Oktavia von Seckendorffとは魔法少女まどか☆マギカに登場した魔女のこと。
公式の読みが発表される前にオクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフと読み、以降は公式Tシャツの発表で確定となった。
※ここより先、ネタバレ注意
概要
第8話ラストにて美樹さやかのソウルジェムが砕け散り、グリーフシードに生まれかわることによって誕生した魔女。性質の「恋慕」はもちろん上条恭介への想いである。
公式ガイドブックには「恋を守るためのありあまる力」との記述もある。
第9話冒頭では変身が完了し、全貌を現す。その場にいた佐倉杏子はさやかの肉体を運び出すため一度撤退するが、彼女を元に戻す僅かな望みをかけて鹿目まどかを連れて再び対峙する。
猛攻に耐えまどかと杏子は必死に語りかけるものの、Oktaviaにその声は届かず演奏を邪魔する敵とみなされて攻撃を受けてしまう。ついにはかつての親友まどかにまで手をかけたことにより、杏子はさやかの救出を断念する。
最期は杏子の自爆攻撃により、彼女と共に爆風の中に消えた。
外観・性格
西洋の鎧・マント・剣と魔法少女時代の騎士モチーフが形を変えて使われている。
三つ目をもつ西洋の鉄兜風び頭部は、蓄音機がモチーフではないかという考察もある。
下半身は人魚になっており、アンデルセンの『人魚姫』のオマージュであることが伺える。人魚姫は救出した王子との悲恋とそれによる身の破滅を描いたストーリーであり、さやかと重なる部分も多い。
襟はハート型のエリザベスカラーであり、胸にピンクのリボンがあしらわれている。ピンクである理由は第1話に伏線がある。まどかが母親から「ピンクのリボンは男にもてる」と言われ、そのとおりにしたのをさやかが茶化しているのだ。
時折どろどろに溶けた黒い人魚に似た影が中身のように見え、とめどなく目玉が零れ落ちている。公式ガイドによると、鎧の中身はどろどろ溶けているさやかの形にしている。
普段はHolgerたちにオーケストラコンサートをさせ、それを聞いて人間時代の思い出に浸っている。
禍々しい見た目ではあるが、結界の入り口に「LoVE・Me・Do\(*´3`*)/」と顔文字が描かれていたり、音楽に合わせて体を揺らしていたり、最後に腕を斬られながらも拍手をするような動きを見せたり、コミカルで可愛らしい動きも見せる。
しかし、それらも過去に向けられるのみであり、目の前にいるかつての親友は認識できなかった。それこそがこの魔女の悲劇でもある。
攻撃手段は魔法少女時代と同じ右手の剣に加え、車輪を投げつける攻撃が加わった。これは後述の電車の車輪と共に、詩人Karl Siegmund von Seckendorff(カール・ジークムント・フォン・ゼッケンドルフ)の著作『運命の輪』にもなぞらえられている。
魔女図鑑にも「回る運命」という言葉が使われており、永遠に同じところを回り続ける彼女の行く末を暗示しているようである。
魔女の結界
生まれる瞬間現れた魔法文字はTEMPESTOSO(嵐のように) AFFETTUOSO(愛情を込めて)の2語。いずれも音楽の発想記号である。暗くて分かりづらいが、この時にOktaviaの姿が輪郭線だけ登場している。
前半の結界は線路と汽車がモチーフになっている。これは魔女化した地点である駅構内付近のモノを巻き込んだためと思われる。
が、charlotteの結界に願いが影響していると思われるメモが公式ガイドブックに載っており、願いが何かしら影響している可能性もある。
後半、再突入後の結界はコンサート会場をモチーフとしている。
結界入口に書かれたLove me doは、Oktaviaの本心であるとともにビートルズの同名の楽曲に由来するものである。
入口付近の廊下にはコンサートのポスターがあり、魔法文字でKYOSUKEと書かれている。スタッフのお遊びか、開催日時はまどか☆マギカ第9話の東京・大阪での放送日となっている(劇場版では、劇場版後編の上映日に変更)。
一方で、本来見えることが無いポスターの『裏側』に同じく魔法文字でLook at meとびっしり書かれており、上条恭介に対する執着に近い深い愛情と魔女空間ですらその本当の気持ちを隠しているさやかが表現されている。
この部分はまるで水族館のようにも見えるが、劇団イヌカレー曰く、水族館がさやかと恭介の思い出の場所なのだという。劇場版ではできたばかりの結界にも魚のモチーフが追加されている。
Oktavia本人は奥の赤いホールで音楽を聞いている。演奏はHolgerによるものだが、ヴァイオリンを弾く役、指揮をする役など複数いる。
床下には上下逆転した青いホールが隠されており、杏子との戦いによって表のホールが破壊され、姿を表した。
賑やかだった表に対して裏にはヴァイオリニストが一人立っている。その姿は上条恭介にそっくりだが、演奏どころか微動だにせず後ろを向いている。
