨタ・プリウスがフルモデルチェンジで、2009年には2代目ホンダ・インサイトがそれぞれコーダトロンカ形の5ドアボディが採用された。

近年では欧州の高級車に3ボックス5ドアボディを持つ車種が登場している。ポルシェ・パナメーラ、アストンマーチン・ラピード、BMW・5シリーズグランツーリスモ、アウディ・A5スポーツバックなどがこれに当てはまる。なお、これらの車種はサッシュレスドアを持っていることや(上記車種のうちパナメーラは窓枠付きのサッシュドアである)、そのエクステリア・デザインなどから「5ドアクーペ」と呼ばれる事も多い。


スポーツセダン

セダンにスポーツ性をプラスしたものはスポーツセダンと呼ばれる。スポーツサルーンとも呼ばれる。本来実用性や快適性が求められる事の多い4ドアセダン(1970年代以前は主に2ドアセダン)に、あえてスポーツ性を加味した趣味性の強いモデルが一般にスポーツセダンと呼ばれる。セダンの持つ性質から家族を持つ走り好きからの支持(スポーツセダンはクーペに対し周辺の理解が得やすい)があると言われる。インプレッサSTiやランサーエボリューションのように、絶対的な速さやモータースポーツへの参加を強く意識したモデルもあれば、アルテッツァ、スカイラインやレガシィB4のように速さよりも運転する楽しみを重要視したモデル、またはかつてのカローラGTやカリーナGT、ギャランVR-4、マークII三姉妹のGTツインターボ/ツアラー系などに代表される、普通の実用セダンとほぼ同じ平凡な外観でありながら、その気になればスポーツカーに一泡吹かせるほど速いという意外性を楽しめる「羊の皮を被った狼」的モデルもある。高出力エンジンや専用サスペンション、その他エクステリア・インテリアなどに専用装備を持つ物も少なくない。また、近年においては、より実用性を重視したミニバンの流行により、4ドアセダンとしての存在価値を見いだすためにより軽量で、低重心でなおかつ空力特性に優れることからスポーツセダンとしての味付けを強調したモデルが増加しており、保守的な顧客のためのモデルとの間で二極分化が進行している。 総じて言うと、現状日本で販売されるスポーツカー扱いされうる国産車種はクーペの壊滅的とも言える減少によりセダンのボディを持つ車種はむしろ多数派と言える。


軽セダン

日本の軽自動車でも1970年代まではリアデッキを持った3ボックス型で純粋にセダンといえる車が製造されていたが、利便性に難があることなどから3ボックス型は次第に廃れ、2ボックス(+ハッチバック)型が主流となった。この傾向は軽自動車の規格がより大きくされた1990年以降、21世紀に入った現在でも変わっていないが、変わり種として1998年から2002年まで販売されていたダイハツ・オプティが、小さいながらも本格的なトランクルームを備えた3ボックス(小さいトランクのため2.5ボックスとも)として販売されていた。

ただし現在でも乗用車(5ナンバー車)においては、「バンでもワゴンでもない」ことをアピールするためにメーカーが実質的に「セダン」と名付けることがある(例外あり)。


現状

日本では高度経済成長末期の1970年代までは、大衆車でも3ボックス型が好まれたこともあり、各クラスとも3ボックスセダンが販売の主流であったが、2度のオイルショックを経て大衆車では、スタイルよりも実用性が求められ、小型車の2ボックス化が進んだ。その間、従来の小型車は少しずつ車体の大型化と車格の上級移行が行われていった。1990年代に入ると、従来のクルマにはない付加価値が求められ、RVブームが起こり、SUV、ステーションワゴン、ミニバンの市場が一気に拡大し、オーソドックスなセダンの需要は縮小していった。2000年代には、コンパクトカー(ハッチバックやトールワゴン)とミニバンが市場の中心となり、依然としてセダンのシェアは低迷が続いており、あらゆる意味で死に筋化・コモディティ化が進んでいる。

最近では税制の緩和やグローバル化による海外市場への対応、ボディの大型化により、2000cc未満クラスのセダンまで含めて3ナンバーセダンが増加し、結果(シビック、ランサー→ギャランフォルティス、インプレッサ→インプレッサアネシス、ファミリア→アクセラなどそれまで5ナンバーだった車両がセダンに限らずフルチェンジで3ナンバーになるケースも数多く存在する)として5ナンバーセダンのラインナップは減少し、5ナンバーセダン市場から撤退するメーカーも現れている。

しかし、パトロールカー社用車タクシー教習車といった業務用の分野では依然としてセダンの需要はあり、これらには専用のグレードや車種が設定される場合も少なくない。特に、規格に制約があるタクシー用(主に小型・中型料金向け)には信頼性や整備性、車体の旋回性能などに配慮したFRの5ナンバーセダンがトヨタ、日産から発売されている。

また、ドイツ車をはじめとした高級輸入車の台頭であるBMW・3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラス、アウディ・A4といったDセグメントクラスでは、ステーションワゴンがラインナップに加えられているにも関わらず、セダン人気が高いモデルがほとんどである。かつて輸入車に憧れた団塊の世代の需要、会社経営者層の”ビジネスシューズ”としての需要など、フォーマルなセダンである事を第一条件として挙げた場合に、同じ程度の排気量クラスでは国産車がほとんど残らないという状況も少なからずある。

なお、日本の市場縮小という要因もあってか日本メーカー、海外メーカー問わず海外市場では販売されているセダンが日本では販売されていない、あるいは日本メーカー車の場合逆輸入扱い、もしくは受注生産・受注販売・OEM(下記参照)扱いなどになっている・・・という現象も決して珍しくない。

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