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「あなた様にいのちの精をおそそぎ申す。伊賀の精をな」

「朧様、拙者の女房になりなされ」


概要編集

漫画「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」において、物語の事実上のラスボスである不死身の忍者「薬師寺天膳」が、ヒロインにして自らの主筋の姫である「」を手籠めにしようとしたときのセリフ。

原作小説である山田風太郎の「甲賀忍法帖」にも同様のセリフは存在するが、言い回しがやや異なる。


意味合いとしては成人向け作品であればよく見る類のセリフだが、あまりに芝居がかったエロオヤジめいた言い様から同作および同キャラのファンの間で妙な人気を博しており、略して「伊賀の精をお注ぎ申す」や、単に「お注ぎ」で通じるスラング扱いされている。


ちなみにこの直後、天膳殿は背後から忍び寄る敵忍者に気づけずアッサリと首をへし折られてしまい、朧の貞操は辛うじて守られる事になる。


このセリフの背景編集

台詞だけ見るとギャグであるが、漫画版におけるこのシーンは変態オヤジが、いたいけな少女に欲情して暴走した……というわけではなく、そこに至る積み重ねを経た上でのいたってシリアスなシーンである。


異能の忍者同士が殺し合いをする同作において、朧の有する術は「あらゆる忍者の術を無効化する」という超級のメタ技であり、敵方、甲賀忍者の頭領である甲賀弦之介の、無敵の邪眼術をも打ち破れる唯一の術である。


しかし朧と弦之介は戦いが始まる以前からの恋人同士であり、この少し前、戦いの最中に自らの恋人を死なせたくなかった朧は、あろうことか味方であるはずの伊賀忍者・筑摩小四郎の術を破ってしまう。

このため小四郎は視力を失って事実上の戦力外となってしまい、更にはそれを配下たちから責められた朧は「自分は恋に迷って一族の方を滅ぼしてしまうかもしれない」「だから争いに関わりたくない」と、術のカギである自らの目を秘薬で開かぬようにしてしまったうえ「もはや自分の望みは弦之介に殺される事だけ」という世迷言を口にするようになる。


伊賀と甲賀、それぞれの一族の命運を決する戦いであるにもかかわらず、次代の頭領となるべき朧の体たらくに業を煮やした天膳殿は、そもそもの原因である「弦之助に対する、朧の未練」を断ち切るべく、この暴挙に出たのである。

それを象徴するようにこのセリフを口にした時の天膳殿は、およそ性欲とは無縁の厳めしくシリアスな表情である。

だからこそ、余計にネタ性が高いともいえるが。


しかし、ふがいない朧に堪忍袋の緒が切れる、までは分かるとしても、その考えを変える手段が「手籠めにする」というのはイマイチ腑に落ちない理屈であり、読者は首をかしげることになる。

本人曰く「女の考えを変えるには抱くに限る」とのことだが、仮にそれで弦之助との恋は諦めさせられたとしても、普通に恨みを買いそうである。


そしてこの後、天膳殿はしばらくは(情勢がそれどころでなかったり、死んだりしていたので)朧には手を出さなくなるが、代わりに不死を利用してまんまと騙した敵方の女忍者を、上手く騙せたのを良い事にお注ぎしてしまう

しかもこちらは本当に「性欲」以外の理由がないうえ、相手の反撃を許してまたもウッカリ殺されてしまうという失態をおかす。


それでも懲りずに、その女忍者に対して挑発的に「(イイ女なので)忍法勝負の最中でさえなければ、また抱いて何日か死んでも構わないのだが」などとコメントしたり、更にはその直後、再び朧に「お注ぎ申し上げ」ようとする(またも未遂)など、敵味方がほぼ居なくなった最終盤なので全く自重しなくなってくる。

読者もこの辺りで「最初の件も、けっきょく単に性欲だったのでは?」と疑念を抱くことになる。


そのようにご乱行の限りを尽くした天膳殿だが、最終局面においてとうとう朧に見限られ、その術によって己が秘術「不死の肉体」を破られ、滅びることになる。

作中を通して「恋か、一族か」で揺れ動いた朧が最後の決断を下した一因に、これらの件があったことは想像に難くない。



余談編集

  • 身も蓋も無い原作の話

バジリスク〜甲賀忍法帖〜」においては、前記した通りこのシーンは天膳殿から朧への

「夢見がちな主に対する、中間管理職として溜まりに溜まった鬱憤」

が強調して描かれているシーンである。

その後の御乱行はともかく、その時点では決して単なる色ボケではない……



と言いたいところなのだが、実は原作小説「甲賀忍法帖」においては、天膳殿は元から「朧を手に入れれば自分が伊賀の次期頭領」という野心を抱いている上に、二百年近く年下の朧に対して、普段から劣情を抱いていたことが明かされている。

つまり問題のシーンも、漫画版と同じように「煮え切らない朧を翻意させる」という目的もウソではないが、それはそれとして絶好の機会と大義名分を手に入れた事で、これ幸いと野心と性欲を満たそうとしているということになる。


これを踏まえると、その後の敵のくノ一への仕打ちや、朧に再度お注ぎしようとするのも単にキャラが一貫しているだけであり、何の疑問も無い展開となってくる。


そういった意味で、この後も連綿と続いていく山田風太郎の忍法帖シリーズにおいて毎度のように登場する「捕らえた女に変態的凌辱を行うゲス忍者(侍)」の系譜の、偉大なる(?)先達といえる。


やはりエロオヤジであった。


表記ゆれ編集

漫画版においては「いのち」「おそそぎ」がひらがなとなるが、これらを漢字にしているケースも多い。

命の精をお注ぎ申す

伊賀の精をお注ぎ申す

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