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概要編集

原題は「Luca」

ピクサーが手掛けるコンピュータアニメーション・サマー・ファンタジー・アドベンチャー映画。2021年6月18日にDisney+にて日米同時公開された。

1950年代の北イタリアが舞台。ピクサー作品では初となる「」を題材にした作品。


日本語版主題歌はヨルシカのsuisが井上陽水の名曲「少年時代」をカバーする。


メインテーマは「ひと夏の冒険」「子供の成長」と、至極オーソドックスなもの。

イタリアの風光明媚な景色や、科学とアートの中間を追求した美しい海の表現もあって、温かくも爽やかな作風。

広い世界を知ることの喜びやワクワク感を刺激され、童心に帰れることだろう。

しかし後半では嫉妬や劣等感、利己心など負の面の心理描写が積み重ねられていき、やがて王道の友情物語から昼ドラもかくやと言わんばかりの壮絶な修羅場や愛憎劇へと変貌していく

その分、各々が自らの弱さに立ち向かっていく終盤のカタルシスは非常に大きなものがある。


本作のシー・モンスターは、「体が乾くと人間の姿となり、水にぬれると元の姿に戻る」という、アリエルが涙目になりそうな設定となっている。

逆に言えば元の姿に戻る条件があまりにも緩いため、人間世界で暮らす場合はコップ一杯の水ですら脅威となる。

また、見た目と生息域以外は人間とまったく変わらない。

このことが、裏テーマである「素性を隠して生きるマイノリティ」「多様性の受容」を象徴していると言えるだろう。

特に後者は、異種族同士だけでなく同族同士でもその問題が描かれる。


あらすじ編集

1950年代の北イタリアの港町ポルトロッソ。ここの住民たちは海に住むシー・モンスターを恐れており、一方のシー・モンスターたちも人間を恐れていた。そして、2つの世界は海面で隔てられ、決して交わることはなかった。

シー・モンスターの少年ルカ・パグーロは海底に沈んでいる人間のものに興味を持ち、人間の世界への好奇心を止められずにいた。ある夏の日、人間の世界を知るシー・モンスターのアルベルト・スコルファノと出会い、禁断の領域である地上に初めて足を踏み入れたルカは、アルベルトと共に人間世界の乗り物「ベスパ」に憧れるようになる。

しかしこのことが両親に知られ、深海の叔父のもとに預けられそうになったルカは家出を決行。

かくしてルカとアルベルトの二人は、ベスパを手に入れるべく、ポルトロッソの町に足を踏みこんだ。


登場人物編集

  • ルカ・パグーロ(CV:ジェイコブ・トレンブレイ/吹き替え版:阿部カノン)

本作の主人公。

魚たちを管理する仕事をしながら平和な日常を過ごしていたが、海中に沈んだ人間世界のものに興味を持ち、アルベルトと出会ったことから、日常が一変。

初めて陸地に上がり、手作りのベスパ開発にハマるなど、親交を深めていく。

やがて本物のベスパを求めて、アルベルトと共にポルトロッソへと足を踏み入れる。

性格は内気で臆病だが、好奇心旺盛で基本的には「いい子」。特に頭の回転の速さや洞察力に関しては、前半だけでも


・壊れたと思われていた蓄音機を初見であっさり動かす

・仕事をサボる時は身代わり人形を作って、両親の目を欺く

・手作りベスパが岩に激突しそうになった時は、ベスパを前後に分離することで難を逃れる

・ポルトロッソ内の景観を見て、シー・モンスターには危険な街と判断する


……など、目を見張るものがある。


しかしジュリアとの関わりから「学校へ行きたい」という願いを抱き始めたことで、アルベルトとの関係が悪化していく。

やがて嫉妬に狂い禁忌を破った親友の姿にショックを受け、ついに……


  • アルベルト・スコルファノ(CV:ジャック・ディラン・グレイザー/吹き替え版:池田優斗)

もう一人の主人公。

陸に上がることが禁忌とされているシー・モンスターでありながら、孤島の壊れた塔の中で一人暮らしをしている。

ルカを地上に導いた張本人で、様々な地上の物事や、勇気が出るおまじない「シレンツィオ・ブルーノ(黙れブルーノ)!」を伝授する。

人間世界のものをコレクションする趣味があり、中でもベスパに大きな憧れを抱いている。

性格は大胆で活発だが、ポルトロッソで暮らすうちに変化していくルカについていけず嫉妬やコンプレックスなどを募らせ、エゴイスティックな態度を見せ始める。

そしてレース前日、ルカの心がどんどん離れていく苛立ちや孤立感から周囲の関係を破壊しようとする暴挙にまで至る。その結果……

余談だが、没案では終盤でクラーケンに変身してしまうという衝撃的なものとなっている。


  • ジュリア・マルコヴァルド(CV:エマ・バーマン/吹き替え版:福島香々)

本作のヒロイン。

魚売りをしている人間の少女で、男勝りな性格。

普段はジェノバで暮らしているが、夏休みはポルトロッソで過ごしている。

汗っかきで、驚くとチーズの名前を出す癖がある。(例:「おっとモッツァレラ」)

町の子供たちのトライアスロン大会、ポルトロッソカップの常連だが、吐きやすい体質の為完走できたことがない。

そんな中、ベスパを手に入れる手段を探していたルカとアルベルトとチームを組み優勝することを目指す。

読書家の一面もあり、ルカに星や宇宙の知識を教えるなど親交を深めていくが、やがてそれがアルベルトとの関係を大きく揺るがすことに……


  • エルコレ・ヴィスコンティ(CV:サヴェリオ・ライモンド/吹き替え版:浪川大輔

本作のヴィラン。

いつもチッチョとグイドという子分とつるんでいる不良で、町の人々から嫌われているが、本人はヒーローだと思い込んでいる。

ポルトロッソでシー・モンスターは懸賞金の対象となるため、ルカとアルベルトの正体に勘づきつけ狙う。

また、ポルトロッソカップでは5年連続チャンピオンであるが、実は年齢オーバーしている。

監督によると、18から19くらいらしい。ちなみにイタリアでの成人年齢は18歳である


関連動画編集

予告


監督による修羅場シーンの解説

(アルベルトのファンにはかなりショッキングな内容が語られているので閲覧注意)

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