解説
スペースオペラとは、主に宇宙を舞台とするSFのような科学考証よりも娯楽性を重視した作品。
またはSF的なストーリーや世界観を持つ戦争モノ、バトルモノのこと。
「スターウォーズ」のヒットによって乱発された宇宙戦争モノの総称が語源(後述)
科学は障害？
何故娯楽性にとって科学考証が障害となるのか。
多くのスペースオペラにおいてあえて無視されている二点がある。
- 空気が無いため炎が出ず爆発が非常に地味
- 空気が無いため音が他の戦艦や戦闘機まで聞こえない
科学的リアリティにこだわれば、この二点はまず真っ先に考察され、正しいであろう描写が行われるが、特に映画やアニメの場合は本格的なSF作品ですら無視されがちである。
時には事実よりも臨場感を重視した荒唐無稽な演出がリアリティを産むのである。
他にも無重力であるはずなのに戦艦が傾斜すると乗員たちも傾いたり(明らかに「人工重力」などといった手合いではない)、キャノピー一枚隔てて真空であるにも関わらず宇宙服も着ずに戦闘機に乗るなど、スペースオペラならではといった突っ込みどころもかなりある。
とはいえこれらの不都合や非科学的要素に納得のいく説明をつけることは「SF」のひとつの醍醐味である。
「機動戦士ガンダム」などはこういった突っ込みどころを極力排除し、よりSF作品に近づけられたアニメである。
スペースオペラは演出が第一である、しかしなんでもかんでも無視して好きなように描写すれば良いと言うものではない、「宇宙で戦っている」感を出すには十分な科学的考証が要求されることも忘れてはならない。また、『レンズマン』『キャプテン・フューチャー』『火星シリーズ』など古典的なスペースオペラの多くは当時の科学技術にあわせて考証されていることも理解しておくべきだろう。現在の我々の眼からみて荒唐無稽であるからといって、その諸作品を「科学的に正しくない」と断じるのはいささか不公平ともいえる。
スペースオペラの魅力
しかしそんな小難しい事は考えずに見るならば、その壮大さと大迫力には他ジャンルと一線を画す物がある。たとえば、
- 無限ともいえる広大な舞台。
- その無限の空間を一瞬に飛び越えるワープ航法。
- 広大な宇宙空間に浮かぶ、スペースコロニーなどの巨大構造物。
- 無重力空間という特異な環境を活かす、文化やガジェット。
- 重力から解き放たれた挙動が可能にするバトル。
- 地球ではない別の惑星を設定することで生まれる、全く違う物理法則や生態系。
等々。このように娯楽性を重視したSFをスペースオペラと呼ぶのである。
歴史的背景
語源は「ソープオペラ(昼ドラ)」から。
使われ始めた当初は「またお定まりの大宇宙戦争だぜヤレヤレ」といった侮蔑的なニュアンスを多分に含んでいた。
現代では、「宇宙ＳＦ」とほとんど同義で用いられるケースも多い。
また世間的には徹底的に考証されたハードSFと見なされていても作者自身はスペースオペラであると分類している場合もある。
関連タグ
関連作品
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