概要
東北地方に伝わる怪異の一種。
今でこそどんな子供でも大切な宝として育てられるのは世の常であるが、昔は貧しい家に子供が生まれると食べ物を十分に供給できないという理由から、子殺しを行う家庭が少なくなかった。たたりもっけはそうした子供から生まれる怨霊の一種で、森でフクロウに取り憑いて毎晩赤子の泣き声のような鳴き声で鳴くのである。子供に先立たれた家庭はフクロウを大事にしたというが、(事情が事情とはいえ)自分たちの都合で命を奪った大人たちを彼らが簡単に許すだなんてそんな都合のいい話はなく、末代に渡って呪うとされたり、災害を呼び込むという。生まれたばかりの赤ん坊の霊なのだから、もっと生きたかったという強い願望が彼らの怨みを加速させたのだろう。
これを回避する為には、死んでしまった子供に対してはきちんと供養してやる事が何よりも重要なのである。
また、一説では座敷童子はたたりもっけの善の側面ではないかとも言われる。確かに、どちらも子供に関する妖怪であり、大切にしない家庭を廃れさせるという共通点があるので、あながち間違いでもないのかもしれない。
大抵はフクロウの姿で表されるが、水木しげるは立ち上る女の霊気のような姿とフクロウの姿の二種類を描いている。
また、『犬夜叉』に登場するたたりもっけは黄色く丸まった胎児を思わせる姿だが、原典のフクロウの意匠もちゃんとある。こちらは死んだ子供が成仏するまで面倒を見る保護者的な存在ではあるものの、子供が悪霊化すると地獄へ引きずり込んでしまう。ただ、それでも普段細めている目が完全に開くまでの猶予期間があるだけかなり寛容なのだが、万が一開き切るとその子供を鎖で拘束して自身の死を追体験させた上で容赦無く地獄へ堕とす。
参考文献
「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪パーフェクトBOOK」(コミックボンボン特別編集/講談社 2007年)
「幻想世界 幻獣事典」(幻想世界を歩む会/笠倉出版社 2013年)