魔女図鑑ではHolgerのイラストに彼も描かれていることから、彼もOktaviaの使い魔である可能性が高い。
魔女名
従来の魔女と同様、魔法文字の解析から判明している名前である。
また、劇中に浮かび上がる魔法文字は、他の魔女が古代文字であるのに対し彼女のみ音楽文字で書かれている。これは魔女図鑑でも同様である。ただし、台座や魔女の口づけにある魔女名は古代文字である。
Oktavia
ヨーロッパの女性名。ラテン語で「八番目の生まれ」を意味する。ローマを含めた他の地域ではOctaviaと綴られることが多い。男性形はOctavius。
同名の有名な人物に、初代ローマ皇帝アウグストゥスの姉小オクタウィア、皇帝ネロの最初の妃クラウディア・オクタウィアなどがいる。
また、8度音程を意味するOctave(oktaveとも。そもそもcとkは古くはごっちゃにされていた)という単語があり、音楽に強い影響を受けている魔女なので、こちらを名前っぽくしたのがOktaviaの名の由来であろう。予定調和か、彼女の初登場は第八話である。
von Seckendorff
フォン(von)はドイツ語の前置詞で英語で言うofやfromに相当し、その人が王侯や貴族、その子孫である事を意味する、姓の前に付く称号の事。
Seckendorffという姓は実在する。
記録に残る限りでは13世紀から今日まで続いている騎士の家柄であり、これは、「魔法少女時代のモチーフが元になっている」、「(前述のカール・ジークムントの著作から)攻撃手段の元ネタ」、「自分と上流階級に属する上条恭介との釣り合いを取ろうとする意思の表れ(≒お嬢様の志筑仁美に対する劣等感)」等と考察されることがある。
別の時間軸のOktavia
第10話では暁美ほむらが繰り返すループの中で、別の時間軸のさやかも魔女化していたことが判明する。ファンの間では「10話オクタ」「赤オクタ」の通称がある。
概要
人魚の魔女。その性質は恋慕。
ギターが鳴り響くコンサートホールの中で在りし日の感動を夢見続ける魔女。
繰り返す時間の中で僅かな違いこそあれど、運命の車輪は冷徹に回る。
(公式サイトより)
経緯は不明だが魔女化したさやかを、巴マミ・佐倉杏子・鹿目まどかと暁美ほむらの4人が見届けることになる。
3人の魔法少女は仲間の変わり果てた姿に戸惑い、攻撃をためらっていたが、全てを知っていたほむらは謝罪の言葉を口にしつつ彼女を爆破する。
当初、この時間軸の魔法少女たちはキュゥべえの陰謀をほむらが何度説明しても聞き入れようとはしなかった。
しかしさやかの魔女化によって彼女らは、魔法少女の秘密を身をもって思い知るのだった。
ポータブル版ではほむらルートに登場。まどかかマミで説得を試みるも失敗し本編同様杏子の目の前で魔女化、その後はほむらの判断で決まる。
容姿は通常と同じで、結界内がこちらのものになっており使い魔もKlarissaとなっている。
外観
エリザベスカラーに赤が追加されていること以外は第9話とほぼ同じであり、名前も同じである。攻撃手段も剣と車輪で同じ。剣が二刀流になっていること以外はあまり変わらない。
しかし全体的な雰囲気は大きく異なる。まず、魔女の結界がなぜかディスコ風になっており、Oktaviaはお立ち台の上でノリノリで踊っている。使い魔はHolgerからKlarissaに替わり、役割もOktaviaのバックダンサーになっている。彼女らの姿は志筑仁美に似ているが、関係性は不明である。ちなみにこの使い魔は、戦闘中のOktaviaが攻撃のどさくさに紛れて潰している。
第9話といかなる差異があってこのようになったのか、詳細は不明である。プロダクションノートによれば、この時間軸の恭介はギタリストであり、未登場の裏側は演歌の花道になっているという。
外伝作品
魔法少女かずみ☆マギカ
第10話「チチンプリン」にて、御崎海香がかずみに魔女について説明する際のバック絵で登場。
この事から「かずみ☆マギカ」内ではプレイアデス聖団に撃破されている可能性もある。
魔法少女まどか☆マギカポータブル
- さやかルート
期間内にソウルジェムが見つけられなかった場合。
失ったソウルジェムをどうにか見つけ出すも、一定期間が過ぎてしまった為に肉体の状態が悪化してしまい、さやかはそれに気づかず周囲の視線を疑問に感じながら街中を徘徊し自宅のマンションに到着。
上条恭介が自宅前で待っており、さやかの為に作曲したCDをプレゼントするも彼女の変化した姿に驚き化け物と恐怖を抱き逃げ出してしまう。
自動ドアのガラスに腐敗した自分の姿が映り絶望、まどか達3人が駆け付けた頃には遅く、後悔の思いと共に魔女化。
期間内にソウルジェムが見つけられたが、さやかのソウルジェムが濁り切っていた場合。
魔女結界に捕らわれ魔女Isabelに襲われた上条恭介と志筑仁美をさやかと杏子が助け出すも、さやかの異常な回復力に恐怖を抱き二人は彼女を「さやかの姿をした化け物」と見なし罵倒する。
2人に化け物扱いされたショックでさやかは自暴自棄となり、使い魔や魔女の戦いに明け暮れ最終的に本編同様に駅のホームにてまどか達3人の目の前で魔女化。
どちらも最終的に杏子がまどかとほむらに自分がさやかと同じような魔法少女だったことを告げ、本編同様に相打ちとなった。
- 杏子ルート
杏子の分まで背負って戦う事を決意したさやかだったが、無理が募って最終的に本編同様に駅のホームにて杏子の分の呪いを背負って彼女の目の前で魔女化、その後は本編と同じように一時脱出し杏子とまどかが再度結界に向かうのは同じ。
しかし本編と違い二人が到着する前にほむらの手によって葬られる。
- ほむらルート
別の時間軸のOktaviaの概要を参照。
- 謎の魔女結界
4番目の結界、弾刻の結界30層目に登場。
さやかを前線に出すことも可能なので、己との戦いを実現させることも可。
劇場版
前編の最後と後編に登場。登場シーンはTV版と同じ。
前述のとおり、ポスターは当該箇所である後編の上映日に変更されている。
まどかに掴みかかるシーンは前後の構図になり、より迫力が増した。
杏子のカットに大幅な加筆が見られ、特に最後の爆発シーンは、穏やかな表情をした杏子が筆ペン作画で描かれている。
佐倉杏子と魔女の血液が二人の魔法少女に見えるシーンはカットされ、回想が浮かび上がるというより直接的な表現になっている。
叛逆の物語については後述。
The_different_story
中巻の最後で美樹さやかが魔女化。下巻にて佐倉杏子に撃破される。
その他
魔女化前の姿である美樹さやかの人気と、魔女化にいたるまでの悲劇、魔女化した際の異形の姿、佐倉杏子との悲劇であるとともに救いのあった最期と、彼女にまつわるストーリーは非常に見所が多い。
第9話放送直後の傾向としては、さやかからOktaviaに至る過程や、運命を共にした杏子との対決シーン、その後共に散っていく最期(And_I'm_home)が描かれることが多い。
また安定のさやかとして、顔だけOktaviaになっていたり、Oktavia姿で普通にまどかたちと会話してたりと、ネタ方面でも使われたりするのでcharlotteと並んで魔女の中では比較的よく見られる(ただし、ネタとして描かれているOktaviaにはこのタグが使用されてないことが多い)。
さらに、人魚モチーフということでOktaviaの姿に元のさやかの要素を織り込んだ、というかさやかにOktavia風の衣装を着せたような「人魚になったさやか」とでも呼ぶべき姿で描かれることもある(人魚さやか)。
また、ゲーム『魔法少女まどか☆マギカポータブル』おいて佐倉杏子が魔女体・Opheliaが公開された直後、魔女版杏さやとも言えるオフィオクというカップリングが生まれた。
放送前の憶測
当初、スカートの色や形状などから、第1話冒頭に登場するワルプルギスの夜がさやかであるという憶測が存在した。しかし、8〜9話で全く別の姿になり、無関係であることがほぼ確定した。
別の時間軸のさやか説も考えられるが、10話で同じくOktaviaになったことや、明瞭に描かれたワルプルギスを見る限り、その可能性も低い。
関連タグ
もう何も痛くない 激しく哀しい愛を込めて 独りぼっちは、寂しいもんな
OktaviaVonSeckendorff(表記揺れ) Miotavia_von_Naganohadorff
Kriemhild_Gretchen Candeloro Ophelia Homulilly
他の言語
以下、叛逆ネタバレ注意
叛逆の物語
円環の理に導かれた美樹さやかが、スタンドのように水を介して召喚することができる。
また、本人のマントにも描かれている。
人魚の魔女。かつて恋慕の夢を見た。この魔女は円環の理の一部から再び個として切り離された。お菓子の魔女とは違い、人間体と魔女体でそれぞれ別行動が可能。この魔女は水さえあればどこからでも現れる。(来場者特典「魔女図鑑」より)
終盤ではキュゥべえに利用されないために魔女となったほむら・Homulillyを止めるために出現。見滝原を模した結界の中で巨大魔女同士の一大決戦を繰り広げた。
新世界では魔女同士使い魔を貸し借りできるらしく、自らの使い魔とともに他の魔女の使い魔を大量に使役して戦う。
人魚の魔女が杏子の槍を振るうというファンがある意味望んだであろう共闘もされている。
なお、魔女図鑑に記載されているように召喚には水が必要なため、路地裏でのほむらとの対話時は水溜りの水を、登校時にほむらと対峙した時は川の水を利用した。
このことから、Homulillyと戦う前に自分を剣で傷つけたのは、血液の水分を利用するためだったと考えられる。水を調達するなら他の手段もあるだろうにと思われるが、大量の水が必要なために大量出血をともなう自傷行為を行ったのではないかと推察できる。